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大谷亮平、『まんぷく』出演で役者としての評価高める 内田有紀への愛を貫き通す、優しくも強い姿

リアルサウンド

19/2/15(金) 6:00

 ついに、“まんぷくラーメン”が完成! 残りひと月半となり、最終局面を迎えるNHK連続テレビ小説『まんぷく』。緩急のある脚本や気の利いた演出とともに、安藤サクラと長谷川博己を軸に、脇に至るキャストまで、俳優たちの好演も光っている。なかでも本作で評価を高め、はまり役として輝いているのが真一役の大谷亮平だ。

 物語の序盤から福子の姉・咲(内田有紀)の結婚相手として登場し、昭和の美男美女カップルとして魅了。当初こそ鈴(松坂慶子)に「なんだか冷たそう」と言われながら、咲の亡くなった後も福子や萬平に寄り添ってきた真一。その姿は視聴者の心を打ってきたが、演じる大谷亮平は、本作への出演を遂げるまでは、正直、役者としての評価が必ずしも高かったわけではない。

 1980年、大阪府吹田市出身の大谷は、38歳のアラフォー世代。学生時代はスポーツマンとしてバレーボールに勤しみ、大学卒業後は東京でモデルとしての活動を開始する。ほどなくCM出演を契機に韓国へと活動の場を移し、俳優として活躍。14年には「韓国ドラマアワード2014」グローバル俳優賞を受賞している。

 やがて日本へ戻り、16年に『ラヴソング』(フジテレビ系)で日本のテレビドラマ初出演を果たした。この時点ではさほど注目を集めたわけではなかったが、同年のヒットドラマとなった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で、メインのひとりである風見涼太役に抜擢されてブレイク。海外での活躍後に日本で活動を始めたという共通点を持ってブレイクしたディーン・フジオカに続くタイミングであったことから“第2のディーン・フジオカ”と称された時期もあったものの、役者としてのタイプもその後の活動タイプも違い、大谷自身が認知されていくことで、その呼称は自然と消えていった。

 最近の俳優にない男臭さと色気が同居した個性で一気にブレイクした大谷だったが、この時点では、まだそこまでの演技力は伴っていなかった。しかし、作品を積み上げ、確実に役者としての力を上げていく。ドラマでは17年には『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)、『片想い』(WOWOW)ほか、18年には『ラブリラン』(日本テレビ系)、『結婚相手は抽選で』(フジテレビ系)などに出演。繊細であると同時に危険な二面性を感じさせた18年のHuluドラマ『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』では、オーラとともにその演技力が格段に上がったことを証明した。

 映画に至っては18年に主演作『ゼニガタ』を含み、『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』『焼肉ドラゴン』『パパはわるものチャンピオン』と計4作に出演する。急遽出演が決まった『家に帰ると~』では、いわゆるこれまでの大谷のイメージに沿ったといえる会社員を演じ、一方『ゼニガタ』では、裏社会を舞台に無口な闇金屋を演じて新たな一面を見せた。

 そして『まんぷく』。現在では再婚相手を見つけたが、咲が亡くなってからも愛を貫き続け、香田家との良き関係を続けていった誠実で優しい真一の姿は、こちらの心をがっちりと掴んだ。大阪出身の大谷だが、普段の自身の大阪弁ではなく、真一のキャラクターに合う大阪弁にしていると答えているが、この穏やかな語り口も好評だ。

 結婚前の福子に「大事な人がいるなら 生きてそこにいるなら、簡単に手放してはいけない。いけないよ」、そしてラーメン作りに悩む萬平に「かのトーマス・エジソンはこう言った。『私は失敗したことがない。ただ1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ』。萬平君ならできるさ」など、ふたりが悩むたびに背中を支え、押してきた。

 真一役に巡り合えたのは、大谷にとって幸運だったといえる。しかしそれを幸運なものとしたのは大谷自身であり、日本に活動の場を戻してすぐにブレイクしても決して胡坐をかくことなく、真摯に仕事を見つめていった賜物だ。

 いま、ラーメンが完成した喜びの反面、「あぁ、あとひと月半で終わってしまうのか」と寂しさを感じている人も多いはずだが、信用組合を辞めてまで手伝いたいと申し出てくれた真一と共に、最後まで福子と萬平の歩みをしっかり見守り、真一の男らしさを堪能したい。そして真一役で優しさと真の強い男としての魅力、役者としてのポテンシャルを見せた大谷亮平のこれからにも期待だ。(文=望月ふみ)

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