選出にもひと苦労する中、有無を言わせない強烈な魅力で私の心をガッツリあっさり攫っていったのは『ジョーカー』。有名なヴィランの誕生秘話は、凶暴とすらいえる鮮烈な引力に彩られていた。

諸事情から公開後しばらくしての鑑賞となった『ミスター・ガラス』もベスト3に加えたい。正直ピンと来なかった前作『スピリット』は、本作が揃う途端に光を放つ。『アンブレイカブル』から19年、“ミスター・ガラス”と呼ばれた男の“夢”と“孤独な戦い”の軌跡。

3作目は『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を選出することにした。理由はインドでこの作品が撮られたことに、“映画”という存在の意義と素晴らしさを再認識したから。敵対国であるパキスタンの少女とインド人男性との交流をフラットな視点で描き、インド国内で映画賞を総なめにし大ヒットしたことは、多くの人はもちろん私の心にも、平和への希望を灯した。

今年はホラーだけでも豊作だったのに、肝心のホラーがベスト3から漏れてしまった。