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GEMS COMPANY、アイドルとしての達成感に満ちた2ndワンマン千秋楽 城乃柚希ラストステージで伝え合ったメンバー愛

リアルサウンド

21/1/21(木) 18:00

 昨年10月にメジャーデビューアルバム『precious stones』をリリースした、バーチャルアイドルグループ=GEMS COMPANYが、1月8日から10日の3日間全5公演におよぶ『2nd ONEMAN LIVE“プレシャスストーン”』を神奈川・KT Zepp Yokohamaにて無観客開催した。卒業が発表されていた城乃柚希のラストステージとなった10日の夜公演は、城乃を含むユニット=citrossがMCを務め、城乃によるソロ曲「柚希式シアワセ論」も披露。グループ全体としても『全国おはなし会ツアー2021〜新しい仲間に出会う旅〜』の開催や、有栖川レイカと星菜日向夏のソロ曲リリースが発表されるなど、さらなる活躍に期待が高まる公演となった。

 グループのこれまでの歴史を振り返ったOPムービー、お馴染みの「overture」が立て続けに流れ、長谷みことのソロ曲「少女聖戦パラドクス」でライブの火蓋が切って落とされた。疾走感あるロックチューンは、まるでアイドルの現場は戦場だと言わんばかり。長谷は、ダイナミックに動き周りながら熱いボーカルを聴かせ、ファンもコメント欄で曲に合わせて「はい!はい!はい!」と声をあげ大歓声に沸いた。長谷のパフォーマンスが終わると9人全員がステージに登場し、自己紹介と共に「大千秋楽、最高のライブを全力でお届けします!」と、この日の意気込みを叫んだ。

 前半戦はソロ曲とユニット曲で繋いだ。星菜日向夏と音羽雫によるポップでキュートな「オンリー・マイ・フレンド」は、飛び跳ねながら歌う元気な姿に心は夏といった感じ。奈日抽ねねは、ピコピコサウンドの行進曲「夢見がちエクスプローラー」を歌い、愛媛なまりのセリフもあって、まるでミュージカルのような雰囲気。赤羽ユキノ、長谷、星菜、水科葵のユニット=Http:は「ネットのかみさま」を歌い、ステージは一気ににぎやかに。水科はソロ曲も披露。デジタルロックサウンドのアッパーチューン「形而境界のモノローグ」は叫ぶように歌い、「声出せー!」と観客をあおる。もう1曲はバラードの「メロウ」、まるで海の底にいるような照明と演出に魅せられた。

 そして、昨年12月に配信リリースされた初のソロ曲「柚希式シアワセ論」を披露した城乃。おしゃべりが大好きな彼女らしいノリの良いナンバーで、ラップ調の早口パートも出てくる。ステージを駆け回りながら歌う城乃に、ファンもコメント欄で「わっしょい!わっしょい!」とかけ声をかけ、まるで目の前に観客がいるかのような一体感が会場に溢れた。

 MCは公演ごとに異なり、城乃、音羽、長谷からなるユニット=citrossの3人が進行を務めた。出会いから現在までを振り返り「土手で出会ってからここまで這い上がってきたね」と、感慨深げな表情を見せた3人。城乃の「柚希式シアワセ論」にちなんで幸せについて語ったコーナーでは、GEMS COMPANYのメンバーでいられたことを挙げた城乃。「(赤羽)ユキノくんは聞き上手」「(水科)葵ちゃんは、いつも近くで見てくれて支えになっている」「ぽんちゃん(=音羽雫)は、裏表がない」など、メンバーだからこそ知る各メンバーの魅力を語りながら、「そんなみんながしゅきぴです!」と愛を伝えた。そんな城乃を嬉しそうにイジった音羽と長谷の2人。舞台袖でスタンバイ中のメンバーやファンにも、きっと彼女の愛は伝わったことだろう。

 後半はメンバー全員で歌う楽曲を次々と披露し、ライブを大いに盛り上げた。まずは「みなさんも画面の向こうでジャンプしてください」と、彼女たちの原点的なナンバー「JAM GEM JUMP!!!」を繰り出す。明るく楽しい曲調に合わせて歌って踊り、9人で一斉にジャンプする姿は壮観だ。前向きなパワーに溢れた「ときめきドリームライン」は、楽曲の持つ自己肯定感が未来に向けた勇気を与えてくれる。そしてディスコ調の「ゴールデンスパイス」では、コメント欄にかけ声や合いの手、メンバーの名前を呼ぶ声がずらりと並んだ。メンバーも「セクシーに」「ぶりっ子で」「最高にキラキラに」といったかけ声に合わせて、様々な歌い方で自分を表現する。可愛いだけではない、個性満載の9人のスパイシーな魅力が画面から溢れた。

 最後にはMCを務めたcitrossの3人がユニット曲「メッセージ」を歌った他、メンバーを代表してこの日の思いや感謝の気持ちをファンに伝えた。「メッセージ」は、様々な愛と感謝の気持ちが込められたミディアムバラード。3人は美しいハーモニーと共に〈ありがとう〉という言葉をファンに届け、3人と一緒に歌う〈LaLaLa…………〉の声がコメント欄を埋め尽くした。

 長谷は、「5公演を走り抜けてきて、プレシャスは本当にここにあるんだと胸を張って言えます。citrossとして最後のステージで、大千秋楽のラストを飾れてアイドルとして100点満点。こんなプレシャスなステージをありがとうございました」と、達成感みなぎる表情を見せる。

 音羽は、「ライブが開催できるかもわからない状況で、こうしてここに立てたことが嬉しいです。citrossとして千秋楽を飾ることができたこと、みなさんに感謝しています。これからもcitrossが大好きだ!」と、今にも泣き出しそうだ。

 そして1月いっぱいで卒業する城乃は、「メッセージ」をレコーディングした時のことや初ライブの思い出を振り返りながら、「情勢的にもジェムカン的にも苦しいことや悲しいことがいっぱいあった1年で、みんなもきっといろいろあったと思う。そんな時に人を笑顔にするのがアイドル。そんなアイドルになれていたかな? アイドルとしてこのGEMS COMPANYに城乃柚希が存在できていたら嬉しい。こんな幸せな空間に城乃柚希を立たせてもらえて良かった。2年半、本当にありがとうございました」と、今の気持ちを語った。

 アンコールでは「JAM GEM JUMP!!!」をもう一度。3日間全5公演を走り抜けた達成感、無観客開催となった悔しさ、城乃柚希と一緒に歌う最後の曲であることなど、様々な思いが脳裏を駆け巡ったであろうこの曲。9人は涙を必死に堪えながら、それでも最後まで笑顔を絶やさず歌い続けた。城乃への思いも込めたラストの「JAM GEM JUMP!!!」は、この日、この時の思いが詰まった、ファンにとっても特別なものになっただろう。

■榑林史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。

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