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『グランメゾン東京』は日曜劇場とキムタクドラマが融合!? “一歩下がった”木村拓哉の新境地

リアルサウンド

19/11/24(日) 6:00

 今夜、第6話が放送される木村拓哉主演のドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)。先週放送の第5話のラストで祥平(玉森裕太)がなんと丹後(尾上菊之助)のいる「gaku」のスーシェフとなって尾花(木村拓哉)たちの前に現れたのは衝撃的だった。

 だが、それと同時に、倫子(鈴木京香)や京野(沢村一樹)らが驚きを隠せない中、ただ一人、尾花だけが「……面白くなってきたじゃん」と、この状況を楽しんでいるかのようなセリフをつぶやいたのも非常に印象的だった。何事においても負けず嫌いな木村のキャラクターが一瞬、尾花とぴったり重なり合った瞬間でもある。

 『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』『下町ロケット』『小さな巨人』『集団左遷!!』『ノーサイド・ゲーム』……。言うまでもなく、近年の「日曜劇場」は“仕事”や“組織”、そして“働く者たち”の矜持や葛藤を丹念かつダイナミックに描き、視聴者の支持を獲得してきた。

 本作でも尾上菊之助(『下町ロケット』)、手塚とおる(『小さな巨人』『ルーズヴェルト・ゲーム』ほか)といったおなじみの面々が顔をそろえている。中でも手塚はどこまでも「グランメゾン東京」を邪魔する嫌味なオーナー・江藤として、見事に“日曜劇場”感を醸し出している。

 一方、木村はまさに平成を代表するドラマスターとして、『ロングバケーション』(フジテレビ系)ではピアニスト、『ビューティフルライフ』(TBS系)では美容師、『HERO』(フジテレビ系)では検事を演じ、多くの人の心に残る名作を世に送り出してきた。どの作品でも彼は唯一無二の存在として君臨し、そのストレートな演技が時には揶揄されることもあったが、彼にしか表現できないダイナミズムとカタルシスが人々の心を強く揺さぶり、固く掴んだことは間違いない。

 このように一見、ミスマッチかのように思われる両者だが、本作では実に見事なハーモニーを奏でている。フレンチさながらに2つの食材のフュージョン(融合)が絶妙な味わいを生み、まるで極上の逸品として仕上がっている。

 『GOOD LUCK!!』『A LIFE~愛しき人~』など、木村が日曜劇場に出演するのは決して初めてではない。しかし、これまでとはほんの少し違う味わいが新たに生まれていることを感じている人も多いのではないだろうか。

 なにより注目したいのは、尾花がスーシェフ(副料理長)であるという点だ。

 さまざまなドラマで長年、主役としてメインを張ってきた木村が、役の上とはいえ一歩下がることは珍しい。それでも抜群の存在感と安定感を発揮しているわけだが、彼の芝居をここまで見る限り、あえて自ら前に出ず、一歩下がって共演者たちの持ち味を“引き立てる”ことを意識しているようにも見えるのだ。

 例えば、第4話では柿谷(大貫勇輔)の裏切りによって生じた「グランメゾン東京」のピンチにヘルプで厨房に入った祥平に、尾花は「身は殻から外すなよ」とぶっきらぼうに声をかけ、それ以上、絡むことは最後までなかった。だがそれによって祥平の腕を信頼していることが十分表現されていた。

 また、第5話の倫子との朝食シーンでは向かって左に座ることで、彼女をサポートする尾花の気持ちを表したように見受けられたし、ナッツ混入事件の罪を被ろうとした京野に激昂することで、この店に京野が必要な人物であることを印象づけた。

 これらは些細なことかもしれないが、今後、彼の俳優としての新たな可能性を示唆しているのではないだろうか。もしかすると俳優・木村拓哉にとってこの作品は大きなターニングポイントになるかもしれない。(文=中村裕一)

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