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ジブリ頼みの国内興行 短い夏にはティーンムービーが集中

リアルサウンド

20/7/1(水) 19:00

 先週末の動員ランキングは、なんと初登場トップ3が6月26日から再上映されたスタジオジブリの過去作。1位は『千と千尋の神隠し』、2位は『もののけ姫』、3位は『風の谷のナウシカ』という順位は少々意外だったが(久しく映画館上映されていない『風の谷のナウシカ』が大人の観客には一番強いと予想していた)、同じく再上映4作のラインナップに入っていた『ゲド戦記』がトップ3から大きく離れて初登場9位となったのには、誰もが納得といったところだろう。

参考:ジブリが映画館を救う? 『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』を大スクリーンで観る喜び

 初登場4位の『ランボー ラスト・ブラッド』は、オープニング3日間の興行成績ではジブリのトップ3作品を上回る興収1億4553万円を記録。現在の状況下では、十分に健闘と言っていい。一方、6位に初登場となった『ソニック・ザ・ムービー』は興収6294万円と苦戦。ただでさえ親子連れの観客層が劇場に戻ってない上に、劇場内では客席の間隔を空けるという家族連れやカップルにとっては足が遠のく理由となるウイルス対策が続いていて、その上にジブリのリバイバル作品に観客を奪われたかたちだ。

 もしこのままの劇場内のウイルス対策が続く場合、遅くとも『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が公開される8月7日までには、家族客の場合は特例として連番の席を提供するなどの対策が必要となってくるだろう。同日には『ぐらんぶる』、それ以降も『思い、思われ、ふり、ふられ』(8月14日公開)、『弱虫ペダル』(8月14日公開)、『仮面ライダー電王 プリティ電王とうじょう!』(8月14日公開)、3月公開から延期された『2分の1の魔法』(8月21日公開)、今週に入ってから公開延期を経ての新公開日が発表された『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song』(8月15日公開)と『糸』(8月21日公開)、その直後にも『青くて痛くて脆い』(8月28日公開)、『事故物件 恐い間取り』(8月28日公開)の公開が続く。こうして作品を並べてみると、もともと夏休み作品として公開が予定されていた子供向け、あるいは10代20代向けの作品の数々に、3月以降に公開延期となった作品が加わって、どう考えても観客の食い合いが起こりそうだ。さらに、今年は休校明けの学校の夏休みが大幅に短縮されていて、それらの作品を上映する劇場はいつから客席をすべて解放できるかどうか、現時点ではまったくわからない。

 昨日発表された、日本映画製作者連盟、外国映画輸入配給協会、モーションピクチャー・アソシエーション、全国興行生活衛生同業組合連合会の4団体による「『映画館に行こう!』キャンペーン2020」は、まさにこのような状況を受けて発足した。アメリカに目を向ければ、ここにきて感染がさらに拡大していて、『TENET テネット』も『ムーラン』も公開日がさらに後ろ倒しになった。東京都内の感染者数も減少する兆候はない。劇場の安全は確保されているとしても、観客の心理的な影響は想定以上に長引く可能性も出てきた。緊迫の夏興行がもうすぐ始まる。(宇野維正)

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