Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ZICO、LOOPY、Balming Tiger……2020年リリース韓国ヒップホップ要注目の新譜5選

リアルサウンド

20/2/9(日) 8:00

・ZICO「Any Song」
・LOOPY「SAD BOY」
・Balming Tiger「Kolo Kolo」
・Errday Jinju「January 29」
・Viceversa「Broken Balls」

 2020年も韓国ヒップホップの熱が冷めることはないようだ。まず、韓国を代表する1984年生まれのラッパー5人が集まって話題となった「DAMOIM」プロジェクトが大人気を集め、同プロジェクトでリリースされた楽曲「I’mma Do(アマドゥ)」(12月3日リリース)が音楽配信チャートで1位を獲得。さらに、<AMBITION MUSIK>に所属しているCHANGMOがリリースした初のフルアルバム『Boyhood』(11月29日リリース)収録曲「METEOR」がその1位の後を継いだ。このようにベテランから新鋭まで多くのアーティストがネクストブレイクの兆しを見せるような楽曲のリリースを重ねている。本コラムでは今年に入ってリリースされた盛りだくさんのシングルの中から要注目の5曲をセレクトしてみた。

ZICO「Any Song」

[MV] ZICO(지코) _ Any song(아무노래)
ZICO「Any Song」

 「I’mma Do」、「METEOR」に続いて間もなくチャート首位に上がったのはZICOの「Any Song」。アイドルグループ・Block Bのリーダー/プロデューサーとして活躍する一方、ソロラッパーとしてもヒップホップシーンで非常にインパクトのある活動を重ねてきた彼は、1年前インディペンデントレーベル<KOZ>を設立し、今はアーティスト兼CEOの忙しい日々を送っている。彼が今年に入って初めてリリースした「Any Song」は、BTS、Red Velvetのような人気K-POPアーティストの楽曲が並ぶチャートで堂々と1位の座を守っている。同曲はZICOならではの大衆性と作品性を併せ持つトラックで、軽快なピアノの旋律に乗せるダンサブルなダンスホールのリズムがポイント。本トラックがバズった要因としてトラックの良さもあれば、ZICO自ら流行らせたTikTokでの“Any Songチャレンジ”の影響もあった。彼はトラックに合わせたシンプルなダンスを披露するチャレンジをチョンハ、ファサ(MAMAMOO)などのアーティストと一緒に披露して話題に。そこから多くの芸能人やTikTokユーザーがダンスに参加するようになった。楽曲はもちろん、様々なチャレンジ動画も一緒に見るとより楽しめるだろう。

LOOPY「SAD BOY」

LOOPY – SAD BOY
LOOPY「SAD BOY」

 LOOPYのキャリアはラップスキルの証明の連続だったと言えるだろう。自身がLAに留学していた頃ネット上で話題になった彼の楽曲「Gear 2」のライブ動画は彼が韓国に戻るきっかけとなった。彼がLAで一緒に活動していたnafla、BLOOと共に韓国で設立したレーベルが<MKIT RAIN>。そんな<MKIT RAIN>が幅広い層にも知られるようになったきっかけは、韓国ヒップホップの大衆化を盛り上げたサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』への出演だ。シーズン7に出演したLOOPYとnaflaはそれぞれ2位と1位を獲得し、見事にその年の主人公となった。同番組での活躍後、LOOPYはnaflaとチームを組んで様々な活動を広めてきた。しかし、12月からはまたソロ活動に復帰して、1月までに4枚のシングル曲を次々とリリースしている。その中でも最新作の「SAD BOY」は子供の頃の寂しい想いを、オートチュンをかけたボーカルで表現したエモーショナルなトラック。これまでLOOPYのトラックでは聴いたことのないような悲しいバイブスで、多様性が増したLOOPYのニューアルバムへの期待が高まる。

Balming Tiger「Kolo Kolo」

Balming Tiger – “Kolo Kolo” (Feat. Omega Sapien, wnjn)(Prod. Unsinkable) [Official Video]
Balming Tiger「Kolo Kolo」

 韓国ヒップホップシーンのネクストが気になるなら、Balming Tigerのムーブメントに注目してみよう。2018年から活動を始めたBalming TigerはディレクターのSan Yawnを筆頭に多分野のアーティストたちが所属しているクルー。彼らのシングル曲「Armadillo」のMVにはアジア系アーティストをサポートするアメリカのレーベル<88rising>の公式チャンネルがコメントを書き込んで話題になったこともある。それ以来はメンバーのsogummがサバイバル番組『Signhere』で大活躍してJay Park率いるレーベル<AOMG>に加入するなどそれぞれ個人活動を重ねていたが、今回久しぶりにクルーとしてリリースした「Kolo Kolo」は、咳の音を表現したタイトルからもユニークさが感じられる。ミニマルなリズムがリードするUnsinkableのビートと、Omega Sapienのスペイン語と英語を面白く混ぜ合わせた歌詞、中毒性の高いフックは癖になるだろう。さらに新メンバー・wnjnの声は楽曲の構成に意外性を与えてくれる。相変わらず韓国で最もフレッシュなクルーだと証明する1曲だ。奇妙なエネルギーが溢れるMVも必見。

Errday Jinju「January 29」

1월 29일 (Feat. The Quiett) – 얼돼 (Errday Jinju)
Errday Jinju「January 29」

 韓国ヒップホップに注目してきたファンの中でもErrday Jinjuの名前を知っている人の数は多くないだろう。しかし、彼はメディアのスポットライトを浴びたことはないものの、長い間自身の領域を開拓してアーティストとして成長してきた。そんな彼のポテンシャルに気づいたヒップホップファンはここ数年間著しく増えている。8年間ミックステープ、EPなどを多数リリースしてきたErrday Jinjuだが、フルアルバムは2019年11月にリリースされた『SARA』が初めて。人生の逆境と悲しみ、その中で求める希望を表現した『SARA』は、リスナーや音楽評論家からの好評を受けて、彼の明るい2020年の前触れとなった。1月には韓国の歳で30歳を迎えた自身の誕生日を記念して人生を振り返る内容のトラック「January 29」をリリース。また偶然にも誕生日が一緒だった<ILLIONAIRE RECORDS>のCEOであるThe Quiettがフィーチャリングとして参加した。彼もまた37歳の誕生日を迎えたラッパーとしての思いをリリックに綴っている。充実した2020年をスタートさせたErrday Jinjuが1年後の1月29日にどうなっているのか、今から楽しみだ。

Viceversa「Broken Balls」

Broken Balls (ft.Mckdaddy)(Prod.noisemasterminsu) (Official Audio)
Viceversa「Broken Balls」

 Viceversaは今韓国で新しく注目を浴びている新鋭ラッパー。SoundCloudシーンを中心に活動していた彼が、初めて注目の的となったのが2019年にリリースされた27RING の「Genkidama RMX」にフィーチャリングで参加したことだ。ユニークな声の出し方と変則的なフロウを操る彼の歌声は、少しずつリスナーの耳を奪っていくようになった。2019年の9月にリリースされたデビューEP『”Incomplete”』は、ビッグネームからのシャウトアウトもあった。韓国を代表するラッパーの1人であるE SENSが、何度も彼のラップを絶賛し「LIT RED」を称賛した。その上E SENSEは自身のコンサートのオープニングアクトとしてViceversaを迎えた。Viceversaはこのいい流れを逃さず、今年に入ってシングル「Broken Balls」をリリース。同曲には冒頭で触れた「I’mma Do」を手掛けたプロデューサー・noisemasterminsuがビートを提供し、『SHOW ME THE MONEY 8』で活躍したラッパー・Mckdaddyがフィーチャリングとして参加した。

RealSound_ReleaseCuration@soulitude200209

■soulitude
日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。歌詞・記事の翻訳や音源の流通、キュレーションなどの職業を経て、今は日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。
Instagram

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む