Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

『麒麟がくる』影の主役・帰蝶が尾張で奔走 川口春奈が見せる“心の内”

リアルサウンド

20/4/6(月) 6:00

 大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK総合)の第12回が4月5日に放送された。「十兵衛の嫁」というサブタイトル通り、十兵衛(長谷川博己)は祝言をあげる。一方、尾張では、信秀(高橋克典)を中心に、帰蝶(川口春奈)と信長(染谷将太)の駆け引きが描かれた。

 十兵衛は、足利義輝(向井理)が口にした「麒麟」の話が頭から離れず、牧(石川さゆり)に対しても光安(西村まさ彦)に対しても、心ここに在らずという様子でいる。そんな様子を見て、光安と牧は十兵衛の嫁取りを考えるのであった。光安は、嫡男の左馬助(間宮祥太朗)に、十兵衛を鷹狩りに誘うように申付ける。その鷹狩りの途中、仲間とはぐれたことをきっかけに、十兵衛は煕子(木村文乃)と再会。十兵衛はすぐに煕子に結婚を申し込み、2人は晴れて祝言をあげる。

【写真】泣きべそをかく信長と帰蝶

 一方で、信秀は自身がもう長くないと悟っていた。尾張では、織田家の今後についての話し合いが開かれる。そこで信秀は信長の弟・信勝(木村了)に末森城を委ねるという。そして信長には那古野城を与え、家督を継がせると話す。しかし信長は、信秀が現に身を置く末森城ではなく、那古野城を任されたことに不信感を抱き怒りをあらわにする。

 失望のあまり部屋で泣きわめく信長を見かねた帰蝶は、信秀が双六をするために会いたがっている東庵(堺正章)を京から呼び寄せる代わりに、信秀の心の内を聞き出すのであった。帰蝶は信長の元に戻り、信秀は信長を自身の若い頃と重ね大切に思っていること、そして尾張を任せるつもりであることを伝えた。

 その頃、帰蝶の父・道三(本木雅弘)は土岐頼芸(尾美としのり)から贈られた鷹の爪に毒が塗られていたことに憤怒。自分の命を奪おうとした頼芸と戦をするかもしれないと十兵衛や高政(伊藤英明)に話す。そんな中、東庵が尾張に到着した。信秀の元を尋ねるが、東庵が部屋にいくと、信秀はついに力尽きて命を落としてしまっていた。

 十兵衛の結婚という祝い事と並んで、尾張では信長の乱心ぶりや信秀が亡くなるなど落ち着かない様子を見せる。そんな中で帰蝶は、見事に信秀から本音を聞き出し、信長をなだめることに成功するのであった。「美濃のマムシ」と呼ばれる斎藤道三の娘だけあって、帰蝶は度胸も手練も見事なもの。弱っている信秀を相手に「東庵を呼ぶ」という交換条件を付きつけて情報を引き出した。そして信長に「信秀は信長を家督にするつもりだ」と話し、ふてくされていた信長の笑顔を引き出し士気を高める。

 だが、この信秀からの言葉の真相は、帰蝶のみぞ知るもの。帰蝶が信長に話したことが真実であるか、そうでないかは定かではないが、父母の愛情を求め続けていた信長が一番に欲しかった言葉を伝えることができたのは確かだろう。そしてそれは、帰蝶が信長の気持ちを日ごろからよく理解し、大切に思っていたからこそ成し得たものなのだ。

 帰蝶は優しさだけでなく、強さも併せ持った女性であることがわかる。一方で、十兵衛が嫁をもらったという知らせに対して「チクチクいじめてやろうと思う」と話す帰蝶の心の内はどこか寂しそうにも見える。過去の恋心に想いを馳せる姿から、夫を手のひらで転がす器用な妻までを1回の放送で担う。第12回は、十兵衛の結婚の裏で、人知れず尾張で奔走する帰蝶こそが影の主役だっただろう。

(Nana Numoto)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む