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木村佳乃が初めて見せた汚れのない目 『後妻業』小夜子と柏木の運命は?

リアルサウンド

19/3/13(水) 6:00

 遺産相続目当てで資産家の老人を狙う結婚詐欺”後妻業”。後妻業のエース・武内小夜子(木村佳乃)を主人公に描いたドラマ『後妻業』(カンテレ・フジテレビ系)の第8話が3月12日に放送された。

参考:『後妻業』木村佳乃×木村多江、2度のケンカの後に見せた影の表情 宮本浩次「冬の花」が切なく響く

 小夜子はこれまで後妻に入った老人たちとは違う、紳士的な舟山(中条きよし)に魅了されていた。小夜子が今まで誰1人入れてこなかった自身の部屋に舟山を招き入れると知り、柏木(高橋克典)は激しく動揺する。後日、柏木が舟山の素性を調べると彼の正体が詐欺師であることが判明する。小夜子に忠告するも、恋に酔った小夜子は聞く耳も持たない。そんな小夜子も、柏木のデスクの上に朋美(木村多江)のイヤリングが置いてあるのを見つけ動揺してしまう。

 第8話では、小夜子と柏木のもどかしい関係に動きがあった。これまでの回で、風俗店で働いていた小夜子を柏木がスカウトしたこと、柏木は小夜子を「大事な商売道具」と呼び、男女の関係にはなっていないことが明かされている。第8話では舟山の存在がきっかけで2人の距離が縮まるのだが、小夜子と柏木を演じる木村と高橋の演技が強い印象を残す。

 舟山に惹かれる小夜子に苛立ちを見せる柏木。長い間バディとして組んできたからこそ、小夜子の微妙な変化に気づくことができるのだろう。高橋は大人の余裕を感じさせ、どんなトラブルにも冷静に対処する柏木の姿を演じてきた。しかし舟山に入れ込む小夜子には感情的な演技を見せる。冷静さを保とうとしているものの、語気を強めた台詞や舟山が気になっている様子などから柏木の苛立ちが伝わってくる。

 一方の小夜子も、舟山との進展につれない態度を見せる柏木にやきもきしていた。柏木のデスクに朋美のイヤリングを見つけ、胸をざわつかせる小夜子。木村は小夜子の柏木に対する不器用な思いを、時折見せる思い悩んだような表情とその表情を隠すようなワザとらしい明るい振る舞いで見せてくれる。その振る舞いを見た朋美に「嫉妬してるの?」と問われる小夜子の姿はどこか愛おしい。

 ドラマ中盤、舟山は本性を表し、小夜子に暴力を振るった。駆けつけてきた柏木に抱きしめられる傷だらけの小夜子。堰を切ったように泣きじゃくる小夜子は、子どものように純粋な顔をしていた。その表情からは、“後妻業のエース”としての務めを果たせなかった悔しさや舟山に暴力を振るわれたことへの恐怖だけではなく、小夜子にとって大切な存在である柏木への安心感も伝わってくる。柏木にしがみつくようにして泣きつく木村の演技は、柏木に救い出され、柏木と共に今日まで歩んできた小夜子の人生を表すものとなった。

 傷だらけの小夜子は柏木に甘える。柏木の葉巻が吸いたいとせがむその表情は、普段のあっけらかんとした明るい表情でもなければ、柏木と出会ったばかりの頃の暗い表情とも違う。小夜子が歩んできた壮絶な人生を一切感じさせない、汚れのない目をしていた。小夜子はその目で柏木をじっと見つめると、彼と唇を重ねる。木村はこれまで小夜子の飄々とした姿を楽しそうに演じていた。しかし第8話では、単なる笑顔ではない表情で、小夜子がこれまで抱えてきた闇や柏木への思いを吐き出すような演技を見せた。“後妻業”を続けてきた小夜子の純粋無垢な部分が見えてくる木村の演技は、視聴者に切なさを伝えるものとなった。

 柏木演じる高橋の演技にも注目だ。小夜子を傷つけた舟山に激昂した柏木だが、小夜子の前では穏やかな表情を見せる。高橋の演技は、感情をむき出しにするようなものではない。しかし小夜子を強く抱きしめたときに優しく触れた手やその表情、小夜子からのキスを静かに受け入れる姿、一線を超えることなくその場から立ち去る演技、その全てから小夜子を愛おしく思う柏木の思いがにじみ出ている。舟山に怒りを露わにした柏木は、小夜子のことを「俺の大事なツレや」と言った。ドラマ終盤、「大事な商売道具」であり「大事なツレ」である小夜子を守るため、1人行動を始める姿に最終話への高揚感が高まる。

 小夜子と柏木の運命はどうなるのか。遺産をめぐる争いを制し、最後に笑うのは一体誰なのか。(片山香帆)

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