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Nulbarich、ずとまよ、millennium parade、Who-ya Extended……不定形で活動するアーティスト集団

リアルサウンド

21/3/12(金) 12:00

 メディアなどで流れた曲やアーティストが気になって調べてみたけれど、その実態がわからなかった、という経験があるだろうか。そういう機会は、もしかすると今後多くなるかもしれない。これまでのバンドのようなメンバー固定ではなく、曲ごとにメンバーが入れ替わったり、音楽以外のクリエイターと組んだりと、不定形なアーティスト集団が曲を発表するケースが増えているからだ。そんな新しい形態で活動するアーティスト達と、そこから新たな表現が生まれてきている。

 その先達としては、まずNulbarichが挙げられるだろう。ブラックミュージックをルーツに持ち、ネオシティポップの代表格として確固たる地位を築くNulbarich。メンバーは総勢11名だが、シンガーソングライターであるJQがトータルプロデュースし、演奏形態に応じて参加メンバーが変わるバンドだ。

Nulbarich – TOKYO (Official Music Video)

 メンバーが固定されていないこともあって、JQ以外のメンバーのビジュアルは公開されておらず、「ナルバリくん」というキャラクターをアートワークに用いたり、MVに敢えて意味を持たせないようにしている。バンドの輪郭を掴ませず、情報をそぎ落とすことで先入観を持たず、曲そのものをシンプルに届けることを重要視しているのがNulbarichだ。

 ずっと真夜中でいいのに。(通称「ずとまよ」)もメンバーを固定しない音楽ユニットだ。ずとまよは、作詞作曲ボーカルを務めるACAねがユニットの核であり唯一の固定メンバーで、そのほかのバンドメンバーは曲ごとに流動的だ。

 音楽面だけではなく、個性的なアニメーションMVもずとまよの大きな特徴で、鮮烈なデビューとなった「秒針を噛む」や「脳裏上のクラッカー」ではWaboku、「正しくなれない」では安田現象など、映像クリエイターと組んでMVを制作している。毎回曲の発表とともにMVに注目の集まるずとまよは、映像込みで一つの作品を作っているクリエイター集団と呼んでもいいだろう。

ずっと真夜中でいいのに。『秒針を噛む』MV
ずっと真夜中でいいのに。『正しくなれない』MV(ZUTOMAYO – Can’t Be Right)

 CDなどの音源からではなく、動画サイト上で発表したり視聴されることが増え、音楽は画像や映像を必要とするようになった。ずとまよのような映像込みの音楽形態は、そこからの発展形の一つと言えるだろう。

 音楽と映像をかけ合わせた作品を生み出すアーティスト集団と言えば外せないのが、King Gnuの常田大希率いるmillennium paradeだ。millennium paradeは、常田が主宰するクリエイティブレーベル・PERIMETRONが総合演出を務めており、全編フルCGで話題になった「Fly with me」、DIORとのコラボである「lost and found」など映像のクオリティが突出しており、映画を1本観たかのような濃密な世界観が展開される。

millennium parade – Fly with me
millennium parade “lost and found”

 PERIMETRON自体も、デザイナーやイラストレーターなど、それぞれが独立したスキルを持つメンバーの横のつながりによって構成されており、作品ごとに組むタッグが変わっていくという。あらゆる面で先進的な存在がmillennium paradeだ。

 そんな不定形なクリエイター集団が次々生まれていくなかで新たに注目したいのがWho-ya Extended。2019年にアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のオープニングテーマに新人としては異例の抜擢を受け、「Q-vism」は先行配信でiTunes総合チャート1位獲得するなど、堂々たるデビューを果たした。

Who-ya Extended 「Q-vism」MUSIC VIDEO(TVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』オープニングテーマ)

 さらに今年2021年には、第1期から人気が沸騰していたアニメ『呪術廻戦』の第2クールオープニングテーマを「VIVID VICE」で担当。ノンクレジットOPムービーは1500万回再生を突破している。立て続けに人気作の看板を背負い、かつその期待に応えてみせたWho-ya Extendedもまた、ボーカリスト・Who-yaを中心とするクリエイターズユニットである。

 メンバーを固定しないユニット形態をとっている理由について、Who-yaは音楽のジャンルに縛られず、曲単位で違った色を見せていきたいためと語っていた(参照:文化放送『こむちゃっとカウントダウン』2月27日放送回)。ユニット名に含まれる「Extended」は、拡大、拡張などの意味を持つ。

 3月3日には、「VIVID VICE」のアコースティックバージョンの動画も公開されている。めまぐるしく疾走感のある展開の楽曲を、ソリッドな歌声で正確無比に歌いこなしていくイメージのあるWho-ya Extendedだが、ここではアコギ一本とWho-yaの歌声のみで紡ぎだされる繊細さが際立った。素体としてのWho-yaのポテンシャルとともに、「Who-ya Extended」の形をとることでその可能性がいかに拡張していくかを感じ取れる動画ではないだろうか。

Who-ya Extended 「VIVID VICE」 Acoustic version

 新しい音楽や表現に出くわすと、つい名前をつけてカテゴライズしたくなるが、そういう受け取り方はもう野暮かもしれない。枠組みを超え次々と生み出される新しい音楽や作品を、これからは作品単体として、ありのままに楽しんでいきたいところだ。

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。Twitter(@erio0129)

Who-ya Extended公式サイト

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