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松岡茉優が明かす、『デジモン』への思い入れと声を演じるときの覚悟 「毎回勝負の気持ちです」

リアルサウンド

20/2/21(金) 10:00

 『デジモンアドベンチャー』最新作『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』が2月21日より公開となる。

 1990年代に人気を博した携帯型ゲームに基づく大ヒットアニメーション『デジモンアドベンチャー』。当時、小学生だった主人公・太一(花江夏樹)と仲間たちは成長し、大学生に。子どもから大人へと成長する瞬間にスポットを当て、デジモンとの交流や、そこに襲いかかる危機を描く。

参考:『デジモンアドベンチャー』とは何だったのか “無限大の夢のあと”に斬り込む最新作に寄せて

 本作には、小さい頃に『デジモン』に熱狂していた世代のファン代表として、松岡茉優がゲスト出演。今回、松岡に『デジモン』との思い出や、20年の時を経て本作に出演することになった思いなどを語ってもらった。

■「一緒に成長してきてくれた気がして、心強かった」
ーー出演決定のニュースで、「私を作ってくれた作品」とコメントされていたのが印象に残っています。改めて振り返って、『デジモンアドベンチャー』のどういうところが魅力でしたか?

松岡茉優(以下、松岡):毎週欠かさず楽しみに観ていましたし、周りの子も観ていました。世代によっては『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』と並列に存在しているものだと思います。少し違うのは、その後『デジモンアドベンチャー02』があり、高校生のパートの『デジモンアドベンチャーtri.』があったりと、私たちと一緒に太一やヤマトが成長していく姿を見続けられることが、特徴だと思います。映画の冒頭のシーンで、太一とヤマトがお酒を酌み交わすシーンがあるんですけど、そこにジーンときてしまいました。私たちも、当たり前のようにお酒を飲むけど、彼らにとってもそうなのが、本当に一緒に成長してきてくれた気がして、心強かったです。

ーー小さい頃から追いかけて一緒に成長を楽しめる作品はなかなか類を見ませんよね。

松岡:『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』、また私の世代だと『こっちむいてみい子』や『あたしンち』が流行っていて。『こっちむいてみい子』は1年進みましたが、あのような作品には、ずっと年齢が変わらずにいてくれる頼もしさや、拠り所のような魅力がありますし、この作品のように一緒に大きくなれるのも魅力ですよね。

ーーお話ししていると、松岡さんの幼少期とアニメーションがすごく密接に結びついていたのかなという印象があります。

松岡:そうですね。みんな観ているものだと思っていたんですけど、観ないで育った人ももちろんいますよね。でも今回の作品は、例えば『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(細田守監督)を観ていて他は観たことない人でも、ちょっとでも『デジモン』に触れたことがあれば、冒頭2~3分で感極まってしまうようなシーンがあるので、シリーズは観ていなかった方でも、ぜひ観ていただきたいと思っています。

ーー好きなキャラクターやデジモンはなんでしょう?

松岡:みんな大好きなんですけど、やっぱり今作の主人公はアグモンなんじゃないかなと思います。アグモンに泣かされますよ!(笑)。アグモンはお調子者だし、食いしん坊だし、子どもの頃から、ちょっとツッコんでしまうようなキャラクターでしたけど、今考えれば、アグモンに一番近いのは親かもしれません。あの頃と変わらずに俯瞰で私たちを見続けてくれているなと。今回「太一が大きくなってくれて嬉しい」、「成長していく姿を見れるのが嬉しいんだよ」というセリフがあったりと、アグモンって親のように一緒にいてくれたんだなというのを感じました。私個人は、ミミちゃんが大好きで、ミミちゃんみたいなお姉さんになりたかったから、パルモンが大好きなんですけど、パルモンが一個進化するとトゲモンになって子ども心に可愛くないと思って、納得いかなかったんです(笑)。だから、当時一番好きなのはエンジェウーモンでした。

ーー(笑)。

松岡:子ども心に「あ、こうなるんだ」という気持ちがあったと思うんです(笑)。それぞれ好みがあるので。デジモンは、幼年期、成長期、成熟期、完全体と、進化した姿がまた元に戻れるのが特徴ですよね。だから、パルモンのときは好きだけど、トゲモンはちょっと、でもリリモンは好き、みたいな。当時は複雑な乙女心でした(笑)。

■「山寺宏一さんをお父さんのように慕っている」
ーーそんな松岡さんにとっても大きな作品に今回参加されるということで、プレッシャーもあったのではないでしょうか?

松岡:声のお仕事は、普段の俳優のお仕事と全然違います。専門職の方がいるので、生半可な気持ちで手を出してはいけないと思うし、加えて今回は大好きなアニメということもあり、邪魔したくないし、普通に観たいという気持ちがありました。でも、オファーをいただく前から企画に何年もの時間をかけ、役ができあがって、この役を私にと思ってもらったのは、普段やらせていただく実写の作品と全く同じ工程じゃないですか。だから、それを考えたら断る理由がないと思ってお引き受けしました。でも、専門の方がいらっしゃるので、覚悟を持って、緊張感を持って挑みました。がむしゃらに、一つひとつ大切にやらせてもらっているつもりです。

ーー悩みに悩んで決断されたんですね。松岡さんはこれまでもいろんな作品で声のお芝居をされています。『バースデー・ワンダーランド』や『映画 聲の形』など、少年少女の役の印象がありますが、今回のメノアは、太一たちより少し大人なキャラクターですね。

松岡:声のお仕事だと、『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ』でやらせていただいた役が、人間の女性でした。そのあと、『カーズ/クロスロード』の女の子は車だったので、今回大人の女性の役をいただけて嬉しかったです。実写ではやれない役をいただけるのが、声のお仕事の魅力ですよね。『聲の形』では小学生の男の子だったし、『カーズ』では車だったし、今回も外国人の役だし、チャレンジさせてもらえるのはすごく楽しいです。

ーー実写では松岡さんがやられないような役を演じることに対して、アプローチや考え方、意識の違いはありますか?

松岡:私は昔『おはスタ』(テレビ東京系)に出演していて、その頃から山寺宏一さんをお父さんのように慕っているので、声のお仕事がいただけると相談するんです。『バースデー・ワンダーランド』は小学校6年生の女の子の役だったので、不躾な質問ですが「声ってどう幼くしたらいいんですか?」と聞いたら、「僕は茉優と中2のときに出会ってるけど、声ってそんなに変わってないと思うよ。それよりも 、あのとき、どう感じたのかとか、あのときの自分だったらどう思うのかなというアプローチを掘り下げていったらいいと思う」とアドバイスをくださいました。本当に、山寺様様です(笑)。

ーーメノアは外国人ということで、英語と織り交ぜて喋るところはどうでした?

松岡:アフレコの時に、ずっと隣に英語の先生がいてくれて、粘り強く教えてくれました(笑)。英語パートは、最後にまとめて収録したんです。だから、最後の50分ぐらいは地獄でした。

ーー英語しか喋らない時間というのは大変ですね。

松岡:自分の舌を恨みました(笑)。なぜ私は外国語の舌をしていないんだろうと。先生もかなりしっかり教えてくださったので、本当にもう叫び出しそうでした(笑)。

ーーメノアの幼少期の回想シーンもありました。そこでも、『バースデー・ワンダーランド』のように自分の気持ちを優先して?

松岡:それが、今回は9歳位の設定だったので、さすがに少し張り切りました。やっぱり『バースデー・ワンダーランド』と全然タイプの違う作品だし、それは普段やっている仕事と変わらなくて。最近やった『ひとよ』と『蜜蜂と遠雷』も全然違う作品なので、作品から得たものはあるけど、それが次に通用するとは限らないなと思っています。だから、毎回勝負の気持ちです。

ーーまっさらな気持ちで新しい役に挑むんですね。

松岡:そうです。あと、「見守っていてください」と山寺さんに十字架を切りました(笑)。

■「切なすぎるし、苦しすぎるし、ロスがすごい」
ーー本作は、太一とヤマトの大人になる瞬間を描いています。まさしく『デジモン』世代の20代から30代の観客に刺さる内容でした。

松岡:いつの間にか選挙権が与えられて、お酒が飲めるようになって、いろんなことが自由になっていく中で、「じゃあいつから大人なんだろう」というのはずっと考えています。そこで今回の作品は、もう一度大人になるためのトンネルを通らせてくれるような映画だなと。あのとき、『デジモン』を観ていた子どもたちも大人になって、「本当に大人になったんだろうか」という気持ちがあると思うんです。そんななかで「大人になるってなんだろう」ということを、とことん突き詰めてくれる作品なので、太一たちと一緒に、もう一度大人になり直すような映画だなと思いました。

ーー“大人になり直す映画”というのは良いですね。

松岡:大人になる時にハンコでも貰えたらいいんですけどね(笑)。プロデューサーや監督とお話ししたときに、「きっと『デジモン』ファンには、松岡さんの世代やもう少し上の世代がたくさんいて、その人たちの中には、きっとお子さんがいる人もいて、一緒に映画を観られる年齢になっているんじゃないか。だから、二世代ないしは、あのとき一緒に観ていた親御さんと、三世代で映画を観に来てくれたら最高です」とおっしゃっていたのが印象的で、どこかにそんな家族がいたら幸せですよね。だから、まだ『デジモン』未経験なお子さんを連れて観に行ってもらうのも嬉しいし、1人で泣きに行くのもありです。ちょっと、終わったあとは椅子から立てなくなるかもしれませんが(笑)。

ーーホロリとするシーンもあります。

松岡:切なすぎるし、苦しすぎるし、ロスがすごいんです。でも、やっぱり向き合わなければいけないと思うので、あのとき『デジモン』に少しでも触れた大人たちは、ぜひ向き合いに来てほしいなと思います。

(取材・文=安田周平)

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