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EXILE SHOKICHIが語る、ソロ活動とグループでの役割 「培ってきた音楽をEXILEに反映させる」

リアルサウンド

18/9/28(金) 8:00

 EXILE SHOKICHIがシングル『Futen Boyz』を10月3日にリリースする。表題曲はEXILE HIROが企画プロデュースを行う総合エンタテインメント・プロジェクト『HiGH&LOW』シリーズの最新映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』のオープニングテーマとなっており、MVでは劇中に登場するキャラクター・縦笛兄弟(八木将康/天野浩成)との共演を果たしている。

参考:SALU、なぜLDHに移籍した? EXILE SHOKICHI率いる<KOMA DOGG>の可能性

 7月には新たなプロジェクト<KOMA DOGG/LDH MUSIC>を発足し、その第一弾アーティストとしてラッパーのSALUを迎えて大きな話題になったほか、現在はEXILEのボーカリストの一人として全国ドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2018-2019 “STAR OF WISH”』を行うなど、音楽シーンにインパクトを与える活動を次々と展開しているEXILE SHOKICHI。歌やダンスのみならず様々な楽器を操るマルチプレイヤーであり、自ら作詞/作曲を行うコンポーザーであり、他のアーティストの活動をサポートするプロデューサーでもある彼のアクティビティの源には、一体どんなアティテュードがあるのか。新曲の制作背景やソロ活動の展望、EXILEにおける自身の役割から、その現在地を探った。(編集部)【※記事最後に読者プレゼントあり】

遊びながら自由に作った楽曲

――5月にリリースした『Underdog』以来、約4カ月ぶりとなるシングル『Futen Boyz』が完成しました。表題曲は、映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』(9月28日公開)のオープニングテーマとして書き下ろしたのですか?

SHOKICHI:そうですね。しかも、お話をいただいたときに、すでに映画はほとんど完成していて、どのシーンで使われるかも全部決まっていたので、すごく作りやすかったです。実際に映画を観たら、すごい入ってきやすい内容というか、純粋に楽しめる作品だったのも良かったです。「こういう感じで作りたいな」っていうのが、スムーズにイメージできました。

――『HiGH&LOW』シリーズではお馴染み、山王連合会のダン(山下健二郎)、テッツ(佐藤寛太)、チハル(佐藤大樹)の3人が主人公となっています。彼らのキャラクターも楽曲に反映しているのでしょうか?

SHOKICHI:しっかり反映しています。3人が旅をしながらある街に辿り着いて、その街で恋をしたり、そこで暮らす人たちの生活に入り込んで、ちょっとしたお手伝いをする人情物語なので、『男はつらいよ』シリーズの寅さんーー“フーテンの寅さん”みたいだなと感じたんです。それで、3人の姿から“フーテン・ボーイズ”という言葉を思いついて、タイトルにしました。

――楽曲のサウンド面は、どのようなイメージで制作したのでしょう?

SHOKICHI:オープニングシーンは、3人がビンテージカーに乗り込んで、何も無い一本道を駆けていくようなシーンで、ロカビリーっぽいイメージを受けたんですよね。それで、今回はロカビリーのテイストを盛り込んだ楽曲にすることにしました。エルヴィス・プレスリーを始め、様々なフィフティーズのアメリカンロックをいろいろ聴き込みましたね。そこから得たイメージを、いつも一緒に音楽制作をしているSKY BEATZに、BPMや細かいディテールも含めて伝えたら、もうバッチリなトラックを仕上げてくれたので、そこにトップラインを作って乗せていきました。作業自体はすごいスピーディで、企画から完パケまで、2週間ぐらいしか掛かってないと思います。その中でいろいろと遊ぶこともできて、例えばBメロはエルヴィス・プレスリーの「監獄ロック」にインスパイアされたところもあるんですよね。メロディも肩の力を抜いて、かなり自由に作れた一曲になったと思います。

――映画の内容自体も、『HiGH&LOW』のスピンオフという位置付けでありながら、アクション無しの“青春純情ムービー”という、遊び心のある作品になっています。

SHOKICHI:すごく明るい作品で、ちょっとファニーなところもある映画なんですよね。楽曲でもそのムードを大事にして作りましたし、MVも今回はかなり遊びました。もっとも、映画を観ていない人は意味がわからないと思うんですけど、個人的には、劇中に出てくる“縦笛兄弟”というアーティストが結構刺さって……しかも、そのひとりは、自分の実の弟(八木将康)だっていう(笑)。これはもう、MVにも彼らに登場してもらうしかないなと。実は、これが初の兄弟共演になるんですよ。意外なことに、これまであまり仕事で絡むことはなくて。いい機会になったと思います。

EXILE SHOKICHI / Futen Boyz (Music Video)
――こういうコミカルな作風は珍しいですね。

SHOKICHI:フィフティーズを現代に落とし込むには、ちょっとコミカルなところも必要なんじゃないかなと。生真面目にやるよりは、ちょっと遊んでいる感じ。『クライ・ベイビー』っていうジョニー・デップが主演した映画があるじゃないですか? あれもわりとコミカルな感じでフィフティーズを描いているんですよね。あのイメージを、自分なりのフィルターを通して形にしていきました。

自分の中では第2章のイメージ
――そんな遊び心溢れた表題曲に対し、カップリングの「プラトニックラブ」は、かなりシリアスなバラード曲になりましたね。

SHOKICHI:良い意味で対比的になりましたし、この曲の完成度には、自分的にかなり満足しているところがあって。基本はR&Bなんですけど、ちょっと最新のヒップホップも感じるような……だけど、馴染みのあるJ-POPのメロディラインのサビがある。そういう曲を毎回作りたいとは思っていたんですけど、今回それがひとつ形になったかなと。だから、この曲はめちゃめちゃ気に入ってますね。歌詞の内容も、自分史上多分いちばん深い感じに完成させられたかなと思っていて。一見、ラブソングなんですけど、実はいろんなふうに読みとれる歌詞になっているんですよね。

――様々な解釈ができる歌詞になっていると?

SHOKICHI:たとえば、SNSが一般化して以降、偏見や誹謗中傷が可視化されて、まるで大戦争状態ですよね。そういう状況の中で、EXILE SHOKICHIとして何を歌おうかと考えた時、自分が思ったことをダイレクトに表現するのは少し違うと感じたんです。そのため、たくさんの比喩を入れながら歌詞を書いていきました。一方で、ブリッジの部分は牧師が語っているようなイメージで英語詞にして、かなりストレートなメッセージを込めたりしています。その対比によって、立体感のある歌詞になったと思うし、深みのある内容になったのではないかと。

――3曲目には、2015年のシングル「Don’t Stop the Music」に収録されていた「Y.L.S.S. feat.PKCZ®」のリミックスバージョンが収録されています。

SHOKICHI:最近はPKCZ®のイベントに出演することも結構多いので、何かもう一回、「Y.L.S.S.」――“イエロー・レモンサワー・スクワッド”をリバイバルできたらいいなと思っていたんです。加えて、今回のソロプロジェクトは、自分の中では第2章のイメージでありつつ、第1章から続いているものでもあるので、それを楽曲面でもちゃんと提示したかったので、久しぶりにリミックスを作らせていただきました。

――EDM色の強かったオリジナルバージョンと聴き比べると、SHOKICHIさんが今、指向している音が、すごく反映されているように感じました。

SHOKICHI:今回は新しくギターの音を入れてみたりとか、自分の中にあるロックのムードみたいなものを、かなり反映した感じで仕上げています。だから、結構前とは違う感じの雰囲気の曲になっているとは思いますね。

変化を楽しめるような余裕が生まれてきた

――今回もまた3曲3様のシングルとなりましたが、ここまでの段階で、今回のソロ第2章に関しては、どのような感触を持っていますか?

SHOKICHI:流れに沿いながらも、それをすごく楽しめている感じがあります。それこそ、映画のオープニングテーマの話も、当初はリリースする予定もなかったんですけれど、せっかくだからシングルカットしてみんなに聴いてもらおうとなったり、いろんなことを決め込みすぎないで進められている感じです。できたばかりの曲を、「あ、これはいいな」と思ったら、そのまま出せるようになったというか。

――そこが前回のソロとは違う?

SHOKICHI:そうかもしれません。前回のソロのときは手探りなところがあって、制作の仕方も模索していたところがあったので。それに比べると今回のソロは、制作も自分の時間軸でできているというか、追われないでやれている感じがあるんです。常にちゃんと冷静に、この曲をこのシングルに入れようとか、そのカップリングはこの曲にしようとか、いろいろ考えることができているというか。前は、3曲入れるなら3曲作らなきゃみたいな感じだったんですけど、今はいろいろ作っているものの中から、厳選して入れることができているんですよね。今は常に曲を作っていて、一曲一曲にしっかりフォーカスできている感じがありますね。

――ちなみに、この8月には、三代目J Soul Brothersの今市隆二さん、登坂広臣さんが相次いでソロアルバムをリリースするなど、LDH内のソロ活動が活性化している印象があります。他の所属アーティストの活動を意識することは?

SHOKICHI:僕自身、ちゃんと自分の道を進めているので、変に意識することはないですね。彼らとはそれぞれ一人のアーティストとして向き合っている感じなので、何か力になれる時は手を貸したいと思いますし、良い感じでコラボレーションできる機会があったら、一緒にやってみたいとは思っていますね。

――ソロと言ってもそこまで気負いなく、それぞれ自由に自分の道を歩んでいる時期なのかもしれませんね。

SHOKICHI:僕も以前はすごく気負いがあったというか、こういう曲を作りたいとなったら、もうそれしか考えられないような状態だったんですけれど、今は誰かと一緒に楽曲を作ろうとなったら、その変化を楽しめる余裕が生まれてきたと思います。この人に渡したら、こういう感じに変わったけれど、それもまた良いねと思えるようになったというか。いろんなことを素直に受け入れることができるようになってきたのかもしれません。

――EXILEが再始動するまで、EXILE THE SECONDが特に大きな役割を果たしてきたと思います。そこでひとつ結果を出せたことに対する達成感も関係しているのでしょうか?

SHOKICHI:それはあるかもしれないですね。変なフラストレーションが無いというか。あと、EXILEの新しいアルバム『STAR OF WISH』でも、一曲プロデュースすることができたので。それはやっぱり、自分にとって大きなことでしたね。

――当然ソロアルバムの準備も進めているでしょうし、ここから半年~一年ぐらいは、SHOKICHIさんにとって、かなり重要な時期になりそうですね。

SHOKICHI:今はもう、アルバムに向けて、まっしぐらって感じですね(笑)。その先にはやっぱりソロツアーができればいいなと思っているので、それも含めていろいろ考えています。今回のシングルには、「ライブもこれぐらい楽しいですよ」という感じで、自分のソロパフォーマンスのライブ映像も入っているので、そこから自分のライブの雰囲気を想像してもらえたら最高だなと思います。

王道のEXILEサウンドにエッセンスを

――ソロと並行してSHOKICHIさんが立ち上げたプロジェクト<KOMA DOGG/LDH MUSIC>についても教えてください。

SHOKICHI:僕は<LDH music&publishing>というレーベルに籍を置いていて、<KOMA DOGG/LDH MUSIC>はそこにおける自分のチームみたいな感じです。大げさな喩えで恐れ多いですが、Jay-Zの<Roc Nation>みたいな感じというか。<Roc Nation>はJay-Zが主宰しているクルーなんだけど、彼が全部をプロデュースするわけでもなく、全体としてひとつのブランドになっているんですよね。それと同じように、音楽はもちろん、いろんなプロジェクトを<KOMA DOGG>という自分のクルーから発信していきたいなと。先日、SALUくんに入ってもらいましたけど、そうやってこれから新しいアーティストを増やしていって、どんどん強くしていきたいです。

――SHOKICHIさん自身のソロとは、また違う流れなのですか?

SHOKICHI:そうですね。でも、自分のプロジェクトではあるので、<KOMA DOGG>として誰かをプロデュースしたり曲提供をしたりしながら、<KOMA DOGG>内のEXILE SHOKICHIとしての活動も並行してやっていきたいとは思っています。<KOMA DOGG>は、まだ人数がめちゃめちゃ少ないというか、俺とSALUくんしかいないので(笑)。SALUくんにも、すごく自由に活動してもらっていて、別に僕が「こういう曲をやってみたらいいんじゃないの?」と言うこともなく、今までのSALUくんのまま、ずっと走っている感じです。だから、どんなものを作るかというよりも、<KOMA DOGG>がひとつのコネクションになって、いろんなところと繋がりやすい感じにしていけば良いのかなと。

――<KOMA DOGG>に加入した際のSALUさんのコメントを見ると、音楽性はもちろんだと思いますが、SHOKICHIさんの人柄や人間性に惹かれたのがポイントだったように感じます。

SHOKICHI:SALUくんの音楽性自体は、何も変わらないですよね。ただ、それをよりやりやすい環境みたいなものは、ちゃんと整えていきたいなと考えています。

――そういった一連の活動も含めて、SHOKICHIさんは、いろいろと活動の幅を広げていく、LDHの“切り込み隊長”的なイメージがあります。

SHOKICHI:まあ、異質なところはあるかもしれないですね(笑)。だけど、自分にできるのは、常に曲を作るということだけなので。それは自分の曲だけじゃなくて、提供曲みたいなことも含めて。だから今は、いろんなことを企みながら、ひたすら曲作りを頑張っている感じですね。

――9月15日からは、SHOKICHIさんも参加しているEXILEのドームツアーもスタートしました。そこでのSHOKICHIさんの役割みたいなものも、やはりこれまでとは変わってくるんじゃないですか?

SHOKICHI:EXILEの中で、自分ももっと力を発揮できたらいいなとは思います。EXILEは今、ひとりひとりの役割分担がすごくはっきりしていて、例えば僕の場合は、培ってきた音楽をしっかりとEXILEに反映させることだと思っています。それが最近、ちょっとずつできるようになってきたのかなと。ツアーのリハーサルでも、「じゃあ、この曲の繋ぎ、SHOKICHI頼むわ」みたいな感じで、任せてもらえるようになったり、今回の「STEP UP」のように、自分が提案させてもらった曲がEXILEのアルバムに入ったり。そういうのが段々と多くなってきていますね。

――楽曲面でのテクニカルなアプローチなど、音楽的な役割を担いつつあると。

SHOKICHI:王道のEXILEのサウンドに、ちょっとしたエッセンスを加えたりするのが、今の僕の役割でしょうね。それと、今のEXILEは本当に多面的な魅力があって、ひとつのステージの中で、いろんな形にトランスフォームすることができるんです。それこそ2ボーカルになったり、4ボーカルになったりして、いろいろな見せ方ができるグループになってきている。だから、今回のドームツアーでは、EXILE内でもいろいろな化学反応が起きると思うし、そこは自分もすごく楽しみにしているところです。そこで得た経験は、きっとまた自分のソロの活動にも反映されていくんじゃないかと思います。(取材・文=麦倉正樹/写真=林直幸)

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