Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

乃木坂46メンバーだけじゃない! 小西桜子、福本莉子、桜田ひよりら『映像研』注目女優

リアルサウンド

20/10/9(金) 8:00

 乃木坂46の齋藤飛鳥を筆頭に、梅澤美波、山下美月らがメインキャストを務めている映画『映像研には手を出すな!』(以下『映像研』)。本業がアイドルである彼女たちの奮闘ぶりも見どころの本作だが、この3名を囲む若手俳優たちにも注目して欲しい。ここでは、小西桜子、福本莉子、桜田ひよりの3名について紹介したい。

小西桜子

 本作において、“ボス的存在”を演じているのが小西桜子だ。舞台は、おびただしい数の部活動や研究会で溢れ返る芝浜高校。それらを統べる“大・生徒会”の会長が、小西演じる道頓堀透である。彼女は円滑なコミュニケーションを取るのが苦手であり、図らずも独裁政治に近いスタイルの会長になってしまっているものの、それもうまくいっていない。破天荒な“映像研”の面々に出し抜かれることもある。

 そんな生真面目で不器用な道頓堀を演じる小西だが、この人物は“ボス的存在”とあって、いわゆる大役と言っていい。しかし、小西の存在を認識したのは今年に入ってから、という方がほとんどではないだろうか。2月に公開された映画『ファンシー』が彼女にとって商業映画初出演作であり、同月に公開された三池崇史監督作『初恋』で、一気に映画ファンの心を射止めたことだろう。毛色の異なる2作品で演じたのはいずれもヒロインであり、期待の超・大型新人として銀幕の世界に登場したのだ。

 その後は、“着実に”というよりも、怒涛の勢いで俳優活動を展開させている。映画のみならずテレビドラマにも顔を出すようになり、今作のドラマ版『映像研』(MBS/TBS系)にてレギュラー出演。同名作品のアニメ版が大きな話題を呼んでいたことや、今作のメインキャストが現役アイドルである以上、否が応でも注目が集まることなどからして、やはり小西の就いたポジションは大きい。製作サイドの彼女への期待値が、いかに高いか知れるのだ。

 経験値や技術に関しては、もちろんまだこれからといったところなのだろう。しかし、どこかたどたどしさを感じさせる彼女の演技は、道頓堀というキャラクターにピッタリでもあった。今年公開される映画『佐々木、イン、マイマイン』『猿楽町で会いましょう』での小西も見逃してはならない。

福本莉子

 小西桜子が演じる生徒会長・道頓堀透の側近であり、“斬り込み隊長”の阿島九役を務めているのが福本莉子。“映像研”の面々とタメ張る活発さを持つのが彼女だ。終始浮かべている不敵な笑みが印象的である。

 そんな阿島を演じる福本といえば、今夏公開され話題を呼んだ『思い、思われ、ふり、ふられ』で主演の1人を務めたのも記憶に新しいところ。今作『映像研』で見せる姿とは大きく異なり、内気な女子高生が成長していくさまを瑞々しく好演している。もう1人の女性の主人公を演じた浜辺美波の、大人びたキャラクターと対照的であったのも好ましかった。

 福本もまた、小西ほどではないものの俳優としてのキャリアはまだ短い。映画デビューを果たしたのは2018年公開の『のみとり侍』でのことだ。その後、テレビドラマでの活躍と並行して、月川翔監督作『センセイ君主』(2018年)、木村ひさし監督作『屍人荘の殺人』(2019年)と、少しずつスクリーン内での輝きも放ってきた。『映像研』での阿島役は、彼女の存在をさらに知らしめるものとなったことだろう。

 福本は浜辺と同じく、「東宝シンデレラ」オーディションの出身者だ。2人とも同い年ではあるものの、浜辺の方がデビューは先でキャリア的にも長く、先輩である。『思い、思われ、ふり、ふられ』での共演という先例もあるが、福本も浜辺と近しい軌跡をたどっていくのではないだろうか。

桜田ひより

 先に述べてきた小西桜子、福本莉子より年少でありながら、もっともキャリアの長いのが桜田ひより。何せ彼女は子役から俳優活動を行ってきた。ドラマ版に続き劇場版が公開された、『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』(2018)なんて主演作もすでにあるのだ。

 そんな桜田が『映像研』で演じるのは、唯一の音響部部員である百目鬼。一匹狼的な存在の彼女だが、いまや映像に欠かせない“音響”を手がけることで、“映像研”の面々と手を組むこととなる。どちらかと言えばハツラツとした印象が強かった桜田だが、本作では口数の少ない女生徒に扮している。それでいて、彼女が登場すると大きな安心感が生まれるのは、この人物を演じているのが桜田であることにほかならないだろう。

 桜田のキャリアが長いということは先に記したとおり。つまり、踏んできた“場数”が圧倒的に違うのである。それは、メインキャストを務めた3名に対しても言えること。桜田は俳優として、実にさまざまな現場で経験を積んできた。筆者的に印象深いのは、やはり『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年)で、“あの満男(吉岡秀隆)”の愛娘を演じていたことである。

 同作は『男はつらいよ』シリーズ50作目にして完結編となった、多くの人々から愛される作品。主演は故・渥美清演じる“寅さん”だが、彼の甥である満男が“愛すべき僕のおじさん”の存在を振り返る構成となっている。“寅さん”の遺伝子を継ぐ満男は、本作において最重要人物だ。その娘役を桜田が演じているというのは、彼女がいち俳優として信頼できる存在であり、渥美や吉岡のように、何か愛される要素を持っている証なのではないか。こういった作品を経てきた経験が、『映像研』において彼女が登場する際の安心感に繋がっているのではないかと思う。やはり経験に勝るものはない。

 興行収入ランキングでも、初登場5位につけた実写版映画『映像研には手を出すな!』。作品を圧倒的な熱量で牽引する乃木坂の3名だけでなく、彼女らがいてこそ、盛り上がりを見せているのではないだろうか。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
映画『映像研には手を出すな!』
全国公開中
出演:齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波、小西桜子、グレイス・エマ、福本莉子、松崎亮、桜田ひより、板垣瑞生、赤楚衛二、鈴之助、出合正幸、松本若菜、山中聡、浜辺美波、高嶋政宏
原作:大童澄瞳『映像研には手を出すな!』(小学館 『月刊!スピリッツ』連載中)
監督:英勉
制作プロダクション:ROBOT
配給:東宝映像事業部
(c)2020 「映像研」実写映画化作戦会議 (c)2016 大童澄瞳/小学館
公式サイト:https://eizouken-saikyo.com/
公式Twitter:@eizouken_saikyo

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む