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バーチャルシンガー YuNiが届けたリアルとバーチャルを超越する思い 初の単独ARライブレポート

リアルサウンド

19/10/17(木) 16:00

 バーチャルシンガー YuNiが、10月5日、Veats Shibuyaにて、初単独生誕ARライブ『UNiON WAVE ~evolve~』を開催した。

 YuNiは、2018年5月14日、YouTubeに自身のチャンネル「YuNi – virtual singer -」を開設。6月14日に公開した「【自己紹介】プラチナ 歌ってみた【カードキャプターさくら】」が彼女の初投稿動画であり、その透明感のある歌声に注目が集まった。同年10月に発足したプライベートレーベル<yunion.wave>からリリースしたオリジナルソング「透明声彩」は、iTunesランキングで総合3位を記録。2019年4月にリリースしたアルバム『clear / CoLoR』は、iTunesランキング で総合4・5位を獲得。ボカロ、邦楽、洋楽など、ジャンルを問うことなく、様々な楽曲に挑戦している。

 YuNiがステージ中央に現れると、ライブは1stシングル曲「透明声彩」からスタート。緑のペンライトの光によって、会場一体がYuNi色になっていく。笑顔で手を振り上げながら歌うYuNiにならって、ゆにチル(ファンの総称)は勢いよく声を合わせた。YuNiは「今日は楽しんでいってくださーい!」と語りかけると、2ndシングル曲「Winter Berry」へと繋ぐ。ここからは、ふたりの女性ダンサーが加わり、3人のシンクロした華麗なるダンスが次々とステージに花を添える。緑色で埋まった場内に微かに交わる白い光は、まるで雪のようだ。3rdシングル曲「花は幻」では、ダンサーふたりが踊る間、YuNiは透明感と力強さを共存させた歌声を披露。

 曲間に挟まれたムービーは、バーチャルシンガーとして活動するなかで得る喜びや葛藤など、やりたかったことの答えを導き出すまでのYuNiの心境を綴ったストーリー。“葛藤”を意図するムービーを経て続いたのは、そのテーマに合わせたような「ジレンマ」。バーチャルだからこそ可能になることだが、再び登場したのは、YuNiと白の衣装を纏ったもうひとりのYuNi。1曲目から歌っていたYuNiが、ステージ中央で崩れ落ちると、白い衣装のYuNiが歌唱のバトンを握ることに。その絵は、これまでの彼女からこれからの彼女へと、アップデートする瞬間を描いたものなのかもしれない。「ウタオウヨ、ウタオウヨ」では、パワフルに踊り歌う彼女に続いて〈歌おうよ歌おうよ〉というゆにチルの声や、間奏を盛り上げる煽り声などで強烈な一体感を生み出していた。

 また、YuNiの一挙一動があるたびに、珍しいものを見たかのような喜悦の声が終始上がっていた。バーチャルとしての彼女は、決して触れることができない。さらには消えてしまうかもしれない、儚げな存在だ。だからこそ、YuNiへの思いが溢れ、ここにはよりリアルな熱が生まれているのだろう。MC中も、YuNiとゆにチルが互いに言葉を交わし合い、温かみに満ちた空間ができあがっていた。バーチャルでも、そこにある空気はリアルに近い。

 「今日のYuNiの個人テーマはクール&ワイルドです!」と言うYuNiに、「かわいい」と上がる一声。「YuNiはバーチャルだから、曲に合わせてすぐに衣装を変えることができます。でもこれからはそれだけでなく、表現者としてもっと進化していく姿を皆に見せていきたいと思います!」そう伝えると、カバー楽曲ゾーンへとなだれ込む。ここで、はじめてポニーテールロングになり、大人びた彼女がR Sound Designのボカロ楽曲「帝国少女」から、いきものがかりのカバー「ブルーバード」、バーチャルYouTuber・キズナアイのカバー「Sky High」を歌唱した。

 最後のムービーは、“世界に歌声を届けたい!”とYuNiが答えを見つけたという内容だ。Neko Hackerによるバラードナンバー「Erased feat. YuNi」で場内を優しい歌声で包み込んでいたYuNiが、スクリーンに姿を移し、再度ステージへと戻る一幕もあった。「皆でもっともっと大きなとこに一緒に行こうね。これからもよろしくお願いしまーす!」と告げると、「『透明声彩』『Winter Berry』を作ってくれたこの方がいなかったらYuNiのアーティスト人生は始まらなかったんじゃないかなって思います」と語り、ゆにチルと歌の練習をしてからYUC’eによる新曲「Beautiful World」へ。右へ左へと揺れるペンライトが煌びやか。最後の〈ららら~〉のフレーズを歌う声は、音が止んでも暫く続いた。

 本編終了後も熱心にYuNiを呼ぶゆにチルの声を受け、会場に走りながら現れたYuNi。10月1日の自身の誕生日を祝ってくれたこと、ずっとやりたかったポニーテールロングが実現したことの喜びをMCで届けた後には、ラストの楽曲「Write My Voice」へ。〈まるい世界で繋いだ手と手で/いつかの夜に光を灯すんだ/新しい朝が始まれば/眩しいほどに輝く/Beautiful World〉葛藤の先に見つけたやりたいこと=光を感じさせる楽曲を余すことなく元気よく歌いきると、「本当にありがとー!」と両手を大きく振りながらYuNiは姿を消した。

 高いバイタリティを感じさせるバーチャルシンガーシーンの中で、これから彼女はどんな物語を紡いでいくのだろうか。バーチャルならではの演出に加えて、観客とのやり取りをはじめとした、リアルなライブと変わらない部分も見せたYuNi。もうひとりのアップデートした自分へバトンタッチをした彼女は、次に多くのゆにチルに新たな光を見せてくれるはずだ。

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
Twitter

<セットリスト>
1透明声彩
2 Winter Berry
3 花は幻
4 ジレンマ
5 ウタオウヨ ウタオウヨ
6 帝国少女 (feat. 初音ミク)/R Sound Design [cover]
7 ブルーバード/いきものがかり [cover]
8 Sky High/Kizuna AI [cover]
9 Erased feat YuNi
10 Beautiful World
11 Write My Voice [アンコール]

■新曲詳細
「Beautiful World」
作詞・作曲: YUC’e 
発売日:2019年10月6日(日)0:00~ 配信・デジタル配信限定
レーベル:yunion.wave
配信はこちら 
11月2日(土)に東急ハンズ池袋店7Fにて開催予定のポップアップ限定インストア ライブにてMV初公開。

YuNi公式サイト

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