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木村拓哉演じる『教場』風間公親の魅力 年明け放送の続編ではその過去が明らかに?

リアルサウンド

20/12/31(木) 12:30

 警察学校を舞台に冷酷な教官・風間公親(木村拓哉)と、彼が教える風間教場の生徒たちの物語が展開していく2夜連続のスペシャルドラマ『教場』(フジテレビ系)。12月30日に再放送された「後編・スペシャル編集版」では、卒業というひとつの大きな節目が明確に見えてくるなかで、主要な生徒たちはもちろんのこと、風間自身にも変化が少しばかりではあるが見えるように。そのあたりは“警察学校”という場所もまた、“学校”というドラマ性に富んだ特殊な空間であることを感じさせてくれる。

 南原(井之脇海)の部屋で密造銃を見つけた宮坂(工藤阿須加)は、“人質”として警察手帳を奪われてしまい、そんな宮坂の様子がおかしいことを風間や楠本(大島優子)はすぐに見破る。その一方、実家の兄が倒れたことを知り落ち込んでいる枝元(富田望生)をテレビのインタビュー取材に誘う菱沼(川口春奈)。しかしその頃を境に、仲の良かった2人の関係がギクシャクし始めることに。そしていよいよ198期の生徒たちに卒業の時が近付き、風間から退校届を突きつけられている宮坂たちと、風間の過去を調べていた都築(味方良介)は同じグループとして特別授業に挑んでいくのだ。

 ストーリーの大まかな流れ自体は前編と同様に、それぞれの生徒たちが引き起こす事件にフォーカスが当てられていく。一方が去り、また一方は風間という人間の素性に迫るチャンスが得られるというかたちだ。しかし前編ではその冷酷さが際立っていた風間は、楠本に語りかける「人を傷つけたことがある者は、人を守ることができる」という言葉をはじめ、「遺族になったつもりで捜査に当たってほしい」、そして「苦しんでる人の声に耳を傾けることが警察官の仕事」だと、その厳しさの裏にある強い信念が見え隠れするようになった。また、卒業していく生徒たちを見送る際の贈る言葉。風間という存在が、限りなく1人の人間であることを感じさせる温度を持った言葉の数々はなかなか感動的であり、“学校”を舞台にした物語の醍醐味を味わうことができよう。

 ところで前編の際には、誰もいない教室でひっそりと退校した生徒の机に貼られた名札が回収されていくシーンが印象的に映し出されていたが、この後編では異なる描写のされ方であった。南原の名札が取り除かれるシーンで、教場内にいた他の生徒たちは彼が去ったことを知る。また枝元の名札が取り除かれそうになることで、枝元の席に座って考え込んでいた菱沼は彼女とふたたび向き合う勇気を得る。厳しい教官と生徒の関係を描くと同時に、生徒と生徒との関係(風間は「友情を教えたつもりはない」と言い放つわけだが)を描いたこのドラマの舞台が、タイトルが示す通り“教場”であることをまざまざと証明しているかのようだ。

 さて、この後編の劇中で風間がかつて捜査一課の刑事であり、ある事件の捜査中に後輩刑事が重傷を負い、自身も右目を失明したという“過去”が都築の調べによって語られる。しかしそれ以上は風間の過去については明らかにならず、四方田(小日向文世)と風間の会話のなかでもやんわりと語られるにとどまった。クライマックスに登場した199期の生徒、そして200期の生徒たちの物語が描かれる年明け放送の『教場II』では、その謎めいた過去が深掘りされていくことになるのだろうか。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『教場II』
フジテレビ系にて、2021年1月3日(日)、4日(月)21:00〜2夜連続放送
出演:木村拓哉、濱田岳、上白石萌歌、福原遥、矢本悠馬、杉野遥亮、目黒蓮(Snow Man)、眞栄田郷敦、岡崎紗絵、戸塚純貴、高月彩良、樋口日奈(乃木坂46)、重岡大毅(ジャニーズWEST)、三浦貴大、佐久間由衣、嘉島陸、工藤阿須加、川口春奈、葵わかな、富田望生、味方良介、村井良大、大島優子、三浦翔平、佐藤仁美、和田正人、高橋ひとみ、松本まりか、小日向文世ほか
原作:長岡弘樹『教場』シリーズ(小学館)
脚本:君塚良一
演出:中江功
プロデュース:中江功、渡辺恒也、宋ハナ、遠藤光貴(SWITCH)
制作協力:SWITCH
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyojo/
公式Twitter:@kazamakyojo
公式Instagram:@kazamakyojo

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