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04 Limited Sazabys『YON EXPO』とは何だったのか 現地で感じたバンドとファンの強い繋がり

リアルサウンド

19/10/3(木) 7:00

 04 Limited Sazabysが9月29日、さいたまスーパーアリーナにて単独公演『YON EXPO』を開催。同公演は、フォーリミにとってワンマンライブとしては過去最大キャパとなる。ライブはもちろん、様々なアミューズメントで丸一日楽しめる空間を作り上げた彼ら。今回はメンバーが企画に深くコミットし、こだわりを見せたアミューズメントの数々と、ライブレポートの両面から、『YON EXPO』とはなんだったのかを振り返りたい。

参考:04 Limited Sazabys、“4回目”の『YON FES』で遂げた野外フェスとしての成熟

 開演の1時間半前にはさいたま新都心駅に到着したのだが、けやき広場からつながる『YON PAVILION』の広さと多彩さに驚いた。撮り下ろし写真展「PHOTO EXHIBITION」は長蛇の列で早々に諦め、DAM協賛のカラオケ大会をしばし見る。参加者は男の子、女の子ほぼ半々で得意のフォーリミレパートリーを歌うのだが、集まったオーディエンスは誰もが参加者を応援している。完唱した人には惜しみない拍手が送られる。誰もいいカッコをしようとしないし、バカにもしない。フォーリミのファン同士の仲の良さや空気感が伝わる施策だった。

 ギターのRYU-TAプロデュースの「麺や おがた」は好評につき早々に完売。この「麺や おがた」はライブ演出の伏線(!?)にもなっていた。ライブ会場に隣接するもう一方のアリーナである100LVにはグッズ販売にこれまた長蛇の列。午前10時から開場した「YON PAVILION」を満喫し、ライブに備えて階段状のスタンドで休憩しているファンも多数いた。フード類もステーキ丼からケバブ、タイ料理などメニューが豊富で、ワンマンライブとしてはかなりの出店数だ。さらに参加型のアミューズメントが多く、ピンボールやダーツのほかに、野球、サッカーのストラックアウト、バスケットボールはフリースローを決めるとステッカー(参加賞)やトートバッグ(成功景品)がもらえるとあって、何度も挑戦してステッカー全種をコンプリートした猛者も。

 企業ブースも盛況で、中でも目を引いたのがESPによるメンバーモデルのベースやギターの試奏コーナー。女の子がGENモデルのベースを弾く姿をボーイフレンドが撮影してあげたり、真剣にHIROKAZモデルを試奏する男の子がいたり。軽音部や音楽サークルが盛んだった世代より少し若い世代に見えたが、実機に触れたことで楽器やバンドを始めるきっかけになるかもしれない。さらにはフォーリミ仕様のステージセットが組まれたスペースでは記念撮影するグループがひっきりなしの状態だった。

 カラオケにせよ、楽器の試奏にせよ、臆せず誰もが楽しそうに参加していたのが何より印象的。ロックバンドのライブ前のある種、殺気立った空気を感じないあたりにフォーリミというバンドのキャラクターが反映されているのかもしれない。ちなみにこの日のスタッフはどのエリアの人もスーツにオレンジのネクタイやスカーフをしており、それが万博感を盛り上げていたのだが、それもバンドサイドのアイデアなのだと知った。協賛企業のスタッフも全員そのスタイルなのはあっぱれ。全員参加で協力したくなるのもこのバンドの人柄のなせる技だ。

 肝心のライブもたまアリならではの演出が盛りだくさんで、ハードボイルドテイストな個々のメンバー紹介映像(一部笑あり)から始まり、映像通り初のスーツ姿でステージに登場。メンバーが慣れないスーツでの演奏に「熱い」を連発しながらファストチューンを畳み掛けるという、いい意味での天邪鬼ぶりを見せる。短いMCを挟んで冒頭のスタートダッシュ的なブロックに新曲「Cycle」や「Montage」も盛り込んで見せたのだった。

 その後、「麺や おがた」の「おがたさん」が中津川からたまアリまでラーメンをマラソンで届けるという小芝居の映像が流れ、その間にカジュアルな服装に着替えたメンバー。その後のポイントとしてはGENが「ほんとはベース&ボーカル、めんどくさい。ハンドマイクで歌いたかった」と話すと、HIROKAZがエレキギターからアコギに持ち替えアコースティックバージョンの「labyrinth」へ。GENとHIROKAZ、鳴り物を持ったRYU-TAとKOUHEIの二手に分かれてステージを降り、アリーナエリアを横目にフロアを歩きながらセンターステージに到着。RYU-TAがベース、KOUHEIはカホンを担当し、アコースティックで「hello」を披露した。「hello」とその後披露した「Shine」(アコースティックバージョン)演奏時は限られたスポットライトがセンターステージを照らしており、会場全体は暗い状況だったが、観客の一人ひとりが自発的にスマホのライトを点灯したことで、ファンとバンドの絆を感じる幻想的な空間が生まれた。たまらずにGENが「綺麗だ」と、「hello」歌唱中につぶやいたことも付け加えておきたい。

 後半も火柱などのアリーナならではのド派手な演出もありつつ、、怒涛の畳み掛けで、普段のライブハウスと変わりない熱量を生み出していた。何度も感謝を繰り返すGENのMCの中でも印象的だったのは、今年に入り近い存在のミュージシャンが逝去したり、活動できなくなったことに触れ、バンドを続けることは決して当たり前のことではないと真剣な面持ちで話したことだ。しかし、だからこそ冒険の旅のようなこの場所が貴重であり、自分たちの音楽や存在がファンの人生とともにあることを願うという言葉は、切実であるとともに、バンドのモチベーションが更新されていく生々しい感覚も伝わってきた。現在の心境と相まったところで、本編の締めくくりとして代表曲「Feel」「monolith」を披露。そのパフォーマンスには、これからさらに前進する4人の意思の塊が宿ったような凄みがあった。

 筆者はステージから最も遠いスタンド席で見ていた。そこからフロアに目を落とすと、最前のエリアは目視できなかったが、センターステージを挟んだ中央のブロックでは初っ端からおびただしいクラウドサーフが起こり、しかも悠然とアクションしながらまたブロックに戻っていくファンを多数見た。

 ほかにも大きなサークルから数人程度のサークルまで、あらゆるところでファン同士がその時々のテンションで楽しんでいるのだ。バンドとファン、ファンとファン、恥ずかしげもなく言うが、そこには愛しかなかった。さいたまスーパーアリーナ規模でスタンディングエリアの自由度をファンへの信頼を担保に成功させたバンドサイド、そして終演後にはブロックごとに集合写真を撮影するファンサイド、どちらも04 Limited Sazabysのスタンスが育んだたくましさを実感できる現在地だった。(石角友香)

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