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裂固、WILYWNKA、LEON a.k.a. 獅子……「高校生RAP選手権」出身の注目次世代ラッパーたち

リアルサウンド

 今年3月に初のフルアルバム『TIGHT』をリリースし、テレビ朝日系『フリースタイルダンジョン』の2代目モンスターとしても活躍中の裂固。レゲエDJのVIGORMANとプロデューサーのGeGと共に結成したユニット・変態紳士クラブのメンバーであり、9月には待望の1stアルバム『SACULA』をリリースするWILYWNKA(ウィリーウォンカ/WillyWonka)。4月に初のEP『Beat to death』をリリースし、AbemaTVの次世代ラッパー発掘オーディション番組『ラップスタア誕生!シーズン2』では審査員たちから絶大な支持を集めて優勝したLEON a.k.a. 獅子。現在21歳の裂固とWILYWNKA、19歳のLEON a.k.a. 獅子は今最も注目すべき次世代ラッパーといえるだろう。

 そんな3人の共通点は「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」。裂固は「第9回高校生RAP選手権」で優勝、WILYWNKAはTAKA名義で「第1回高校生RAP選手権」から出場し非常に高い評価を受けた。LEON a.k.a. 獅子も「第8回高校生RAP選手権」で優勝を飾っている。彼らは「高校生RAP選手権」をきっかけに大きく注目され、全国的に知名度を上げたのだ。そしてMCバトルで培ったラップスキルを生かし、大きく活動の幅を拡げている。そこで今回はこの3人の次世代ラッパーたちのバックボーンや音源を含めて紹介していく。

ラップで人生を逆転した 裂固

 2017年1月に配信されiTunesのヒップホップチャートで1位を獲得した裂固のシングル曲「Keep On Runnin’」。中学生の時に父親の借金が原因で両親が離婚し、経済的な理由で高校進学を断念。週6日寿司屋でアルバイトをして家計を支えながら、ラップをしてきた苦労人だ。そして18歳の時に出場した「第9回高校生RAP選手権」で優勝したことでライブの依頼が殺到し、音楽の収入で食べていけるようになったという。

〈俺のライフ荒れ狂う波の上にあり/Keep on ruunin’/離れていようが はぐれようが俺の心ここにあり/Keep on ruunin’/終わらない夢 この止まらないTrain/愛すべきはみ出しもんの群れ/終わらない夢 この止まらないTrain/一寸先は快晴のHave a nice day〉

 早口でたたみかけるようにリリックを吐き出し、自身の境遇をラップで表現する裂固。タイトに韻を踏むラップスキルもさることながら、逆境をバネにラップで人生を逆転させたハングリー精神こそが裂固の強さだ。長らくMCバトルやライブをメインに活動してきたが、今年のアルバムリリースを機に今後は音源活動にも注目したい。

[ MV ] Keep On Runnin’/ 裂固

大阪が生んだ若きラップスター WILYWNKA

 韻踏合組合のHIDADDYが経営するアパレルショップ「一二三屋」で中学生の頃からラップの修行をしてきたWILYWNKA。「高校生RAP選手権」に出場し一気に頭角を現したが、一時的に表舞台から姿を消してしまった。しかし再びHIDADDYのサポートを受けてラップ人生をリスタート。意識的にMCバトルから音源制作に軸足を移し、精力的に活動を続けている。

〈過去の黒歴史 Drugで溺死しかけたTeen/I wanna be a rich 未だ夢から覚めない ただのクソガキ/ただしreal shit これは嘘なし/学校には行かなかったけど Streetは全て俺の教科書/良いも悪いも全部飲み込み 次を狙うリリシストのGun shot〉

 AbemaTVの『ラップスタア誕生!シーズン1』に出場した時に制作した曲「Kill Me」では自分の経験を強烈にラップしている。ちなみにこの番組では応募者250人の中から決勝まで勝ち進み、僅差で2位という結果に。審査員のSEEDAは「今回優勝できなかったけど必ずスターになる」とコメントし、将来性を高く評価した。

 WILYWNKAの強みはラップスキルはもちろんだが、特筆すべきはストーリーテリング能力の高さと人を魅きつけるカリスマ性だろう。彼の書くリリックは聴く人を一気に曲の中に引きこむ。そして彼のルックスやファッションセンス、MVやステージでの立ち振る舞いからは弱冠21歳にしてスターの風格が感じられるのだ。

 WILYWNKA待望の1stアルバム『SACULA』はANARCHYが立ち上げた新レーベル<1% | ONEPERCENT>から9月にリリースされる。ぜひ次世代のスターをチェックしてみてほしい。

WILYWNKA – Rapper’s Flow (Prod. NOAH)

限りない10代のポテンシャル LEON a.k.a. 獅子

 父親が日本人、母親がギリシャと韓国のハーフという3カ国にルーツを持つLEON a.k.a. 獅子。両親がともにR&Bやロックをやっていた影響で幼少期から音楽に触れて育ち、小学生の頃はRed Hot Chili PeppersやRage Against the Machineなどのロックを好んで聴いていたという。しかし11歳の時にLinkin Park とJay-Zのコラボ曲を聴いて衝撃を受け、ヒップホップにハマった。

 〈くだらないラッパーども区別する当然/どうせお前らじゃ叶わない挑戦/OKやる気だ ぶち抜く脳天/首筋かみつき食らいつく狂犬/上下あり得ない かましてサーセン/このまま止まらねえ 他のは冷や汗/ビビらせ 最後までザコども焦らせ/一列並べてお前らはケツ出せ/皮えぐれるまでSLAP  モノホンのTRAP 他のは虫けらTRAP〉

 『Beat to death』の1曲目「SLAP」の一節。血気盛んで攻撃的なリリック、物怖じしない若手ならではのフレッシュで媚びないスタイルが痛快だ。そしてLEON a.k.a. 獅子のすごさは、圧倒的なスキルから繰り出される倍速フロウとどんなビートも乗りこなす日本人離れしたグルーヴ感にある。これはスキルを磨けば誰にでもできるわけではなく、彼の生まれ育った環境と天性の才能があってこそ生まれたものだろう。

LEON a.k.a.獅子 / SLAP

 「日本語のラップを世界に持っていきたいっすね。ずっとUSのヒップホップばっか聞いていたんで、もっといけるなって。自分が日本のヒップホップをレベルアップさせたいっすね。そういう想いでやっています」

 『ラップスタア誕生!シーズン2』のインタビューで彼はこう話した。世界で日本のヒップホップが聴ける日が来るよう、これからの活躍に大いに期待したい。

■橋本洋平
1981年横浜生まれ。広告制作の傍ら、ヒップホップやR&Bを中心に執筆する音楽ライター。ファンキーなサウンドが好きで、ロックやEDMも好む。
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