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高校卒業で俳優活動本格化? 鈴鹿央士、浜辺美波、上白石萌歌ら2000年生まれ俳優たちの台頭

リアルサウンド

19/10/7(月) 6:00

 松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィンというメンツが揃った『蜜蜂と遠雷』で、彼らに並んで主要キャストの一人に名を連ねた鈴鹿央士。映画初出演の新人ながら、堂々たる姿をスクリーンに刻んでいる。このメンツに名を連ねた鈴鹿は、2000年生まれの超・新星。いまやこの、2000年生まれの若き俳優たちの台頭が始まっている。

参考:ギャンブル狂から大根侍、腹黒アイドルまで 浜辺美波、“ぶっ飛びキャラ”を総取り

 鈴鹿といえば、広瀬すずが自身のマネージャーにスカウトするように進言し、芸能界入りが決まった存在だということは知られているだろうか。それは広瀬の主演映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』のロケ地の高校を、彼が訪れていた際の出来事だという。鈴鹿は、広瀬の主演ドラマ『なつぞら』(NHK総合)の終盤に登場し、アニメーターたちの命である原画を水溜りに落としてしまい、みなをてんやわんやさせるという大きな見せ場もつくった。

 『蜜蜂と遠雷』では、正規の音楽教育を受けていないながらも巨匠に見出され、エリートが集うピアノコンクールに参加する少年役を飄々とした佇まいで好演。“元・天才”や、“超・エリート”に扮する松岡、森崎らの中に、ある種の異物として登場する彼の存在は、その役どころと鈴鹿自身とが重なって見えた。新人とは思えぬ、また同時に新人だからこそ体現できる瑞々しさで、周囲に影響を与えるキーマンを演じきっている。鈴鹿は現在、スラリと伸びた好スタイルを活かし、「MEN’S NON-NO」の専属モデルとしても活躍中。『おっさんずラブ-in the sky-』(テレビ朝日系)への出演も発表され、彼のポテンシャルの開花はこれからの大きな楽しみの一つだ。

 ところで、先に“2000年生まれの若き俳優たちの台頭”と述べたが、他には誰がいるだろうか。この年代といえば、高校を卒業し、いよいよ俳優活動を本格化させているところなのだろう。その中で真っ先に思い浮かぶのは、やはり浜辺美波である。

 彼女が『君の膵臓をたべたい』(2017)、『センセイ君主』(2018)、『アルキメデスの大戦』(2019)と、現在の日本映画界でヒロインのポジションを担うことができる若い才能として重宝されているのは周知のとおり。涼やかでどこか儚い面立ちや、透き通る声を武器とする一方で、奇天烈なキャラクターを演じられるという強みも彼女は持っている。『賭ケグルイ』(2018-2019/MBS・TBS系)が二期に渡って放送され、劇場版も公開されたのが好例だろう。筆者は以前「ギャンブル狂から大根侍、腹黒アイドルまで 浜辺美波、“ぶっ飛びキャラ”を総取り」というコラムを書いたのだが、こういった特異なポジションを早くから得ていることは、自ずと次なるステップをも予感させる。

 ロングラン上映を続けている『天気の子』で主演声優を務めた醍醐虎太郎、『ホットギミック ガールミーツボーイ』や『初恋ロスタイム』で存在感を示す板垣瑞生、『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)にて連ドラ初出演ながら白熱する物語展開に貢献した眞栄田郷敦。彼らもまた、2000年生まれの俳優だ。板垣に関しては『ソロモンの偽証』などの代表作をすでに得てはいるものの、露出が顕著になってきたのはほか二人と同じくここ最近のこと。三者ともその実力は未知数で、可能性は無限大だと言えるだろう。

 将来を嘱望される若手俳優がこぞって出演し、そのドラマ展開にあわせて大きな注目を浴びた『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)にも、思えばこの世代が集っていた。物語の中核を担った上白石萌歌は、放送中の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK総合)で水泳選手に扮し、ドラマのキーとなる役どころを好演。バラエティ番組『A-Studio』(TBS系)ではサブMCを担当し、今やお茶の間の顔ともなっている。望月歩は『五億円のじんせい』『向こうの家』と主演映画が相次いで公開。まだあどけない顔立ちを武器に、若者のイノセンスを柔軟に表現する。箭内夢菜は『雪の華』で映画初出演を果たしたばかりだが、彼女もまた『HiGH&LOW THE WORST』『ブラック校則』『殺さない彼と死なない彼女』と話題の出演作が続々公開。まだキャリアが短いこともあり、他の俳優の影に隠れてしまっている印象は否めないが、これらの作品を並べただけで、彼女への期待値の高さをうかがうことができるだろう。

 さらには、『中学聖日記』(2018/TBS系)で事務所の先輩にして主役を務めた有村架純にタメ張る好演を見せた小野莉奈、子役時代から才能を伸ばしてきた濱田龍臣。『腐女子、うっかりゲイに告る。』(NHK総合)の好演が記憶に新しく、映画『影踏み』の公開に期待も高まる藤野涼子、劇団活動で力をつけてきた久保田紗友もこの世代にあたる。これからさらに認知度も高まり、エンタメ界を牽引していくメンツなのではないだろうか。

 本稿で挙げた俳優のいずれもが、各々に出演作や公開作を多数控えている。20代も半ばになった俳優が高校生役を演じていることに違和感の声が上がっているのを一時期よく耳にしたものだが、彼らの“等身大”という価値は大きい。少年少女から大人への過渡期にある彼らは、高校生から社会人(フレッシャーズ)までをリアリティをもって演じられる貴重な時期にあるのだ。もちろん、ここに挙げられなかった俳優も数多くいる。そんな彼らの存在をいち早く見つけ出し、耳目をそばだてていきたい次第である。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

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