Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

『ブラック・ウィドウ』でついにMCU初登場! タスクマスターが原作ファンから人気のワケ

リアルサウンド

20/3/27(金) 10:00

 5月1日に日米同時公開予定だった、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ブラック・ウィドウ』が、新型コロナウイルス禍により公開延期となってしまいました。ちょうど『アベンジャーズ/エンドゲーム』の公開から1年であり、再びブラック・ウィドウにスクリーンで会えると思っていただけにちょっと残念ですが、公開中止ではありません。お楽しみがちょっと先に延びただけですから。そこでいまリリースされている予告編などをチェックしながら、『ブラック・ウィドウ』についてワクワクしながら思いをめぐらせていきましょう。

参考:動画はこちらから

 まず『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観た方なら、あの作品で描かれた“ブラック・ウィドウの選択”を知っているハズです。では今度の映画はどうつながるのか? 実は本作は『アベンジャーズ/エンドゲーム』の後の話ではなく、その前の話です。

 アベンジャーズの物語は、大雑把に言うと『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』→『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』→『アベンジャーズ/エンドゲーム』となるわけですが、本作は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の間に、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフになにがあったのかを描く作品です。

 これは非常に上手い設定だと思います。というのも、ブラック・ウィドウ=ナターシャ・ロマノフ自体は、2010年の『アイアンマン2』に登場し、10年間MCUで活躍してきたキャラですが、その過去やオリジン(誕生秘話)がキチンと語られたことはありません。何度か示唆はされてきましたが、その多くは謎につつまれています。どうやら彼女は過去に、スパイや暗殺者として、結構“汚い仕事”をしてきたようで、その過去の清算、罪滅ぼしのためにアベンジャーズに入り人々のために戦っている、という感じです。過去に一体なにがあったのかが本作でついに明らかに? そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』での、あまりにも衝撃的な選択をなぜ彼女がしたのか、その本当の理由も描かれるらしい。しかも『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の後ということは、アベンジャーズが事実上解散しヒーローたちが不在のタイミングです。したがってナターシャは、ヒーロー仲間を頼ることなく一人で戦わねばならない。ナターシャを主役にした映画を作るにはうってつけの設定が用意されている、というわけです。

 というわけで、本作は彼女の活躍を楽しめばいいわけですが、ここにすごいヴィランが登場します。その名はタスクマスター。予告編の中で、髑髏のようなマスクを付けフードを被った怪人。弓や盾を使っていますね。

 マーベル・コミック好きにとってこのキャラは、早く映画に登場してほしいと願うヴィランの一人でした。昨年サンディエゴ・コミコンに参加する機会(フェイズ4発表でさらに加速するMCUの熱狂 杉山すぴ豊のサンディエゴ・コミコン現地レポート)があったのですが、ここで『ブラック・ウィドウ』のフッテージ(映像の一部)が流れた時、大歓声があがったのはこのタスクマスターの登場シーンだったと記憶しています。このキャラはなぜ人気があるのでしょうか?

 タスクマスターは1980年のアベンジャーズのコミック195号でデビューしました。このコミックの最後のコマに登場し、悪の組織に忍び込んだアントマンたちをやっつけて捕まえます。そして次の196号で表紙に登場し、この号でアベンジャーズたちと本格的に戦います(なのでこの196号をデビューと紹介する方もいるのですが、195号にとにかく登場しています)。

 タスクマスターの正体は、トニー・マスターズという傭兵。スーパーパワーは持っていないのですが、写真的反射神経(フォトグラフィック・リフレクシズ=Photographic Reflexes)という才能の持ち主で、一度見た相手の動きを完璧に習得しコピーできるのです。

 予告編で、タスクマスターが「盾」を使い、「弓矢」を放ち、「爪のついた手をクロスさせ戦闘ポーズ」をとっていますよね? あれはつまり「キャプテン・アメリカの盾の技」「ホークアイの弓術」「ブラックパンサーのコンバットスタイル」を見て習得したわけです。実際戦わなくても相手の動きを映像などで見るだけで身に付けるのです。ブラック・ウィドウが戦っている映像を熱心に見ているのは、彼女の動きを身に付けるためです。

 相手の技をコピーできるといっても、光線技や超能力などはコピーできません。従って彼のアクションはもっぱら肉弾戦がメインになります。なので、格闘ゲームにはうってつけのキャラで、『MARVEL VS. CAPCOM3』には登場するし、大ヒットしたPS4の『Marvel’s Spider-Man』、さらにこの秋発売されるスクエア・エニックスのアベンジャーズのゲームでもブラック・ウィドウとタスクマスターのバトルが楽しめます。

 コミックの方でタスクマスターが人気を博した理由は、ヴィランだがヒーローでもあるということです。というのも、この才能を活かして悪の組織やヒーローたちの教官をやることが多い。例えば悪の組織の戦闘員たちに「いいか? キャプテン・アメリカはこういう風に盾を投げてくるんだ」とレッスンできるわけです(笑)。実際、アベンジャーズのコミック196号においても、ワスプに「あんた、一体なんなのよ!」と問われ、「俺か? 教師だ」と答える件があります。だから多くのヴィランやヒーローと顔見知りだったりするのです。

 映画『ブラック・ウィドウ』でも、次なる女暗殺者たち=新たなるブラック・ウィドウたちを指導する教官であり、ナターシャの前に立ちふさがります。なお、コミックでは彼もまた超人血清を打たれていたり、新たなミッションにつくと直前の記憶を忘れてしまうとか細かな設定があるのですが、本作でそれが反映されているかどうかは未定です。映画的には、様々なヒーローの動きを彼が再現してナターシャに挑むわけですから、様々なバトルの見せ場で楽しませてそうです。というわけで、タスクマスターが出るとアクション映画として盛り上がること必至。ファンはそこに期待していますが、さらにあと2つ、タスクマスターがもたらしてくれるだろうお楽しみがあります。

 1つは、彼は覆面ですよね? 一体だれがこの役を演じているかということです。いまやMCUのメインキャラを演じるのは大スターばかりです。ちょっと前まではマスクをとったらキアヌ・リーブスが演じていた! なんてことがあるんではないかと言われていました。仮面の下の顔が気になります。

 また、先ほどこのキャラは他のヴィランやヒーローたちに対しても顔が広い、と書きました。なので、もう1つのお楽しみは、タスクマスターがこれからのMCUキャラとつながっている可能性は高いということ。

 実際、配信で展開される予定のMCUドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』にはUSエージェントという“もう一人のキャプテン・アメリカ”が出てきますが、USエージェントをタスクマスターが教えていたという設定がコミックにはあるので、ここがつながるかもしれない。また映画『ブラック・ウィドウ』にはウィリアム・ハート演じるロス元将軍というのが出てきますが、コミックではロスがサンダーボルツという訳ありのヒーローチームを作り、そこにタスクマスターも参加するというストーリーがあるので、映画版サンダーボルツの伏線があるかもしれません。そしてそして! コミックの中では、あのデッドプールとタスクマスターがコンビを組んだりもします。したがって、タスクマスターがきっかけで、MCUにデッドプールが来れるかもしれないのです!

 そう、本作でタスクマスターがどう扱われるか&描かれるかは、これからのMCUを占う意味でも重要なのです。公開時期は未定となってしまいましたが、その時を楽しみに待ちましょう。 (文=杉山すぴ豊)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む