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町山智浩が「サスペリア」イベントに登壇、作品の根本は「ナチスと魔女とダンス」

ナタリー

19/1/27(日) 21:08

「サスペリア」トークイベントに出席した町山智浩。

「サスペリア」のトークイベントが本日1月27日に、東京のTOHOシネマズ 日比谷にて行われ、映画評論家の町山智浩が登壇した。

「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノが、ダリオ・アルジェントの同名映画を再構築した本作。1970年代のドイツを舞台に、名門バレエカンパニー「マルコス」に巣食う禁断の秘密が描かれる。ダコタ・ジョンソンが主人公の新人ダンサー、スージー・バニヨンを演じたほか、ミア・ゴス、クロエ・グレース・モレッツらが出演した。

本作の内容にちなみ黒いローブをまとって現れた町山は、参考画像などをTwitterに投稿しながら解説を進める。「この映画を語るには、ドイツに実在したマリー・ヴィグマンという舞踏家が重要になってきます。彼女は“魔女の踊り”とも言われる古来から踊り継がれてきたダンスに取り組んでいて、暗黒舞踊の元祖とも呼ばれる人です」と語る。彼女のダンスがナチス宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの「踊りというものは美しく明るくあるべきだ」という思想に反していたことから、当時ダンス教室は閉鎖に追いやられてしまった。町山は「この映画の中でティルダ・スウィントンが話す『私たちが絶対やらないのは、明るく、美しい踊りだ』というのはゲッベルスのことを指しているんです。ですからこの映画は、根本的にナチスと魔女とダンスが絡み合って、さらに『バーダー・マインホフ 理想の果てに』という映画を絡めた非常に複雑なものになっています」と述べた。

続けて「グァダニーノ監督が今回リメイクをするにあたって、1970年代のドイツはどういう状況だったのか調べたところ、アルジェント版ではまったく当時のドイツの状況が描かれていないということがわかった。それで勉強しているうちに原作とは違う、今回の話ができたんです」と語り、当時のドイツの状況や魔女学についてグァダニーノが参考とした作品を挙げながら説明していく。「すごく複雑にヨーロッパの長い歴史を1つの映画に集約しているんですが、やりたかったことは分断の話。東西の壁で分断されて、ドイツ人の心は分断されているんです。なぜイタリア系の彼がそんなにドイツのことを真剣に考えているんだ、とは思うんですけど(笑)」と冗談を交えて語る。

最後に町山は、本作を鑑賞したクエンティン・タランティーノが感涙したというエピソードを披露。「イングロリアス・バスターズ」や「ジャンゴ 繋がれざる者」のタイトルを挙げて解説しつつ、「タランティーノがこの作品に感動したというのはとてもわかる気がしますね」と語ってイベントを締めくくった。

「サスペリア」は、全国で公開中。

(c)1976 SEDA SPETTACOLI S.P.A.

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