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嵐 相葉雅紀、志村けんとの『志村どうぶつ園』での出会いが転機に 二人のあたたかな関係性を振り返る

リアルサウンド

20/4/2(木) 6:00

 昭和から平成、そして令和と、いつの時代も、どんなときも、日本中に笑顔を届けてくれたエンターテイナー・志村けんがこの世を去った。

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 人気番組『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)で共演していた嵐・相葉雅紀は、あまりにも突然すぎる別れに「現実を受け止める事が出来ません」と、悲痛な胸のうちをコメントにしたためた。ふたりはかれこれ16年の付き合い。志村との出会いこそ、アイドル・相葉雅紀の転機だった。もっとずっと続いていくはずだった二人のあたたかな関係性を、エピソードとともに振り返る。

■相葉雅紀を変えた、志村けんのアドバイス
 番組がスタートした2004年といえば、嵐はまだ固定ファン層の人気に留まっていた時代。国民的アイドルとして花開く前のことだ。

 相葉も、当初はスタジオパネラーのひとり。さらに彼は当時「カメラの前でうまく話せない」という悩みを抱えていた。初回放送で使われたコメントはたった3秒。スタッフからも「バラエティなんだからもっと喋って」と言われたそうだ。

 志村は、収録後にスタッフ・演者を集めてその日の振り返りを行うという。そこで志村は、相葉にこう話した。

「視聴者は、お前がやっていることはお前の考えでやっていると思うんだよ。だから思い切って自分が納得できることを自分なりにやってみれば?」

 この言葉で、相葉は自らロケを志願。「ワケあり動物園修行」での体当たりロケが視聴者にウケた。“あの”志村けんも爆笑した。以後、相葉の人気・知名度はうなぎ上り。嵐のブレイクの一端を担った。

 相葉はこのエピソードを自身の「転機」として、2010年4月17日放送『嵐伝~今夜しか見られない嵐がわかりすぎるVTR一挙放出SP~』(日本テレビ系)で振り返っている。

志村けんが語った「相葉雅紀」
 志村もまた、何事にも一生懸命に取り組み、アドバイスをすぐに実践する相葉の姿勢を好意的に受け入れていた。

 ともに食事をしたときには、メモをとりながら志村の話を聞いていたこともあるという。過去に雑誌『non-no』に寄せたコメントでは、礼儀正しく、裏表がない相葉を「ちゃんと普通の感覚を持ったアイドル」と語り、かわいがっていた。

 志村といえば稀代のエンターテイナー。人を楽しませること、喜ばせることを大切にする人物であり、そして音楽のプロフェッショナルだ。

 ザ・ドリフターズではギターを担当し、三味線奏者としても知られている。ジャンルを問わず、幅広く音楽を愛してきた。

 そんな志村は、人気者になっても決して驕ることのない相葉を「ライブではあれだけすごいことができるのに」と、アイドルとしても認めていた。

 彼は、嵐のライブにもたびたび足を運び、自身のブログに「凄かった」と綴っていた。まだアリーナ規模のツアーを行っていたころの嵐のライブに、相葉たっての希望で参加したこともある。

 舞台裏では「相葉のことを息子を見るような目で、嵐のメンバーを息子の友達を見るような目で」迎えてくれたと、『news zero』(日本テレビ系)で櫻井翔が語っていた。志村の優しい笑顔が容易く想像でき、泣けてくる。

■二人の微笑ましいエピソード
 『VS嵐』(フジテレビ系)に志村がゲスト出演した際、相葉が突然、志村を「パパ」と呼んだことがある。「パパのために頑張ります」と宣言したのだ。

 嬉しそうに驚いた志村の、何とも言えない表情が忘れられない。「おまえに呼ばれた覚えないよ」と、志村は照れたように笑いながら、目を輝かせ顔をほころばせた。

 実際、これまで「パパ」などと呼んだことはないという。他愛ない瞬間に、ふっと自然にそう呼べてしまう。そこがまた、相葉の「かわいい」ところであり、愛される理由なのだろうと察する。

 また、相葉がゲスト出演した『あさイチ』(NHK総合)では、こんなエピソードも披露された。志村との初めての食事の場で、相葉は慣れない酒と緊張で酔い、志村の膝枕で眠ってしまったのだという。

 同番組では、この出来事について志村にたずねている。志村は「かわいいやつだなと思った」と話し、相葉のことを「礼儀正しくて、すごく素直な人」だと、ここでも彼の素顔の魅力を明かしていた。

■追悼コメントに溢れる哀しみ、志村への想い
 志村は、あまりプライベートを公にはしていないが“家庭”を持たなかった。そんな志村にとって相葉は、まさに息子のような愛しい存在であったのかもしれない。弟子でもない、友人でもない、けれど“ただの共演者”ではない、不思議な関係。そこには、年齢も芸歴も超えた互いへのリスペクトと、確かな愛があった。

〈さよならするのはつらいけど 時間だよ 仕方がない 次の回までごきげんよう〉

 ザ・ドリフターズの大人気番組『ドリフ大爆笑』(フジテレビ系)のエンディング。笑顔でこう歌い、踊っていた志村。仕方がないと言われても、さよならするのはつらすぎる。どう考えても、あまりにも早すぎる。

 追悼コメントには、志村を想い、なんとか前を向こうとする相葉の心境が綴られていた。しかし、「ただ、もっと一緒に居たかった」「でも、悲し過ぎます」……どうしたって溢れる哀しみの言葉が、胸に刺さる。

 日本中の誰もがまだ、さよならは言えそうにない。せめて「ごきげんよう」の言葉を、そして「ありがとう」を、今は贈りたい。(新 亜希子)

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