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『呪術廻戦』虎杖悠仁×伏黒恵は”最高のバディ”だ 新しい形のライバル関係を考察

リアルサウンド

20/12/19(土) 9:00

 『呪術廻戦』の主人公・虎杖悠仁と、その同級生である伏黒恵。2人の関係性が良い意味でいかんとも表現し難く、ワクワクする。

 同作の主人公虎杖は、都立呪術高専の1年生。もともとは、“呪霊や術式とは無縁の世界にいたすこぶる身体能力の高い普通の高校生”であったが、両面宿儺の指を食べたことによって呪力を手にすることなった人物だ。通常、宿儺の一部を食せば命を落としてしまうのだが、虎杖は自我を保ったまま宿儺を抑え込むことができる「宿儺の器」になる。一度は秘匿死刑を宣告されたが、五条悟の図らいで高専に入学し、現在は残りの宿儺の指を探し出すまでは死刑を執行しないという執行猶予がついている状態だ。

 一方の伏黒は、呪術界の御三家である禪院家の血筋を引く呪術師。自身の影絵から式神を呼び出す術式を使い、経験もそこそこある。作中では虎杖に陰に隠れてしまいがちだが、生得領域「嵌合暗翳庭」を披露したり、奥の手である「八握剣異戒神将魔虚羅」を呼び出したり、着実に成長を見せている人物である。

 この2人の間には、いわゆるライバルかつ戦友のような関係性がある。だが、これまで「週刊少年ジャンプ」にあったライバル・戦友同士とは少し違う。歴代の主人公とライバルの関係を振り返ってみると、表面上は仲が悪く、たいてい一方もう一方に突っかかっている構図が一般的ではないだろうか。『ドラゴンボール』の孫悟空とベジータをはじめ、『銀魂』の坂田銀時と高杉晋助もそうだし、『黒子のバスケ』の黒子テツヤと火神大我も、最初はお互いに良い印象を持っていない描写があった。

 だが、虎杖を伏黒にはこれらのライバル・戦友関係と微妙に違った関係性があるのだ。というのも、最初から2人は互いに認め合い、素直な感情を言動に表していた。例えば、虎杖が宿儺の指を食べてしまった後、五条から「彼をどうするべきかな」と問われた伏黒は、「……仮に器だとしても 呪術規定にのっとれば 虎杖は処刑対象です でも死なせたくありません」ときっぱり。さらに、「…私情?」という問いには、「私情です なんとかしてください」と出会って間もない虎杖へ何かを感じているかのような発言をしていた。

 英集少年院では、補助監督の伊地知潔高へ「もしもの時 俺にはアイツを始末する責任があります」と言い、宿儺と命がけで戦っている。その中で虎杖を助けた理由として「オマエ(虎杖)の様な善人が死ぬのを見たくなかった」と言っており、それを受けた虎杖も「伏黒は頭がいいからな 俺より色々考えてんだろ オマエの真実は正しいと思う でも俺が間違っているとも思わん」と相手を否定するでも、自分を否定するでもなく享受する様子が見えていた。これは、出会って時間が経っていなくともお互いを認め、信頼関係が築けていることの表れではないだろうか。

 さらに、この2人からは「最高のバディ感」も感じられる。「渋谷事変」で粟坂二良と2人が戦っているシーンを見て、ワクワクしたのは筆者だけではないはずだ。ピンチの状況でも2人一緒ならば心強く、「大丈夫だ」となぜか安心できる。だからこそ、真剣な戦いの場において茶々を入れ合っていても特段違和感はなかったし、結果相手の術式を見抜くこともできた。虎杖のポテンシャルとパワー、伏黒の経験値と頭脳が組み合わさることで、格段上の敵にも匹敵する力となると予感させられるのだ。

 さらに虎杖本人ではないが、無敵の存在である宿儺が伏黒に興味を持っているのも面白い。現在の「週刊少年ジャンプ」では、虎杖にとっても伏黒にとっても苦しい状況が続いているが、まだまだ2人の関係性は進化していきそうだ。「渋谷事変」という長編が終わった時、どんな絆が生まれるのか楽しみである。

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