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立川直樹のエンタテインメント探偵

若手有望株のシンガー兼ギタリスト“Rei”にも出会えた万博記念公園での『SUMMER OF LOVE~愛と平和の3日間~』 

隔週水曜

第32回

19/9/4(水)

『SUMMER OF LOVE~愛と平和の3日間~』ポスター

それにしてもひどい猛暑が続いた日々だった。そんな中で、大阪の万博記念公園の下の広場で開催された『SUMMER OF LOVE』は50年前に開催された『ウッドストック・フェスティバル』のドキュメンタリー映画を野外の大スクリーンで楽しみ、さらにライヴや食を“Be‐in”の気分で楽しんでもらおうと考えて企画したイベント。8月10日から3日間にわたって開催されたが、シアターブルックの佐藤タイジ(『パープル・レイン』をガッツリ演った後の“太陽の塔”をめぐる話のMCが最高だった)や、リクオという骨のある音楽をやっているアーティストに加えて、若手のRei(リハーサルの時にジョン・リー・フッカーの『ブーン・ブーン』を演っていたのにはびっくり。うれしくなる若手のブルース・ギタリスト兼シンガーが現われた)や、七尾旅人(波の音などのSEを使ったギター弾き語りが抜群の味わい)という有望株に出会えたのも収穫だったし、小さな男の子を連れた若い母親が『ウッドストック』の上映が終わった後に「あれ、誰なんですか? 凄いですよね。この子がすっかり気に入ってしまって……」と聞きにきてくれたのもプロデュースした人間としてはとてもうれしかった。

1970年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を獲得した音楽映画の伝説的傑作『ディレクターズカット ウッドストック/愛と平和と音楽の祭典』は実際50年前にフェスティバルが行われた3日間の最終日に立川シネマシティ シネマ2でも“極上音響上映”し、上映前にはダイノジの大谷ノブ彦さんとトークイベントも行ったが、客席には思ったよりも若い人達が多く、熱心にスクリーンを見ている姿はとてもいい感じだった。

シンガーソングライター・ギタリストのRei
『SUMMER OF LOVE~愛と平和の3日間~』をプロデュースした立川直樹さん(右)とMCのマーキーさん(左)

そして、その前日の16日に『ウッドストック』とともに世界中の若者たちに大きな影響を与え、既存の価値観に異を唱えるカウンターカルチャーのアイコンとなった『イージー・ライダー』で一足先に天国に旅立ったデニス・ホッパーとともにカルト・ヒーローとなったピーター・フォンダが79歳で死去したという報も運命的だった。

半世紀という時代の流れと世の中の本当に大きな変化。40万とも50万とも言われる大観衆が会場を埋めつくした『ウッドストック』のステージでのパフォーマンスはただそこで本物の音楽が演奏されるという実にプリミティブなもので、何のギミックもないのに若い母親と男の子に魔法をかけてしまったジミ・ヘンドリックスなどは神が降臨してきたかのようにも見えるが、そのプリミティブなライヴの魅力は8月12日に金沢東急ホテルのボールルームで開催されたCharのスペシャルパフォーマンス『ROCK★HOUSE スモーキー・イン・ザ・ナイト』(Charとドラムスの古田たかし、ベースの澤田浩史のユニットは完全に世界水準に達している)と、8月16日に新宿ゴールデン街劇場で観たポカスカジャンのタマ伸也と津軽三味線のホープ浅野祥とブルースギタリストなにわのテツという3人組ワンダー3のライヴにもつながっていった。

堂島リバーフォーラム『シネマの芸術学 −東方に導かれて−』、国立新美術館『クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime』

あとは7月27日から8月18日まで大阪の堂島リバーフォーラムで開催されていた展覧会『シネマの芸術学―東方に導かれて』が超強力だった。ジャン=リュック・ゴダールの最新映画作品『イメージの本』をインスピレーションとし、ゲルハルト・リヒター、トーマス・ルフ、フィオナ・タン、ダレン・アーモンド、佐藤允、空音央という卓抜したセンスとテクニックを持つアーティストの作品で埋めつくされた会場は文字通り、アートの夢の世界であり、僕は自分の時間がないことが悔やまれてならなかった。

佐藤允『冒険』(2017Acrylic, ink, pencil, color pencil, paper collage on panel 145.5 x 112.0 cm) (C)Ataru Sato

それは国立新美術館の『クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime』の会場でも感じたこと。自己や他者の記憶にまつわる作品で独特の世界観を表出するボルタンスキーは「展覧会をひとつの作品のように見せる」とコメントしているが、その素晴しい展示は、もう言葉では形容不可能なもので、本当に抜け出たくない気持になったのである。

8月19日に開幕した『ウエスト・サイド・ストーリー in STAGE AROUND』については次回書くことにする。レナード・バーンスタイン恐るべし!

開催情報

『SUMMER OF LOVE~愛と平和の3日間~』
日程:2019年8月10日~12日
会場:万博記念公園下の広場

『ディレクターズカット ウッドストック/愛と平和と音楽の祭典』(1994年・米)
監督:マイケル・ウォドレー

Char’s Special Performance『ROCK★HOUSE Smoky in the Night』
日程:2019年8月21日
会場:金沢東急ホテル ボールルーム(5階)
プロデュース:立川直樹
出演:Char( Vocal / Guitar )/古田たかし(Drums)/澤田浩史(Bass)/DJ FUKU-Chang

WAHAHA本舗 PRESENTS ~喰始プロデュース~ 体感ライブ『気になるミュージシャン ワンダー3(スリー)-ジェニシス-』
日程:2019年8月6日、16日
会場:新宿ゴールデン街劇場
構成・演出:喰始
出演:タマ伸也/なにわのてつ/浅野祥

『堂島リバービエンナーレ2019:シネマの芸術学 −東方に導かれて− ジャン・リュック=ゴダール「イメージの本」に誘われて』
会期:2019年7月27日~8月18日
会場:堂島リバーフォーラム

『クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime』
会期:2019年6月12日~9月2日
会場:国立新美術館 企画展示室2E
※2019年10月18日~2020年1月5日まで長崎県美術館にて開催

プロフィール

立川直樹(たちかわ・なおき) 

1949年、東京都生まれ。プロデューサー、ディレクター。フランスの作家ボリス・ヴィアンに憧れた青年時代を経て、60年代後半からメディアの交流をテーマに音楽、映画、アート、ステージなど幅広いジャンルを手がける。近著に石坂敬一との共著『すべてはスリーコードから始まった』(サンクチュアリ出版刊)、『ザ・ライナーノーツ』(HMV record shop刊)。

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