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心理テストで今のあなたがまる分かり! 映画パーソナリティ伊藤さとり

深夜の川で河童と遭遇! アナタならどうする!?

毎月連載

第10回

【問題】
深夜、人通りの少ない土手の近くを歩いていると、突如、「すみません、助けてください」とか細い声が。辺りを見回すと、川から子供の河童が顔を出していて手を振っています。「脚を怪我して泳げないので、引っ張り出して欲しいのです」そう言われたアナタはこの後、どんな行動をとりますか?

A:これは大変だと手を差し伸べ、家で手当てをしてあげる

B:手を貸して引き上げた後、出来る限りで必要なものを用意してあげる

C:嘘をついているかもしれないので、近づいていろいろ話を聞いてから手助けするか考える

D:急いでいるから今は助けられないと伝え、誰かに助けを求める(誰かに相談してから考える)

E:怖いので見えないフリをして、その場を急いで立ち去る

夜中に河童と遭遇!? 相当怖いですよね? 得体の知れない未知の生き物に助けを求められたときこそ、アナタの深層心理が如実に浮き彫りになるんです。この心理テストで分かること。それは、ズバリ、人に対するアナタの“優しさ度数”です。

Aを選んだアナタは
優しさ度数MAXの菩薩さん

まるで菩薩のような人柄で、誰もが認める“優しい人”代表なアナタ。困った人がいたら、自ら声をかけ、手を差し伸べ、道に迷っている人がいたら連れて行ってあげる善人の塊。

“人類皆兄弟”と思っている博愛主義なアナタですが、困ったことに大切な人をときどき、傷つけてしまうことにそもそも気づきにくい天然さん。皆に優しいから、ときに好きでもない人から好意を持たれ、結果「思わせぶりな態度だった!」と叱られることも。愛する人がいたら、その人が悲しむようなことはしない、とまずは考え、行き過ぎの優しさは異性にはしない、と頭に叩き込む努力が大事かも(笑)。

そんなアナタは、まさにアナタ自身が主人公のような映画『町田くんの世界』を観て、自分の長所と短所を再認識するのがオススメ。

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Bを選んだアナタは
優しさ度数80%の天使さん

困った人の話を聞き、出来る限りケアをしてあげる親切さん。気遣いの達人だから、電車に乗ってもあまり席に座らず、お年寄りや赤ちゃんを抱いた人にも気づいて席を譲る心優しいアナタ。

このタイプは、人を紹介するのも好きなので、やたらと人から相談を受けるはず。悩みごとを話してくれた人に対しても、こちらからその後の状況を伺うなど、アフターケアもパーフェクト。人情に厚いので、一度、心を通わすと相手を信じ切ってしまい、ときどき人に騙されてしまうのがたまにキズ。お金の話しを持ち出されたら要注意。金の切れ目は縁の切れ目という言葉をお忘れなく。

そんなアナタには、ペネロペ・クルスとハビエル・バルデム夫妻が共演したヒューマンサスペンス『誰もがそれを知っている』がオススメ。

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Cを選んだアナタは
優しさ度数50%の龍神さん

優しさの安売りはしないぞ。だけど好きになったらフルパワーで助けるから。そんな言葉がお似合いのちょっと用心深い愛情派。見た目ほどオープンマインドではないけれど、自分なりの段取りで対人関係を築き上げ、「この人好き!」と思ったら手厚くサポート。悩み事を相談されれば、親身になるハートの熱い人。一度懐に入ったら長きに渡り交友関係を保つタイプなので、人づき合いは細く長くがモットー。

人間ウォッチングが趣味なので、人との仲を取り持つのが得意。仕事や恋愛の仲介役としても能力を発揮し、ときに縁結びの生ける神さまとしても崇められるでしょう。

そんなアナタにはマ・ドンソクに自分を投影し、興奮する韓国アクションファンタジー『神と共に 第二章:因と縁』がオススメ。

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Dを選んだアナタは
優しさ度数40%の千と千尋さん

自分の心に正直な頑張り屋で慎重派。実は本来70%の優しさを持っているのに、自信の無さによって30%を諦めちゃう人。

困っている人に声をかけられたら、もちろん助けられる。だけど、誰もいないところで、ちょっと怪しい風貌の人なら、正直、その人が良い人か分からないし、誰かと一緒じゃないと助ける勇気がない。自分の判断が正しいのか、信頼出来る人に確認をしてもらい、行動するとても真面目なアナタ。

物事を深く考えるので、親切に対しても「これは相手に迷惑かも?」と一度考えてから行動するので、タイミングを逃すこともしばしば。身内には優しいし、本来は心優しい人なのだけど、警戒心がちょっと強いので、人には分かりづらいのかも。

そんなアナタには、何度も死ぬ羽目になるヒロインから勇気と決断を教えられるタイムループホラー『ハッピー・デス・デイ』がオススメ。

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Eを選んだアナタは
優しさ度数20%の人間さん

そりゃあ、誰もいない夜道で河童に声をかけられたら、怖いに決まってる! 目を疑うし、川に引きずり込まれると思うでしょ! 世の中、怖い人が沢山いるから危険は回避しなきゃ生きていけない。見ず知らずの人なんて、どんな人間かも分からないんだから、そう容易く信じてはいけない。

まさに、人間界で人との共存を修行中のアナタ。もちろん知り合いなら手を貸すし、友達なら助ける。でも自分に何かあったとき、周囲に誰もいなかったら、誰がアナタを助けるのか? そう考えて辺りを見回すと実は困っている人って至る所にいて、アナタの優しさに救われるんですよね。

そんなアナタには、突然の不幸で運命を翻弄される青年の姿を描いた映画賞受賞のフランス映画『アマンダと僕』がオススメ。

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伊藤さとりの今月のオススメ心理映画

優しさで世界は救えるのか? 『町田くんの世界』

『町田くんの世界』

日本の今と昔

バスの中で、ほとんどの人がスマートフォンを覗き込んでいる世界から始まる映画『町田くんの世界』。

年配の方が立っていることに気づき、「すみません。気づかなくて」と席を譲る高校生の男の子。彼の名は町田くん。学校でも有名な“優しい人”であり、彼の優しさに触れた女の子は、ご察しの通り、恋に落ちてしまうのだけれど、町田くんの優しさは彼女だけに対するものではなく、社会全体に対するものだったという......。

映画は、町田くんの優しい対応を映し出しながら、彼を取り巻く人々が体験する人の冷たさや意地悪さにもしっかり目を向けております。そして最終的には“優しさとはなんなのか?”に物語は向かっていく。

そんな映画で描かれているのは、現実そのものでまさに現代の世界。都会に住んでいるとスマホいじりで周りが見えていない人々の方が80パーセントという電車内に閉じ込められるんだから悲しい世界であります。

これが昔ならば、こんな光景はスクリーンに映し出されず、小説か新聞を読んでいる人の姿がチラホラくらいなもので、そもそも“席を譲ること”が希少な行動として映画の冒頭に登場することはない気がしました。

どうして今、優しさが問われているの?

では、いつから人は外でも自分の世界に閉じこもるようになったのか?

いや、私もそれに気づいたのは、妊娠してから特になので、もしかしたら過去は“気づけない民族”のひとりだったのかもしれません。もしくは、礼儀を重んじる両親に「年配や困っている人には席を譲れ」と言われて育ったせいで、昔から席に座ること自体を面倒だと思って車内では立っていたから、“譲る体験”をあまりせずにきてしまったのかもしれない。

SNSでも飛び交う、妊婦や老人に席を譲らない人の多さだったり、見るからに困っている人に声をかけずに通り過ぎていくのが日常的な都会の光景。江戸っ子は、“人情がある”と何処かで聞いたことがあったのは気のせいなの?

他人に冷たくされたことで嘆く人々の声がSNSで綴られ、“もっと人に優しく”と訴える声が溢れ出した現代。だからこそ、この映画が人気俳優を起用して、今、映画化される意味がとても理解できました。

『町田くんの世界』

なぜ、人の不幸が気になるのか?

そもそも『町田くんの世界』というタイトルの意味は何なの? 劇中でも、池松壮亮さん演じるゴシップライターが町田くんに問う「町田くんに見えている世界は何なんだ?」なのです。

良い話を記事にしても読者は喜ばず、有名人のスキャンダルを書けば雑誌が売れる世界は、美しくともなんともない、と嘆くライターの言い分もごもっとも。ネットには特に芸能人の離婚、不祥事が多く、それに対したコメント欄も賑わいを見せているし。

“人の不幸は蜜の味”という言葉は本当なのか?

劇中、佐藤浩市さん演じる雑誌社の上司がこう言います。「人は、人の不幸を読んで、自分の方がまだマシだと安心するんだよ」的なことを。(うろ覚えなので、こんな感じのことを言っておりました)

そんな世知辛い世の中で、町田くんはいつも優しいのです。(フィクションですが)

ちなみに町田くんは、携帯電話を持っておりません。実はこれがキーワードで、町田くんは外でネットを見ていない、ということになります。もちろん、人が好き。

ネットが優しさの鍵になる

仕事が忙しいから移動時間にメールチェック、時間が足りないから移動時間にネットでニュースを読む。とても忙しい現代人さんにとって、情報収集にネットは大事なアイテム。と考えてみると私たち現代人は、現実の世界とネットの世界のふたつに向き合って生きているのでさらに忙しい。

ではもし、移動中にネットを開くことを禁止したら世界はどうなるんでしょう? 現実の世界を注意して見てみると、脚を怪我している人や老人、マタニティマークやヘルプマークに気づくかもしれないし、そうなったら席を譲る人が増えるんじゃない? ネット禁止は言い過ぎかもしれないけれど、電車やバスで困っている人はいないか意識することができたら、きっと優しい感情を目にすることが増えると思うんです。私はそうであって欲しいのです。

そして声をかける勇気ひとつが人を喜ばせ、自分がとった行動に感謝されたら幸せじゃない? 例えそれが、自己満足でも全然良いんじゃない? それこそ優しい人になれた時の自己満足って気持ち良いんだから。

そして現代人に欠落したもうひとつ、他人に“話しかける”ことができたら、きっと今のようにネットに頼らずに、恋にも仕事にも出会えるのかもしれません。

(C)安藤ゆき/集英社 (C)2019 映画「町田くんの世界」製作委員会

プロフィール

伊藤さとり(いとう・さとり)

邦画&洋画の記者会見や舞台挨拶を週5回は担当する映画MCであり、年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。TSUTAYA店内放送「WAVE-C3」で新作DVD紹介のDJ、ケーブルテレビ無料放送チャンネル×ぴあ映画生活×Youtube:動画番組(俳優と対談)「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、雑誌「シネマスクエア」コラムや、デイリースポーツでスターの魅力コラム連載、スターチャンネルで映画紹介他、TV、ラジオ、雑誌、WEBなどで映画紹介のレギュラーを持つ。心理カウンセリングも学んだことから映画で恋愛心理分析や心理テストも作成。

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