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『スカイウォーカーの夜明け』以降も続くSWの世界 新企画『プロジェクト・ルミナス』とは?

リアルサウンド

20/4/2(木) 8:00

 『スター・ウォーズ』について語る前に、最初に僕のスタンスを申し上げますと『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は本当に素晴らしい映画でした。“思ったより悪くない”というレベルではなく心から楽しめたし、またエンディングにもジーンときました。正直言うとエピソード1から3の3部作より、今回の7から9の3部作の方が好きです。これは映画の出来うんぬんというより、やはり1から3は悲劇へとすべりおちていく話であり、7から9は希望に向かっていく。だからなのかもしれません。というわけで『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』とともに、『スター・ウォーズ』熱が再燃しています。そうなると、これからも“『スター・ウォーズ』が続くのか?”が気になりますが、その答えはYESです。

参考:詳細はこちらから

 まずは日本でも配信が始まった『マンダロリアン』。これはディズニーが立ち上げた配信動画サービス、ディズニー・プラス(日本ではディズニー・デラックスで対応)用に作られた実写ドラマシリーズ。『スター・ウォーズ』シリーズに登場する人気キャラ、ボバ・フェットに着想を得たアクションものです。ボバ・フェットは銀河のすご腕の賞金稼ぎという設定で、そのかっこよさから多くのファンがいます。けれど映画ではあくまでサブキャラなので、あっさりと退場してしまう。そこでこのキャラに「同族」がいたという設定で、ボバ・フェットのルックスを引き継いだ主人公を作り、新たなストーリーを作り上げたわけです。『スター・ウォーズ』の主軸はスカイウォーカー家の物語なのですが、そこからはずれても面白いものが作れる、という可能性を示唆してくれました。動画配信サービスという新しいエンターテインメントの手法の中で、新たな『スター・ウォーズ』が生まれる、というのは興味深いです。

 一方それとは対照的に、出版と言う形で新たな『スター・ウォーズ』を起動させようというプロジェクトが始まります。それが『プロジェクト・ルミナス』であり『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』なのです。

 まずこの2つの単語を整理すると、2019年4月11日から15日の5日間にわたってアメリカのシカゴで『スター・ウォーズ』公式のコンベンション「スター・ウォーズ セレブレーション」が開催されました。ここで『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のタイトル発表と予告編がお披露目になったり、『マンダロリアン』がフィーチャーされたりと大きなニュースがあったわけです。そして最終日の15日朝、ルーカスフィルム(『スター・ウォーズ』の製作元ですね)の出版部門のプレゼンテーションがあり、そこで出版チーム主導で「プロジェクト・ルミナス」をスタートさせると発表がなされたのです。

 詳しいことはまた後で書きますが、このプレゼンテーションには5人の作家が参加しており、いずれも『スター・ウォーズ』の小説やコミックの作家として人気のある人たちで、彼らがコラボして“1つの大きな『スター・ウォーズ』ものを書く(描く)”というものでした。このプロジェクトは2018年から始まり、ルーカスフィルム肝いりの案件。ただ詳細はここでは明らかにならなかったのです。

 そして2020年2月24日に『スター・ウォーズ』の公式サイトなどから、この『プロジェクト・ルミナス』から『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』という作品群を送りだす、と発表されました。つまり、
・『プロジェクト・ルミナス』とはプロジェクト名
・『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』はそこから生み出された作品名
ということです。(『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』のコードネームというかワーキング・タイトルが『プロジェクト・ルミナス』ということかもしれません)

 さらに『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』というのは、世界観のタイトルであり、この世界観の中で先の5人の作家たちが自由に作品を作る。けれど5作とも同じ世界観の話だからお互いにつながってはいる、というマーベルみたいな(笑)展開になる模様。

 公開されたプロモーションビデオや『スター・ウォーズ』公式サイトの説明を読むと、物語は『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』から200年前、いわゆる銀河共和国の繁栄の時代でジェダイの騎士が銀河の秩序を守っていた時代。つまり共和国にとってもジェダイにとっても黄金期で、この時代を“ハイ・リパブリック”というわけです。しかし、平和でなんの問題もない時代かというとそうでもない。共和国は機能しているものの銀河の辺境地にはまだトラブルがあって、ジェダイの騎士たちが<テキサス・レンジャー>みたいにそういう場所を守っていたり、“グレート・デザスター(大災難)”と呼ばれる大事件が起きたり、 さらに宇宙のバイキングみたいなナイルという集団がメイン・ヴィランとして襲いかかってくるそうです。

 発表された本のカバー絵とかを見る限り、チューバッカと同じウーキー族のジェダイもいたりします。2020年8月からリリースされ、チャールズ・ソウルが『LIGHT OF THE JEDI』、クラウディア・グレイが『INTO THE DARK』というヤングアダルト向け小説を出し、ジャスティナ・アイルランドが『A TEST OF COURAGE』というジュブナイルを担当。コミックでは、マーベルからキャバン・スコットが『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』、IDWからダニエル・ホセ・オールダーが『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック アドベンチャーズ』のストーリーを担当し出版。IDWは『トランスフォーマー』や『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』『スター・トレック』のコミックを出している出版社。こことマーベルが同時に『スター・ウォーズ』を出すとはすごいです。これらの作家名を検索してみると、皆、『スター・ウォーズ』の小説で有名な方だということがわかります。

 『プロジェクト・ルミナス』こと『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』は、いまのところ出版プロジェクトですが、これらの作品群をベースにしたグッズやアニメ、ゲームが作られる可能性はあるし、また2022年から始まると噂されている、新しい『スター・ウォーズ』映画も、このハイ・リパブリックの時代を舞台にすると言われています。連動はありえるでしょうね。

 『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』が興味深いのは、思いっきりスカイウォーカーたちが生まれる前の時代にすることで、ダース・ベイダーやルークなどの束縛をうけないことです。それと皆さん薄々お気づきでしょうが、『スター・ウォーズ』の中でジェダイの騎士というのはすごい存在として語られていますが、エピソード4~9ではほとんどのジェダイはいなくなっているし、エピソード1~3はジェダイが滅ぼされるまでを描いています。つまり僕らはジェダイの騎士がかっこよかった、活躍していた、というのをあまり見たことがない(笑)。

 そういう意味で、この『スター・ウォーズ:ザ・ハイ・リパブリック』では、 “強くてすごいジェダイの騎士たち”の活躍を期待したいと思います。あと若き日のヨーダがひよっとしたら出てくるかもですね(彼はとにかく長寿ですから)。映画から生まれた『スター・ウォーズ』が、配信動画サービスや出版界にどれだけのフォースをもたらすことができるか、楽しみですね! (文=杉山すぴ豊)

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