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ふたりの男性の30年の軌跡とかかわり合いの形を描く『すこたん!』開幕

ぴあ

Serial number『すこたん!』

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すこたんソーシャルサービスは、セクシャリティやジェンダーに関する情報を発信することで、セクシャル・マイノリティの人々の人生を応援する実在の団体。いまでも多様なセクシャリティに対する世間の理解は充分とは言えないが、いまよりもさらに厳しい状況であった1994年、「すこたん企画」という名前でふたりの男性によって設立された。

『すこたん!』はこの設立者であり長年のパートナーである伊藤悟さん、簗瀬竜太さんのふたりをモデルに描く演劇。serial numberの詩森ろばが彼らの二十年来の友人であることからこの作品が立ち上がり、2020年に上演される予定だった。しかしコロナ禍の影響で上演が延期。詩森はすでに書き上がっていた脚本をそのまま使うのではなく、モデルのふたりとさらに1年間の対話を続けてすべて書き直したという。

ふたりを演じるのは、鈴木勝大と近藤フク。さらに彼らと関わってきた8人の男性の軌跡も描かれるという。1990年から今に至るまでの30年間を紡ぐというから、その時間をどう表現していくかも見どころになりそうだ。

チラシによれば、詩森は「Personal is political」という言葉を創作の礎にしてきたという。個人の抱える生きづらさが、じつは社会的な問題をはらんでいるという意味合いで、セクシャルマイノリティの人々のスローガンとして掲げられてきた言葉でもあるらしい。恋愛は誰であっても、どのセクシャリティであっても、ごく個人的なことだ。けれどもその一つひとつの個人的な恋愛は、社会と切り離すことは決してできないのだろう。この作品も、実在のふたりのごくパーソナルな事柄を描きながら、それを取り巻く社会のこと、そして人間同士が関わり合う中で生まれる普遍的なものをはらんだ作品になるのかもしれない。

文:釣木文恵

serial number『すこたん!』
2021年10月28日(木)~2021年11月7日(日)
会場:中野ザ・ポケット
※後日アーカイブ配信あり

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