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『プリレジェ』キャラ設定は“ファンの理想像”?  『HiGH&LOW』とは異なる鈴木伸之らの演技

リアルサウンド

18/10/31(水) 6:00

 1話ではTeam 奏にフィーチャーし、2話以降はTeam 京極兄弟やTeam 生徒会、Team ネクストなど、新キャラがぞくぞく紹介されている『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)。

参考:『HiGH&LOW』に続く熱狂の予感? 『PRINCE OF LEGEND』に込められた“王子”への批評

 銀河万丈によるナレーションで各キャラクターの背景は説明されるが、本編ではそれぞれの内面がより深く掘り下げられている。キャラクターの説明が不十分にならず、魅力的に描かれていることには、『HiGH&LOW』シリーズでの経験が存分に活かされているのだろう。

 『HiGH&LOW』では、テレビシリーズでも、それぞれのチームとキャラが紹介され、そこからドラマ部分が深められていくようになっていた。中心メンバーを演じるLDHの面々も、基本的には“かっこいい”キャラクターを演じていた。スピンオフ、映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』では、ダン(山下健二郎)、テッツ(佐藤寛太)、チハル(佐藤大樹)の背景や生活感がより感じられる作りになっており、本筋とは違う魅力の作品に仕上がっていた。スピンオフでありながら作品のトーンがまったく違うものになったのは、『HiGH&LOW』は中学生の男の子が見ても「かっこいい」と思える作品を作りたかったという、当初のコンセプトとも関係がある。

 一方、『PRINCE OF LEGEND』は女性を真正面からターゲットにした作品で、今回はちょっと笑えて、そのキャラクターのことを「かわいい」と思えるようにできており、キャラクターには、演じる役者本人の要素も多いに盛り込まれている。

 本人からキャラクターを練るということは、事前に俳優と面談をしてそこから要素を抽出して作る『HiGH&LOW』の作り方と同じ傾向ではある。だが、本作に限っていえば、そこにファンの求めるそれぞれのキャラクター像もより加味されているのが特徴ではないだろうか。

 例えば、 片寄涼太演じる朱雀奏であれば、学園の王子ではあるが、ちょっと単純で純情。そして、なにかというと熱くなって癇癪を起したり、庶民の生活に対して無知で、そこが天然に見えるというキャラクターを、漫画並みにデフォルメして演じている。時には、頬をあからさまに赤らめたりもするが、そこもコミカルに映る。そんなキャラクターは、本人の要素を基に、ファンが欲しがっている片寄像を集めたもののようにも見える。そして、片寄以外の『HiGH&LOW』に出ていた面々は、この作品ではよりギャップを見せている。

 Team 京極兄弟の京極尊人を演じる鈴木伸之は、『HiGH&LOW』では山王連合会のヤマトを演じ、骨太なイメージが強かった。しかし、本作では、やはり奏のごとく単純でデフォルメされたヤンキーで、ヒロインの成瀬果音(白石聖)のことを、ケンカのめっぽう強い女性と勘違いし、憧れも含めて一目惚れをしているというキャラクターを演じている。

 また、家が大家族で決してお金持ちではなく、どんぶり飯をかきこむ姿や、ケンカにあけくれる場面なども、鈴木のイメージを最大限に膨らましていて、「待ってました」という気分にもなる。同時期に出演している『今日から俺は!!』(日本テレビ系)のキャラクターともシンクロしつつ、違いもあって見比べるのも楽しい。

 ほかにも佐野玲於演じるTeam 生徒会の綾小路葵はいつも着物の上半身をはだけさせて鍛えてばかりいるし、その側近の関口メンディー演じるガブリエル笹塚も、着物に金髪おかっぱ頭で登場する。

 このように、それぞれのキャラの核を外さずに、面白くかわいく、視聴者がツッコミを入れたくなる方向に伸ばしているのが今回のキャラクター作りの最大の特徴と言えるだろう。

 今後は、劇団EXILEの町田啓太がTeam 先生として登場するのが待たれるが、きっと町田演じる結城理一も、彼自身の端正な顔立ちと、好青年なキャラクターを最大限に生かし、ちょっと笑えてツッコめる方向のものになるのだろう。

 それができるのは、漫画原作が主流の昨今において、オリジナルの原作を俳優の魅力から作るということに徹しているからと言える。原作があれば、原作のキャラクターの魅力に俳優が近づくことで新たなキャラを自分のものにしていくことができるが、オリジナル作品であれば、当て書きをすることで、本人のキャラクターから発展した役を通して、より本人と近いキャラクターを愛してもらうことができる。

 また、『HiGH&LOW』シリーズでは、先にも書いた通りで、LDHの面々は、かっこいい方向にふりきっていて、おおっぴらに笑える部分を出しているキャラクターはダンなどの一部を除いて少なかった。そのため、山田裕貴が演じたデフォルメされた鬼邪高校の番長・村山のようなキャラクターに注目がいくという傾向も大きかった。

 本作では、LDHのメンバーも振り切ったキャラクターを演じることで、より親しみをもってファンや視聴者に迎え入れられるのではないだろうか。今後の展開も楽しみである。(西森路代)

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