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大谷亮平演じる真一の再婚が意味するもの 内田有紀は『まんぷく』を見守り続ける

リアルサウンド

19/2/3(日) 6:00

 結核で亡くなってからも、福子(安藤サクラ)や鈴(松坂慶子)の夢枕に立つ形で登場し続けるのが、咲(内田有紀)である。夢に出てくる彼女はいつも、福子や鈴にちょっとした意見を言ってくれるだけに、本作中で重要な役割を果たしてきた。咲と真一(大谷亮平)の結婚式で福子が言っていたように、今井家の父親代わりになり、自分のことを後回しにして家族を支えてきた咲。陰に陽にみんなの面倒を見てくれた彼女の役割は、生前からずっと変わらないのだ。

参考:壇蜜、忠彦(要潤)のモデル役として『まんぷく』出演決定 「香田家のみなさまを、妖しく振り回しました……」

 今週の『まんぷく』(NHK総合)では、そんな咲と結ばれていた真一が新たな婚約者・好美(東風万智子)を連れてきた。とはいえ、彼女のキャラクターは咲とは異なり、比較的陽気な性格で、よくしゃべる女性。福子が当初驚いていたのも無理はない。ただ、子どものいたずらの話を福子に聞かせる好美の横で、真一は終始笑顔で、心の底から彼女を気に入っているようだった。

 思えば真一自身の性格も、本作に登場した当初とは幾分変化を見せている。初期の真一はどこか堅いイメージを漂わせており、真一と顔を合わせたばかりの鈴は、彼のことを「ちょっと冷たそうに見えるのよね」と評していた。もちろん決して真一は冷たい性格なんかではなく、実直で、誠実で、ただひたむきに咲のことを愛し続けるタイプの男性であったことは言うまでもない。

 そんな真一の性格が、周囲も気づくくらいに変わったのは終戦後のことである。それまでの堅い雰囲気が薄れ、表情に明るさが増すようになったのだ。第30話で、「真一さん、まるで人が変わったみたいに明るいから。あなたも見てきたんですね。地獄を」と言う忠彦(要潤)に対し、真一が「忠彦さんも」と返すシーンがあった。戦地で過酷な経験をしてきた2人。真一は性格に変化を見せ、忠彦は画風を一変させるようになったのだった。

 とはいえ、当然のことながら、真一の咲に対する思いはいつまでも変わらない。忠彦が描いた桜の絵を、形見として大切にしてきた真一。戦地から帰ってきた真一が、「ただいま」を告げたのもこの絵だった。そして、再婚相手の好美は、咲そのものともいえるその絵を「いつまでも大切に飾って下さい」と真一に伝えたという。真一がこの人なら咲も認めてくれると思ったのは、こうした好美の思いによるものなのだ。

 実際、咲も福子の夢枕に立った時に、福子に「いい人やったでしょ」と伝える。咲は直接好美を知っているわけではないものの、真一が選んだ人だからという理由でそう言ったのだ。福子から悲しくないのかと聞かれるも、真一が幸せになってくれればそれで良いとする咲。もちろん、鈴が指摘したように、これはあくまで福子の夢における咲に過ぎない。ただ、鈴も最後の最後には認めたように、好美はきっと咲という存在を本当に大切に思っているのだろう。好美は、真一も、咲も、そして真一が大切に思っている皆のことも全部好きになりたいと言っていた。咲が亡くなってから17年の時を経て、真一が残りの人生の伴侶として好美を選んだことは、恐らく間違った選択にはならないはずだ。

 今週の放送で再び触れられた桜の絵であったが、これからもその絵は真一、いや、真一を囲むすべての人々にとって大切な存在であり続けることだろう。それはすなわち、いつまでも『まんぷく』の皆を咲が見守り続けてくれることを意味しているのかもしれない。今後も、咲と、忠彦の描いた桜の絵がどのような形で登場するのかに注目である。(國重駿平)

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