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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

主演ふたりの芝居と二転三転する物語に翻弄されてほしい『秘密への招待状』

月2回連載

第62回

21/2/12(金)

オリジナルを観てオチを知っている人も、驚かされます!

今回はこの記事が公開される週末以降封切りになる新作を2作品紹介します。まずは『秘密への招待状』。ジュリアン・ムーアとミシェル・ウィリアムズ、ダブル主演の人間ドラマです。

インドで孤児の救援活動に勤しむイザベルは、施設の維持費をはじめ、活動資金の工面に苦心していました。そんな彼女に、良い知らせ。多額の寄付金の申し出があります。

『秘密への招待状』

ただし、それには、N.Y.でメディア会社を経営する支援者のテレサに直接会うことが条件。孤児のもとを離れたくないイザベルですが、支援者が言うなら仕方ない、彼女はN.Y.に向かいます。

ところが、N.Y.で待っていたテレサは、イザベルを娘の結婚式に強引に誘い、早く帰りたいイザベルはイライラ。すると、なんと結婚式に現れたテレサの夫が、イザベルの元カレ・オスカー。

『秘密への招待状』

それも21年前、彼女が18歳のときにケンカ別れした、あまり思い出したくもない男でした。さらに、テレサの娘グレイスは、オスカーとイザベルの間に生まれた子だということにも気づきます……。

実はこれ、2006年のデンマーク映画でアカデミー賞外国語映画賞候補になったスザンネ・ビア監督作『アフター・ウェディング』のハリウッドリメイクです。

スザンネ・ビア監督のオリジナルは私大好きなんですが、デンマーク版では主人公が男性ふたりだったところ、本作は女性ふたりの設定に変えて作られました。女性キャラに変更したことで、全く別の作品のように観ることができます。オリジナルを観てオチを知っている人も、驚かされますよ。

『秘密への招待状』

なにせネタバレ厳禁の作品なので、詳しくは言いません。でも、オリジナルがめちゃくちゃよくできている作品なのに、うまく考えられた脚本だと思いました。特に主演ふたりの個性が際立っています。

ジュリアン・ムーアは、バリバリのキャリアウーマン役ですが、それがピッタリ。ズケズケとものを言うところや、大声で歌い上げるシーンは、彼女じゃないと説得力が出なかったろうと思います。

『秘密への招待状』

またミシェル・ウィリアムズは、とても暗い役なんですけど、『ブロークバック・マウンテン』のときの彼女のように陰のある役ですごくぴったり。彼女たちの芝居と、二転三転する物語に翻弄されてください。

『秘密への招待状』

ちょっと日常に疲れた方の心を落ち着かせてくれるはず

2作品目は『世界で一番しあわせな食堂』。こちらはフィンランド映画。アキ・カウリスマキの弟でフィンランド映画界の巨匠、ミカ・カウリスマキの最新作です。

フィンランド北部の小さい村。シルカという女性が営む食堂に、ある日、中国・上海から人を探しに来た親子がやってきます。

チェンと名乗る男とその息子は、恩人を探しにやってきた、と言うものの、村人は誰もその人のことを知りません。そこで、料理人をしているというチェンが食堂を手伝うことを条件に、シルカは恩人探しを手伝うことに。

『世界で一番しあわせな食堂』

すると、なんとチェンの作る中華料理が大評判に。食堂は大盛況となります。次第にシルカとチェン、常連客は打ち解けていくものの、人探しの方はサッパリ。やがてチェンの観光ビザの期限が迫ってきます。

『世界で一番しあわせな食堂』

フィンランドといえばヘルシンキを思い浮かべるかもしれませんが、これは北部ラップランド地方の小さな村が舞台。季節は白夜の真夏です。

都会とは全く違う、“ザ・いなか”のダイナーに、言葉もろくに通じない中国からのお客さんが現れて人探し。これだけで想像つくと思いますが、文化や言語の違いを乗り越えた人と人との心の交流がテーマです。

そこでカギになるのが、中華料理。食がサブテーマとなる作品ですが、フィンランド料理でなく中華料理で人が結ばれていくというのがユニークですよね。

『世界で一番しあわせな食堂』

それだけではなく、チェンの息子にも注目を。アジアと北欧の子育ての違いまではっきりと分かるんですよ。それは文化の違い、ということだけではなく、親子の関係だったり、対人関係の対応力だったり。子供がいる方がご覧になると、参考になるんじゃないかと思いますよ。

それに、舞台になっているフィンランドの村がすごくイイんですよね。そこで暮らしている人たちを含めて、とても美しいんです。特に村のおじさんたちの自然体なことには、ホッとさせられます。

『世界で一番しあわせな食堂』

北欧の夏は短く、その短い夏をいかに満喫するか、ということが北欧人が年に一度楽しみにしていること。その特別なムードをわざとらしさゼロで自然にとらえている本作は、ちょっと日常に疲れた方の心を落ち着かせてくれるはずです。

※次回は2月26日(金)に更新予定です!

取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己
(C)ATW DISTRO, LLC 2019
(C)Marianna Films

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が、2019年9月に講談社より発売された。

『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』

講談社 1400円(税別)
発売中

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