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JABBA DA FOOTBALL CLUB×NAOTO(ORANGE RANGE)対談 「*~アスタリスク~」で共有された時代を超えるメッセージ

リアルサウンド

21/2/18(木) 18:00

 ラップグループ・JABBA DA FOOTBALL CLUB(以下、JABBA)がメジャー1stアルバム『JABBA DA FOOTBALL CLUB』を3月10日にリリースする。「*〜アスタリスク〜」(ORANGE RANGE) 、「全力少年」(スキマスイッチ)、「Funny Bunny」(the pillows)、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」(サンボマスター)のサンプリングカバーを含む本作は、JABBAのメンバーが青春時代から傾倒してきた音楽・カルチャーの影響が色濃く反映された作品となっている。

 リアルサウンドでは、JABBAのリーダー・NOLOVと、本作に収録された「*〜アスタリスク〜」のプロデュースを担当したNAOTO(ORANGE RANGE)の対談が実現。JABBAによる「*〜アスタリスク〜」の制作を軸に、お互いのグループ論、音楽観を語り合ってもらった。(森朋之)

「今になって『*〜アスタリスク〜』のメッセージがわかってきた」(NOLOV)

ーーまずはJABBA DA FOOTBALL CLUBとNAOTOさんの交流について教えてもらえますか?

NOLOV:デビューシングルのカップリング曲でNAOTOさんにリミックス(「i&i Remixed by naotohiroyama (ORANGE RANGE/delofamilia)」)をお願いしたんです。実現したらやべーなって思ってダメ元で。そしたら、快く受けてくださって! それで実際に初めてNAOTOさんとお会いしたのは、2019年の『FUJI ROCK FESTIVAL』です。ORANGE RANGEのライブが終わったあと、ばったりお会いしたのでご挨拶して。その時はNAOTOさんに「気合い入り過ぎてて、キツいね(笑)」って言われましたけど(笑)。

NAOTO:ハハハハ(笑)。

NOLOV:そのあと、ツアーにも遊びに行かせてもらいました。そんな流れもあって、今回のアルバムコンセプトを決めていくなかで、「1曲、NAOTOさんにプロデュースをお願いしたいです」と。

NAOTO:JABBAの存在はリミックスの依頼を受けたときに初めて知ったんですけど、過去の作品を聴いてみたらすごく僕が好きなタイプのアーティストで。ヒップホップやラップはもちろん好きだし、メンバーから滲み出る男の子っぽさというか、馬鹿加減というか……わかります(笑)?

NOLOV:ハハハハ!

NAOTO:そういう雰囲気って大切だと思っているんですよ。ORANGE RANGEにもそういう一面があるし、類は友を呼ぶというか(笑)。リミックスもそうだったし、今回のオファーも「ぜひ」という感じでした。

ーーなるほど。JABBAのメンバーは全員、ORANGE RANGEのファンだとか。

NOLOV:そうですね。僕は2コ上の兄貴に教えてもらいました。なんかちょっとエロくて! かっこよくて! ちょうどスニーカーを履きだした頃ですね。それまで“瞬足”だったのが「ちょっとオールスターとかスーパースター履いてみるべ」みたいな時期にORANGE RANGEを知りました。

ーー思春期の訪れとともにORANGE RANGEと出会ったと(笑)。今回「*〜アスタリスク〜」を選んだのはどうして?

NOLOV:自分たちの好き!って曲を選ぶと偏っちゃうし、多くの人に聴いてもらいたいと思ったので、JABBAチームで相談して決めました。何より「NAOTOさんと一緒に楽曲を制作する」ってことが一番大事でした。というのも、僕たちとても煮詰まっていて(笑)。「この曲は絶対にいい」と思った曲がことごとくリリースに至らなくて。作っても作っても抜けられないループに入り、どんどんどうしたらいいかわからなくなっていました。その状況を打破すべく、一流の人と一緒に作らせてもらうことで、自分たちに足りない所を感じたくて。本気で身を投じないと、実際にやってみないとわからないものがあると思うので。

ーープロデューサーとして「*〜アスタリスク〜」を一緒に作ってほしい、というオファーが来たとき、NAOTOさんはどう思いました?

NAOTO:JABBAの既存の曲のなかに「*〜アスタリスク〜」のような曲はなかったし、新しいことが出来るのはいいなと思いましたね。実際の制作は、プロデューサーという言い方が大袈裟なくらい、共同でやっていた感覚なんですよ。メンバーのみなさんに「思いついたことがあったら言ってください。アイデアがあればあるほど僕もやりやすいんで」という話をして。僕が作ったトラックにメンバーがラップを乗せて、それに触発されて音を調整したり。そんなキャッチボールを続けてるうちに完成しました。

ーー良い相乗効果が生まれたと。

NAOTO:はい。Aメロは4つ打ちなんですけど、それも普段、自分ではあまりやらないことなんですよ。楽曲の流れもきれいにつながって、「これはいいな」と。僕は結構流れをぶった切るタイプなんで(笑)。あとは、やはりメンバーのラップですね。「この人はこういう声なのか」というのがわかってくると、後ろの音も作りやすくなるというか。

NOLOV:すごく楽しくやり取りさせてもらいました。NAOTOさんから送られてきた音源に対して、「どう返すか?」をみんなで話し合って、ヴァースの順番を入れ替えたり。グループ内の音楽に関する会話も増えて。もはやセラピーに近い感じもありました(笑)。

*~アスタリスク~ – JABBA DA FOOTBALL CLUB

ーー「*〜アスタリスク〜」の制作を通して、メンバー同士の関係が変化した?

NOLOV:そうですね。今までは僕とBAOBABが中心になって曲を作っていたので、4人で音の話をすることは少なかったと思います。でも、「*〜アスタリスク〜」を作っていたときは、ROVINとJUQIも見たことがないようなパワーを出してきたんですよ。いやいや! もっと早く出してよ!って感じなんですけど(笑)。

NAOTO:(笑)。良かったです。せっかく一緒にやるんだったら、お互いに刺激があったほうがいいと思うんで。

ーーJABBAは4MC、ORENGE RANGEは3MCなので、理解できる部分も多かったのでは?

NAOTO:そうですね。自分たちの正攻法みたいなものを当てはめてみることもありました。JABBAのメンバーもすごくキャラが立っているので、それに沿って作るということが最優先だったんですよ。まずはキャラを掴むのが大事でした。ホントだったら一度飲みに行って話が出来たら良かったんですけど、いまはそれが難しいじゃないですか。なので曲を聴いたり、MVを観て、「この人はこういう感じかな」って想像してました。

NOLOV:それ、気になりますね(笑)。どんなふうに見えてたんですか?

NAOTO:ラスベガスで撮ってる「i&i」のMV、あるでしょ? あれを観て「NOLOVくんはおちゃらけた人かな」とか。

NOLOV:ハハハハ!

NAOTO:ムードメイカーであり、切り込み隊長でもある。ホテルの部屋のシーンとかを観たりして、そんな感じなのかなと(笑)。メンバー全員、ちゃんとキャラが立ってるし、それぞれのバックボーンやアイデンティティみたいなものを汲み取りながら作った方が楽しいですからね。

ーーJABBAのメンバーも、自分たちのキャラや良い部分を見つめ直すきっかけになったのでは?

NOLOV:そうですね。それぞれの良いところをどうラップに落とし込めばいいか、悩んでました。自分の得意なところ、みんなが「そこが良いよ」と言うところと、自分がやりたいことって、ちょっとズレてたりするんですよね。色々なものに影響を受けて、どうしても背伸びしちゃうというか。

ーーなるほど。

NOLOV:でも「*〜アスタリスク〜」のときは、全員がすげえ素直に良いところを出してきて。そんなの初めてだったんでする。デモのREC時点で、みんなのバースを一聴して素直に「めっちゃ良いね!」って。なおかつ、新しい可能性も感じて。短くリレーしていく構成ですけど、それぞれがMCとしての強さを発揮できていると思います。

ーーオリジナル曲ではなくて、全員が好きな「*〜アスタリスク〜」だったから、もともと持っているものを素直に発揮できたのかも。

NOLOV:それは間違いないですね。あと、今回の制作を通して、「*〜アスタリスク〜」という楽曲の捉え方も変わりました。ガキの頃はただ「カッコいい」だけだったんですけど、今になって曲のメッセージがわかってきたんですよね。「自分が自分のために必死に頑張る。どこがで見ている人が自然に勇気づけられる」というか。誰かを勇気づけようと頑張ってるわけではなく、自分のために頑張っている姿が、結果的に誰かの光になっているような。実際、ORANGE RANGEとJABBAの関係もそうだと思うんです。ORANGE RANGEは誰かのために音楽をやってきたんじゃなくて、その姿だったり、楽曲を聴いて、僕らは勝手に刺激を受けてきたので。

ーーそのことに気付いてから、音楽への向き合い方も変わった?

NOLOV:そうですね。ずっと「誰かのために何かやらなきゃ」という気持ちでしたけど、もっと自分のためにやっていいんだなって。その感覚を“星”に例えて楽曲にしてる「*〜アスタリスク〜」めちゃくちゃお洒落じゃね!?って思いました。

NAOTO:いまのコメント、ボーカル陣にも聞かせて答え合わせしたいです(笑)。

NOLOV:「*〜アスタリスク〜」はバンドを始めたかなり早い段階からあったんですよね?

NAOTO:そう、作ったのは高校生のときだから。

NOLOV:ですよね。こんな発想ができるなんて、どういう高校生だったんですか?

NAOTO:歌詞のことは詳しくわからないから、何とも言えないんだけど(笑)。僕自身は「あれもやりたい、これもやりたい」という感じでしたね。やりたいことが多すぎて、ちゃんと判断できていなかったというか。

NOLOV:その感じ、メンバーのみなさんとどうやって共有していたんですか?

NAOTO:そのとき自分としてはよくわかっていなかったけど、後々聞いてみると、だいぶ意識のズレがあったみたいです。「あのときはキツかったよ」って。こっちとしては「えっ、早く言ってよ」って感じだったけど(笑)。

NOLOV:なかなか言えないですよね…!

ーーORANGE RANGEにもいろんな時期があったと思いますが、メンバー間のバランスが上手く取れないこともあった?

NAOTO:よくありますよ、それは。1年に2回くらいあるかな。

NOLOV:そうなんですか?

NAOTO:うん。そのことについて話すこともあれば、話さないこともあって。5人いれば、細かいことを含めるといろいろありますからね。JABBAと一緒で、みんな個性的だし。

ーーバンドやグループで音楽を作るというのは、そういうものだと?

NAOTO:そうですね、少なくとも僕たちはそういったこともありますよね。

「カウンターカルチャーをJ-POPのど真ん中でやりたかった」(NAOTO)

ーーJABBAの1stアルバム『JABBA DA FOOTBALL CLUB』には、「*〜アスタリスク〜」のほか、「全力少年」(スキマスイッチ)、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」(サンボマスター)、「Funny Bunny」(the pillows)も収録。「Funny Bunny」以外は2005年の楽曲ですが、これは意図があるんですか?

NOLOV:たまたまですね(笑)。かなり煮詰まっている時期にJABBAのアートディレクションをしてくれてる安田さんと飲みながら会話してる中で「BACK TO BASIC」という言葉が残って。「元々、俺たち何にドキドキしてたんだっけ?」と。それで振り返ってみると、前作のEP『DON’T WORRY, BE HAPPY』の時はGreen Dayのようなポップパンクを。前々作『FUCKING GOOD MILK SHAKE』では、The PharcydeやDe La Soulなど今やってる音楽のルーツをテーマにしていました。でも、今回は、もっともっと前。本当の原体験まで戻って、この4曲をサンプリングさせてもらいました。僕が生まれ育ったのは島根県の超田舎なんですけど、そんな場所まで届いてきてガキの僕を夢中にさせる音楽には確かに何かがあって。実際に音楽を作るようになって聴いてみると、意志の乗せ方、デリバリーの方法、恐ろしい程とことん作り込まれていて改めて震えました。そこに気付いていなかったら「今流行ってるもの」を小手先でやっていたかもしれないです。

ーーなるほど。「*〜アスタリスク〜」をリリースした2005年当時、NAOTOさんはどんな意識で活動してたんでしょうか?

NAOTO:「*〜アスタリスク〜」は「花(2004年)」リリース直後の2005年一発目のシングルだったんですけど、とにかく歪なことを間髪入れずにやろうと思った時期ですね。尖ったことを今やることに意味があるというか。自分が経験してきた音楽体験、カウンターカルチャーをJ-POPのど真ん中でやりたかった。エポックメイキングというと言いすぎですけど、一石を投じるべきだと思ったし、とにかくカウンターを打ちたかったんですよね。注目度があるうちに普通は出せない部分を出しとこう、みたいな(笑)。

NOLOV:ハハハハ!

NAOTO:(笑)。なのでレコード会社にも無理を言って、「すぐにアルバムを出させてほしい」とお願いして、その年『ИATURAL』を出しました。さっきの話じゃないけど、たぶんメンバーはキツかったと思いますけどね。

ーー「*〜アスタリスク〜」をNAOTOさんと一緒にリテイクしたことは、JABBAにとってめちゃくちゃ大きなポイントだったと思います。その後のJABBAの制作にも影響があったのでは?

NOLOV:それはめちゃくちゃありましたね。なんなら1stアルバムに入っている新しい曲は、すべて「*〜アスタリスク〜」の制作後に作り直しました。元々あった楽曲も、BAOBABと話し合ってビートを組み直したり、アレンジを変えたり。ほんと劇的に変わりました。間違いなく僕らにとってのブレイクスルーのきっかけになったと思います。自分たちの持ち味を発揮することの大切さに気付けたことはすごく大きいです。

NAOTO:おもしろかったよね。

NOLOV:おもしろかったです。マスタリングが終わって、メンバーと車で聴いて「このキックどうなってんの? 知らねえ低音出てんじゃん!? ヤバくね?」って。まだ発見あんの?!みたいな(笑)! 最後の最後まで驚き続けてました。

NAOTO:嬉しいです。僕も楽しんでやっていたので。

ーー最後にNAOTOさんから、JABBAに向けたメッセージをいただけますか?

NAOTO:さっきも言いましたけど、やっぱり大事なのは個性ですよね。4人の個性をどんなふうに伸ばしていって、それをどう絡ませていくのかがとても楽しみです。今後も追いかけていきたいですね。

NOLOV:ありがとうございます! 僕はデビューシングルを出した頃とは、かなり考え方が変わりました。その頃は「テッペン取るぞ!」みたいな感じでした。この数年で社会の状況も大きく変わって、これまで登るぞと思ってた山がなくなっているような気がして。「どうしたらいいんだろう?」と思っていたんですが、「*〜アスタリスク〜」の制作、NAOTOさんとのやり取りを通して、ひとつの道が見えた気がします。一番大事なのは、個性も生き方も全く違う4人が、音楽をやってなかったらリンクしなかった4人が、JABBAという共同体としておもしろいものが作れるかどうかだなと。今後は4人全員がそれぞれの人生と向き合いながら、音楽を作っていきたいと思いますが。そんで、それを受け取った人が何か感じてくれたら、この上ないです。

※記事初出時より一部訂正がございました。お詫び申し上げます。

■リリース情報
JABBA DA FOOTBALL CLUB
「*~アスタリスク~」
2月17日(水)先行配信
配信はこちら

『JABBA DA FOOTBALL CLUB』
2021年3月10日(水)リリース

初回生産限定盤(SRCL-11736~7)
¥3,750(tax in)※三方背ケース仕様

通常盤(SRCL-11738)
¥3,000(taxi in)

<CD>
M1 *~アスタリスク~
M2 i&i
M3 天国しようよ
M4 きみは最高
M5 ハニートースト・ロマンス
M6 全力少年
M7 天上天下唯我独尊
M8 アイスクリーム デイドリーム
M9 国道9号線
M10 フレンズ
M11 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
M12 Funny Bunny
M13 新世界

<DVD>
SPECIAL INTERVIEW “What’s my age again?”
新世界
きみは最高
国道9号線
Thinking about You feat. Kick a Show
Bye again
Miss Untouchable
ラッキーセブン

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