Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

KinKi Kidsに漂う平和な空気 ふたり仲睦まじく“打ちひしがれ事件”振り返ったラジオを聞いて

リアルサウンド

19/4/24(水) 6:00

 新元号の幕開けが迫る中、各番組では去りゆく平成の時代を振り返る企画が続いている。様々な名作、名場面が生まれた平成だが、KinKi Kidsが『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で起こした“打ちひしがれ事件”は、忘れたくない出来事だ。

(関連:KinKi Kidsの飾らず、気負わず、ゆるゆるとした姿 『どんなもんヤ!』25年間変わらないスタンス

 “打ちひしがれ事件”とは、2005年6月10日の『ミュージックステーション』で、KinKi Kidsが「ビロードの闇」を披露した際、堂本光一が歌詞を間違えてしまい、Aメロで2回も〈打ちひしがれる〉と歌ってしまい、Bメロを歌う堂本剛もつられて歌詞を間違えた上に笑いを堪えきれず、クールな曲が一気に微笑ましい雰囲気になってしまったことを指す。

 また、その翌週の6月17日放送回にもゲスト出演したKinKi Kidsによって、ミスしたシーンが丁寧に解説されるという、前代未聞の展開となったのだ。ファンの中では「#打ちひしがれ事件」「#打ちひしがれ記念日」というユーモアたっぷりなタグまでつけられ、今も語り継がれている伝説的な回。

 先日の『ミュージックステーション』では、「衝撃ハプニングランキング」が発表され、見事に5位にランクインしていた、この“打ちひしがれ事件”。それを受けて、4月15日放送のラジオ『KinKi Kidsどんなもんヤ!』(文化放送)では「あのときのことを覚えていますか?」とリスナーからの質問が寄せられ、堂本光一と堂本剛が仲睦まじく当時を振り返った。

 もちろん、ふたりの中でも記憶は鮮明で「覚えてますよ~……2回打ちひしがれたからねぇ」と堂本光一。堂本剛も「ふふふ。うん、良かったですよね、あれね」と懐かしむ。通常、テレビ番組でそうしたランキングが発表されるときは、スタジオにいるゲストにまつわるエピソードが優先されるはず。だが、今回自分たちが出演していなかったのに、上位にランクインしているということから「スタッフ的にも相当やった」と、ふたりで笑うのだった。

 さらに、堂本光一が最近の生放送は「ハプニングが起きないように手堅く作られている」と話し出すと、堂本剛が「(打ちひしがれ事件が)上位にあがるってことは、そういうものも求められてるのかもしれないよ」とニヤリ。たしかに、あのハプニングがあったからこそ視聴者は、ふたりのあの場でしか見られない素の表情を楽しむことができた。今度、KinKi Kidsが『ミュージックステーション』に出演するときは、ぜひまた新たな時代の伝説となる出来事を巻き起こしてほしい。

 とは言いつつも、生放送でも、収録でも、KinKi Kidsはいつだって素のやりとりが面白いことを私たちは知っている。4月22日放送回の『KinKi Kidsどんなもんヤ!』では、オープニングから堂本光一の小学生男子のような下ネタで、リスナーのペンネームをイジりまくり、バキューン音が炸裂。そんな堂本光一の悪ふざけを「なんですか?」と1回振りながらも「いやいや」と堂本剛が冷静にツッコみ、堂本光一が「ごめんなさいっ!」と回収されていく。そんな阿吽の呼吸が実に心地よいのだ。

 ゆるいのに、気づけば、まるでもともと狙っていたかのような笑いが生まれる不思議な空間。仮に歌詞を間違えたとしても、エンタメとして成り立ってしまうのは、その後のふたりの空気感そのものが、私たちを楽しませるひとつのショーになっているからだろう。

 ティッシュカバーをつける/つけない、保湿をする/しない……ラジオを聞いていれば、ふたりの意見が一致することは珍しい。それぞれのこだわりを話すとなると、多くの場合は平行線で終わりそうだが、なぜかKinKi Kidsのふたりが話すと、クスクス笑えるのだ。

 それは、きっと堂本光一が言うように「結局、なんかイヤやなとか、いいなって思うことは、相手に好感を持ってるか、持ってないかの違いやな。好感持ってたらどうであろうといいもんね(笑)」ということなのだろう。

 どちらかの意見を押し付ける結論は出さない、という結論。KinKi Kidsの討論は、いつだってそんな調子だ。違いは違いのまま受け入れ、お互いの努力を信頼しているからこそミスがあっても笑って許しあえる。その余裕こそ、KinKi Kidsに漂う平和な空気を作り出しているようだ。手堅くいこうとガチガチになりすぎず、しっかりと準備した上で本番こそゆとりを持って楽しむこと。新しい時代も、彼らのいい感じに肩の力が抜けたやりとりにニヤニヤしながら、新たな微笑ましい事件が起こるのを待ちたい。(文=佐藤結衣)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む