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日向坂46、3rdシングルが首位を獲得 楽曲制作陣から見えるグループの転換点とは

リアルサウンド

19/10/12(土) 7:00

参考:2019年10月14日付週間シングルランキング(2019年9月30日~10月6日/https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2019-10-14/)

 オリコンの最新シングルチャートは、日向坂46の『こんなに好きになっちゃっていいの?』が476,739枚を売り上げて首位を記録。続いて、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『SWAG & PRIDE』が33,624枚で2位、TEAM SHACHI『Rocket Queen feat.MCU/Rock Away』が19,443枚で3位となり、1位の日向坂46が2位以下に大差をつける結果となった。

 『こんなに好きになっちゃっていいの?』は日向坂46の3枚目のシングル。作詞を秋元康、作曲を前迫潤哉と7th Avenue、編曲を7th Avenueがそれぞれ担当している。前迫潤哉は過去に乃木坂46の「Another Ghost」や欅坂46の「W-KEYAKIZAKAの詩」「ガラスを割れ!」などを楽曲提供している作家。日向坂46では他に「イマニミテイロ」と「JOYFUL LOVE」の2曲を作曲している(いずれも共作曲)。

 一方で、作曲と編曲の両方にクレジットされている7th Avenueは、坂道シリーズへの提供経験は今回がはじめて。これまで東京女子流、チームしゃちほこ(現在はTEAM SHACHI)、わーすた、GEM(2018年に解散)といった女性アイドルグループや嵐、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEといった近年のJ-POPを幅広く手掛けている。ニューヨーク出身のNorio NakagawaとYuki Akiyamaで結成された2人組のプロデュースユニットで、洋楽からダイレクトに影響を受けているサウンドが特徴だ。

 以上のことから推測されるのが、坂道シリーズに縁の深い作家が作った曲の雛形(デモ音源)をもとに、昨今のJ-POPや洋楽に精通している作家にアレンジ面を任せることで、坂道ファンだけでなく幅広いリスナーに受け入れられるような作品に仕上げようとしたのではないかということだ。7th Avenueが作曲にまでクレジットされているのは、アレンジの際に作曲面にまでテコ入れがなされたのではないかと予想できる。

 では実際に楽曲に注目してみたい。ギターやピアノといったアコースティック(=非電気的)な響きの上物に対して、エレクトリックなリズム部があることでダンサブルなバラードとして成立している。曲の全編に渡って印象的なのがストリングスの音色。ドラマチックで恍惚感がある。淡々と鳴り続けるキックはミドルテンポで少し速め、さながら強く高鳴る鼓動のよう。20名によってユニゾンされる悲しげな主旋律の運びは、キックの刻むその一定のリズムの上で、まるで戸惑っているかのようになめらかな軌跡を描いている。

 前作「ドレミソラシド」やデビュー作「キュン」と比較したとき、サビ始まりという点では共通するものの、フレッシュなアイドル感は削がれ、代わりに哀愁や切なさといった感情が押し出されている。この大胆なイメージの変化は、日向坂46あるいは改名前のけやき坂46からの活動を通してみても大きなポイントとなりそうだ。過度にキャッチーさに頼らず、ストリングスやコーラスを駆使して少し成熟した一面をのぞかせたダンスバラードといった趣である。それをまだデビューしたての彼女たちが歌うのが面白い。

 3作目にして迎えたひとつの転換点。若さから生まれる勢いだけではなく、痛みや苦しさといった成熟した魅力を感じ取れる。さまざまな表情を見せながら成長していく彼女たちの今後に期待だ。(荻原 梓)

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