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玉三郎と仁左衛門のお岩と伊右衛門『東海道四谷怪談』ほか、歌舞伎座「九月大歌舞伎」開幕

ぴあ

歌舞伎座『九月大歌舞伎』

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ほろりとさせる新歌舞伎に舞踊、そして時代物狂言、生世話狂言と、彩り豊かな演目が出そろう9月の歌舞伎座。六世中村歌右衛門二十年祭、七世中村芝翫十年祭と銘打った第一部から幕を開ける。

第一部『お江戸みやげ』

酒が好きなおゆうと、一切酒を飲まずに金勘定ばかりのお辻。中年の女行商人ふたりが江戸へやってくる。江戸みやげにと、江戸で評判の役者・坂東栄紫の「お染の七役」を観ることに。堅物のお辻がなんと栄紫にほれ込んでしまう。そして彼女が「一生に一度」と手にした江戸のみやげとは。ほろ苦く、そして心温まる作品だ。父である七世中村芝翫の当たり役であったお辻を、当代の芝翫が初役で、おゆうにはこちらも初役で中村勘九郎。息の合ったコンビが見どころだ。

そして『須磨の写絵 行平名残の巻』。海女の松風と村雨の姉妹は、須磨へ配流となった在原行平に恋慕する。だが都へ戻ることになった行平の烏帽子、狩衣をまとった松風は狂乱となって……。能の『松風』をもとに作られた清元の舞踊劇。行平に中村梅玉、海女松風に中村魁春、海女村雨に中村児太郎。

第二部 『近江源氏先陣館 盛綱陣屋』 

近江国坂本城(京)と鎌倉・平時政との間に戦が起こる。佐々木四郎兵衛高綱と、兄・佐々木三郎兵衛盛綱も京と鎌倉に分かれ戦っている。盛綱の陣屋では一子小三郎が手柄を立て、高綱の一子小四郎が人質として捕らえられた。時政が高綱の首実検のため盛綱の陣屋へやってくる。首を一目見た小四郎は「父上様」と叫び、ただちに自害してしまう。どうみても偽首なのにとあやしみ悩む盛綱。そこには高綱と小四郎の父子の間で交わされた約束があった……。大坂夏の陣で敵味方に分かれた真田信之・幸村兄弟をモデルに描かれた義太夫狂言。盛綱を松本幸四郎が初役でつとめる。

もう一幕は舞踊『女伊達』。吉原仲之町を舞台に、男伊達を女に替え、上方の男伊達相手に一歩も引かない、江戸女の気風の良さを見せる。女伊達・木崎のお光に中村時蔵。

第三部 『東海道四谷怪談』 

元塩冶家の家臣民谷伊右衛門は、産褥に苦しむ妻お岩とわが子を見捨てて、塩冶家の仇であるはずの高野家への仕官をもくろみ、高野家の家臣で裕福な伊藤家のお梅と祝言を挙げる。一方お岩は伊藤家から届いた薬を飲むが、実は相好の変わる毒だったため、顔が醜く変わってしまう。髪を梳き、化粧をし、伊藤家へ乗り込もうとするが、強い執念と恨みを抱えたまま、お岩は非業の死を遂げて……。

坂東玉三郎と片岡仁左衛門のお岩と伊右衛門は、1983年6月の歌舞伎座以来。ゾッとするほど美しく凄まじいお岩の怨念と、色悪の典型、伊右衛門の悪の華をたっぷりと堪能したい。

今月も座席は一部を除いて前後左右を開けた千鳥型となっている。二人並び席のブロックもあるので、チケット予約の際は確認を。

文:五十川晶子

『九月大歌舞伎』
2021年9月2日(木)~2021年9月27日(月)
会場:東京・歌舞伎座

※第二部出演を予定していた中村歌昇、中村隼人を含む舞台関係者の新型コロナウイルス感染のため、第二部については9月2日(木)初日から6日(月)まで上演中止

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