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日本のコミックを吸収して育った仏監督が『シティーハンター』を実写化!

ぴあ

19/11/25(月) 12:00

監督・脚本・主演を務めたフィリップ・ラショー (C)AXEL FILMS PRODUCTION - BAF PROD - M6 FILMS

北条司の人気コミックをフランスで実写映画化した『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』が29日(金)から公開になる。共同脚本・監督・主演を務めたのは『世界の果てまでヒャッハー!』が大ヒットを記録したフィリップ・ラショー。彼は8か月におよぶトレーニングを経て主人公の冴羽りょう(獣へんに寮。本稿では平仮名で表記する)になるべく準備を進めたが、彼が重視したのは原作への愛情と“ユーモア”だったという。来日時に話を聞いた。

日本では知らぬ者がいない人気コミック『シティーハンター』は今年2月に新作アニメーション映画も公開されたが、フランスでも『ニッキー・ラーソン』のタイトルでアニメ版が放送され人気を集めている。子どもの頃から本作や『ドラゴンボール』が大好きで、日本のアニメに多大な影響を受けて育ったラショー監督は自ら実写映画化を希望し、企画書とプロットを原作者に送付。1年半かけて書いた脚本を手に来日して映画化権を得た。

「僕は日本のコミックやアニメーション、そしてフランスのコメディに多大な影響を受けて育ちました。だから意識をしたわけではないけど、知らず知らずのうちに自分が好きなもの、吸収してきたものがこの映画に集結しているのかもしれないですね」

映画はボディガードや探偵を行うスゴ腕の男・冴羽りょうと相棒の槇村香のコンビが、匂わせると一瞬で相手をトリコにしてしまう“キューピッドの香水”をめぐる陰謀に巻き込まれて、熾烈な戦いを繰り広げる様をギャグ満載で描いている。

本作は日本のコミックやアニメにルーツがあるが、そもそもある時期の日本の漫画は欧州のアクション映画、スパイ映画などから多くの影響を受けている。フランスでの実写化は、異国の地での映画化でありながら、ルーツのルーツに戻った趣きもある。

「なるほど。でも確かにそういう影響はあるかもしれませんね。たとえばですが『コブラ』(寺沢武一の名作コミック)の主人公は、仏俳優のジャン=ポール・ベルモンドがモデルになっていると聞いたことがあります。他の日本のコミックにもそのような影響があるのかもしれません。その一方で日本のコミックやアニメーションは、アメリカよりもフランスで愛されています。僕は子どもの頃から日本のアニメーションを吸収して育ってきました。僕はフレンチコメディを愛していますが、日本のコミックからもユーモアを学んだと思っています」

ラショー監督はこれまで多くのコメディ映画を手がけてヒットを飛ばしてきたが、アクションやサスペンス的な場面が次々に登場する『シティハンター』を映画化する上でも“ユーモア”を最重視したという。

「僕が子どもの頃、周囲の女の子たちはみんな、冴羽りょうのことが大好きでした。彼はカッコいいけど、“女好き”という点ではまるで4歳児みたいなところがあるし(笑)、いつも相手をからかっているようなところがあって『あんなにも女好きで、誰にでもアタックするような男のどこがいいんだろう?』と思っていた時期もありました(笑)。でもよく考えると、彼は相手をからかうにしても悪意がなくて無邪気だし、カッコいいだけではなくて笑わせてくれる。だから僕のまわりの女の子たちは彼に恋したんでしょうね」

だからこそラショー監督は、アクションもたっぷりあって、原作のキャラクターや世界観を守りつつ、冴羽りょうが愛すべき男になるようにユーモアとギャグを可能な限り盛り込んだ。

「脚本を執筆する段階で可能なかぎり熱を込めています。書いている時はプレッシャーはありましたけど、完成した映像をイメージしながら“これならみんなに笑って楽しんでもらえる”と思えるものができるまで、時間をかけて脚本を練っていったわけです。それにギャグといっても、単純に笑いにとりにいくギャグもあれば、ストーリーを進行させたり、キャラクター造形に寄与するギャグもあります。それぞれのシーンが最大限の力を発揮するように全シーンを考えていきました」

その上でラショー監督は『シティハンター』を“映画として語る”ことにこだわった。コミックに愛情をもって接するが、コミックを“そのまま”実写化して効果を生まないなら省く。キャラクターの基本設定を変更はしないが魅力がより伝わるなら大胆な状況を物語に盛り込む。コミックをそのまま演じても実写化にはならない。本作を観ると、映画監督ラショーのこだわりと強い意志を感じられるはずだ。「ありがとうございます。私はこの映画では自分の本当に好きなものを、いかにして魅力的に活かすことができるのかだけを考えて、映画をつくっていきました」

ちなみに完成した作品はフランスで観客動員168万人の大ヒット。日本の『シティハンター』ファンも、ラショー監督の原作への愛と真摯な想いを感じられる、そして何よりも楽しめる作品になっている。

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』
11月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

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