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NMB48、村瀬紗英の偉大な功績物語るステージに 唯一無二の世界観演出した卒業コンサート

リアルサウンド

20/12/26(土) 12:00

 NMB48劇場での卒業発表からおよそ2カ月。村瀬紗英が、12月14日大阪・オリックス劇場にて開催された『NMB48村瀬紗英 卒業コンサート 〜Happy Saepy Ending〜』の9日後に開かれた卒業セレモニーを持って、グループを旅立った。

 NMB48にとって10周年を飾る、2020年最後のコンサートとして開催された村瀬の卒業公演。コロナ禍で満足のいく活動ができなかった春から夏頃を振り返ると、10月の10周年公演と吉田朱里の卒業コンサート2デイズ、そして12月の今回と有観客(入場人数を制限)でライブが開催できていることは奇跡に近い。日々、目まぐるしく変化していく情勢の中で、今後もしばらくは肝煎りのコンサートが続いていくことだろう。

 裏を返せば、この卒業コンサートの開催自体が、NMB48における村瀬の偉大な功績を如実に物語っている。9年前の2011年に2期研究生として加入した村瀬。劇場の初日公演では、後ろの隅っこで踊っていた、言わば中々スポットライトの当たらないメンバーだった。2013年、難波鉄砲隊の選抜メンバー入り。その後、2014年リリースの9枚目シングル『高嶺の林檎』で初選抜入りしたのを機に、グループの中心メンバーとして活躍するようになっていく。そこにあったのは腐らずに自分を強く持ち、挑戦し続ける心。その結果、2018年に村瀬は大きなターニングポイントを迎えることとなる。

 それが、IZ*ONEを生み出した韓国のオーディション番組『PRODUCE 48』への挑戦だった。彼女の端正な容姿から付けられたキャッチコピーは「破壊的美貌」。コンサートの幕開けを飾った村瀬のソロ曲「イミフ」や「美しき者」といった選曲は、まさにオーディションへの参加によってより自分に自信を持つことができた村瀬の象徴。自らプロデュースした真紅の衣装に金の髪飾り、ブラックライトを使用した特殊なメイクと、そのエキゾチックなムードは、アジア圏で圧倒的支持を受ける彼女が放つ、唯一無二の世界観だ。

 吉田朱里、渋谷凪咲、太田夢莉とのユニット・Queentetでのライブでも披露したことのあるダンサブルなナンバー「DearJ」、一緒にオーディションに参加した白間美瑠、加藤夕夏とのパフォーマンス「わかりやすくてごめん」は『PRODUCE 48』での反響を受け、AKB48グループとして村瀬がセンターの一人に抜擢された楽曲である。

 『PRODUCE 48』で女性や韓国のファンを獲得し認知度を広めた村瀬は、2018年にアパレルブランドANDGEEBEEのプロデューサーに就任。元々、小学生の時に読んでいたファッション雑誌のモデルに憧れて芸能界に興味を持った村瀬は、2016年よりファッションコーディネートアプリ「WEAR」で日々自身のコーディネートを投稿していた。今では74万フォロワーを抱えるファッションリーダーは、『PRODUCE 48』以前から“ムラセンス”として注目を浴び、自ら編集長を務めるファッションWEBサイト「Light uP.」を開設と徐々に段階を踏んでいたが、夢の一つでもあったアパレルブランドの立ち上げは、彼女のその爆発的人気を表している。以前、村瀬にインタビューした際、「韓国から日帰りで来てくださった熱狂的なファンの方もいたりして」とその人気の高さを笑顔で話してくれた。もちろん、その人気はグループ内においてもだ。コンサートでは、ANDGEEBEE選抜として日頃からブランド(と村瀬)をこよなく愛する貞野遥香、上西怜が「ハートの独占権」を披露。後輩から慕われる、憧れのファッションリーダーとしての村瀬の姿がそこにはあった。

 さらに、村瀬の門出を祝いに多くのゲストも登場した。ロケバラエティ『いたくろむらせのオンとオフ』(テレビ埼玉)(※今後は新レギュラーに梅山恋和が加わり、『いたくろここなのオンとオフ』としてリニューアル)で共演するすゑひろがりず、じゃんけんユニット楽曲「あばたもえくぼもふくわうち」でふぅさえコンビを組む矢倉楓子、「心の端のソファー」で谷川愛梨、三田麻央といった2期生の同期、卒業メンバーが集結。特に矢倉とは「紗英が卒業する時に絶対来てもらう」という2年前の約束を叶えた感動の再会。クールビューティーながら、気さくでバラエティセンスの光る、大好きな同期にしか見せない無邪気な笑顔の村瀬もステージでは垣間見えた。

 初選抜曲「高嶺の林檎」を本編のラストに、アンコールではロングドレスを纏い登場。コロナ禍でコンサートが開けたこと、いつもそばにいてくれるファンに感謝を告げ、村瀬は高校3年生の時に亡くなった母親のことについて話し始める。「お母さんは強くて芯があって美人で明るくて、いつまでもずっと私の一番の憧れの人です。病院からもよくコンサートに来てくれて、私がどんどん前のポジションに行くたびに喜んでくれていました」「大好きなお母さんがいなければ、今、私はここにいないので、次の人生に踏み出すこの瞬間だけは私にもステキなお母さんがいたんだよって知ってもらえたら嬉しいなと思いました。みんなの自慢になれるよう紗英は頑張ります」。涙が頬に伝いながらも、晴れやかな表情で思いを語る村瀬。9年分の“結晶”としてソロで歌われた「結晶」は、これまで育んできたファンとの関係性を歌い、スクリーンにはグループを旅立つ村瀬の背中に大きな白い翼が生えていた。

 「たんぽぽの決心」では、メンバーとファンからのメッセージがサプライズで村瀬へと届けられた。会場で声を出して思いを伝えられないことを受けてのアイデアだ。スクリーンに映し出されるメッセージ一つひとつに目を通していく村瀬は、“なぎさえ”として信頼する渋谷凪咲に自然と寄り添う。同じQueentetであり、コンサート中にも「なぎさえラジオ」として相変わらずの仲睦まじい様子を見せていた2人。いつかまた“なぎさえ”が見られる日が来ることを、と思ったのは筆者だけではないだろう。

 ラストはダブルアンコールの「大声ダイヤモンド」で、NMB48らしく明るく締めくくられた。「これからもNMB48と村瀬紗英の応援をお願いします!」。そう挨拶した村瀬は、今後もファッションブランドのプロデュースはもちろん、新たなジャンルの仕事にも挑戦していくと宣言している。第2の人生を歩みだした村瀬は、これからも飽くなき夢に挑み続けていく。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■関連リンク
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