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シェイクスピアの庭

20/3/3(火)

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シェイクスピアが主人公だが、創作に苦悩する姿や、芝居の稽古、役者との対立といったバックステージものではない。書かなくなってからのシェイクスピアの物語だ。 シェイクスピアは、演劇あるいは映画でその作品をいくつも観て、肖像画も有名なので顔も知っているが、「生涯については詳しく分かっていない」ことしか知らなかった。妻がいて、娘が二人いて、さらに死んだ息子もいたことを、初めて知った。 その家族が崩壊しているところから映画は始まり、家族間の秘密が明かされ、さらに亀裂は深まり、しかし再生するという、そんなあらすじだ。この内的ドラマが静謐に描かれる。地味なのだが、スクリーンへの求心力がすさまじく、小さな劇場で演劇を観るときのような緊張感が続く。といって、演劇的ではなく、やはり映画なのだ。 緊張が続くと、遠景を見せて、それをほぐすという、映画ならではの作り方。シェイクスピア演劇を熟知し、映画も知り尽くしたブラナーならではだ。 それにしても、ジュディ・デンチは年に何本の映画に出ているんだろう。これはという映画に、たいがい出ている。

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