あからさまに脱力しているわけではない。 無性に笑えてしまうというわけでもない。 極端にズレているわけではない。 恐怖感がゼロというわけでもない。 まったく新しいゾンビものを開発したわけではない。 かといって過去の作品群への批評性がふんだんにあるわけでもない。 ありきたりのパロディというわけではない。 現代的な社会風刺としての異議申し立てとして成立しているわけでもない。 ひとつ言えるのは登場人物たちが決して深刻にはならないということ。 不安はある。 パニック的状況も訪れる。 出口なしの絶望だってやってくる。 ただ。 嘆いたり泣いたり呆然としたり思考停止に陥ったりすることがない。 とにかく深刻にならないこと。 コロナウィルスという未曾有の出来事に直面しているわたしたち人類は。 この映画から学ぶべきことがある。 深刻にならないこと。 生き残るために。 生き続けるために。 最善の策は深刻にならないことだ。