Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

藤堂先生の結婚と喜多一の閉店 『エール』故郷・福島の人々の変化

リアルサウンド

20/8/24(月) 6:00

 第1話から再放送中のNHKの連続テレビ小説『エール』。8月24日からは、第10週『響きあう夢』第49回から第11週『家族のうた』第54回までが放送される。

 記念公演『椿姫』に向け、環(柴咲コウ)のもと本番に向けて稽古に励んで音(二階堂ふみ)。妊娠が判明した音は、夢の途中である決断を下す。裕一(窪田正孝)と音の間に娘が生まれて4カ月後、裕一の恩師・藤堂先生(森山直太朗)の依頼で、裕一は音を連れて福島に帰ることになる。

藤堂先生と結婚していた藤堂昌子!

 川俣銀行の紅一点だった菊池昌子(堀内敬子)は、裕一が川俣銀行に勤めていたとき、裕一の恋の指南役となっていた。昌子は藤堂と出会い、4度目の結婚を果たす。「4度目」と聞くと、恋に自由奔放な女性像が思い浮かびそうになるが、堀内が見せる演技は周囲を気遣うあたたかみに溢れている。

 特に印象的なのは、第73回で藤堂が父・晴吉(遠藤たつお)と向き合うシーンでの一コマ。藤堂と晴吉のやりとりはどことなくぎこちない。元軍人である晴吉は度々「お国のために」と口にする。藤堂も「僕は僕なりに、国のためになることをしてきたつもりです」と話すが、父との考え方の違いが、二人の間に溝をつくっているようだった。

 そんな二人の溝を昌子の気遣いが埋めていく。昌子は二人の会話に耳を澄ませ、タイミングを見計ってお茶を運んできた。お腹の中の子どもが動いたときには、晴吉と藤堂の手をとり「この子は強い子になりますよ。お国のために戦ってきたお爺様の強い血を受け継いでますからね」と言った。昌子は晴吉をじっと見つめてこう口にしたが、この言葉は晴吉だけに向けられたものではない。昌子が藤堂のことを大事に思い、そんな藤堂が大切に思う父親のことをも大事に思っているのだと伝わってくる。

浩二を冷たくあしらう養蚕農家・畠山

 第11週では、「喜多一」が閉店した後、役場に勤め、地元・福島のために奮闘する浩二(佐久本宝)の姿が描かれる。浩二は養蚕農家を訪れ、桑畑をリンゴを育てる果樹園にしないかと説得する。マキタスポーツは長年養蚕業を営んできた昔気質な農家を好演している。

 本人の口から「代々養蚕業を続けてきた」と言われても違和感のないぐらい、役にハマっているマキタスポーツ。SNS上では「エキストラの地元のプロ農家だと思ったら、マキタスポーツさんだった」「『昼めし旅』(テレビ東京系)かと思うほどの『しっくり感』」などの声もあがるほどだ。

 畠山は浩二を冷たくあしらうが、浩二が置いていった資料を足蹴にするようなことはしなかった。次週での浩二と畠山のやりとりも注目してほしい。

 今週おすすめしたいシーンは、音が双浦環(柴咲コウ)と向き合い、夢に向かって前向きな言葉を残すシーン。退学することになった音に環は「ほとんどの人が、茨の道ではなく平穏な幸せを選ぶ。あなたもその道を選んだ。それだけのことよ」と口にしたとき、音は彼女の目をまっすぐ見つめて「私は歌手になる夢を諦めたつもりはありません」と告げた。「夢も心も、夫婦二人で育てていきます」と話す音は、母と歌手になる決意を感じさせる、柔らかくも芯の強い表情をしている。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
※6月29日より第1回から再放送中
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む