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遠山正道×鈴木芳雄「今日もアートの話をしよう」

康夏奈のアトリエを訪ねて

月2回連載

第23回

19/8/2(金)

鈴木 今日は、アーティストの康夏奈さんをゲストにお迎えして、作品制作やご自身のお話などをお聞きしていきたいと思います。 遠山さんと康さんは昔からの知り合いなんだよね?

遠山 そうだね。あれ? 出会ったのは2013年の瀬戸内国際芸術祭だっけ? もっと前だっけ?

康 2009年とかそのぐらいかなあ。森美術館の展覧会レセプションで、声をかけました(笑)。

遠山 そうだ、急に夏奈ちゃんから声をかけられたんだよね(笑)。

康 そう、“そのメガネが可愛いですね”って(笑)。

鈴木 逆ナンかいな(笑)。

遠山 本当にそんな感じ(笑)。で、それからの付き合いです。

リアルな風景のみを作品に落とし込む
その特異な制作方法とは

《No Dimentional limit anymore》の模型

康 実は今回、皆さんがいらっしゃるということで、自宅の壁にインスタレーションをしてみたんです(笑)。

鈴木 これは作品?

康夏奈《No Dimentional limit anymore》2014
size 350~1350mm each/Card board、Arches paper、Crayon Oilpastel
Collection of Museum contemporary art Tokyo.

康 東京都現代美術館所蔵になっている、《No Dimentional limit anymore》という作品の模型です。

遠山 そうなんだ! 水面から島が浮いて出ているっていうような感じなのかな?

康 そうです、そうです。

鈴木 この模型は何でできてるの?

康 これは表面を紙粘土で作り、中には紙とかをぐしゃっと詰めています。実際の作品は、かなり分厚くしたダンボールに洋紙を貼り込んでいます。

遠山 その実作品は、このインスタレーションと同じように、壁に展示するものなの?

鈴木 でもこの作品だったら、壁でも床でも、自由自在な感じだよね。

康 そうですね。最初は台座で展示してたんだけど、地球って球体じゃないですか。だから天地は関係ないなって思ってます。

鈴木 そうか、水平にこだわる必要ないんだ。これはどこか実際にある場所なの?

康 はい。小豆島の寒霞渓や吉田ダム、拇指岳など島全体の地形を取材しています。私は実際に行った場所の身体的体験をもとに制作しています。海に潜ったり、山に登ったり、歩いたりするという経験を身体に記憶として刻み込み、その記憶をもとに制作するというプロセスをとります。

鈴木 リアルなんだ。

康 私の作品はすべてリアルな体験からの風景ばかりですね。

鈴木 そのリアルな体験の風景をどういうふうに作品に落とし込んでるんですか?

康 風景って三次元。それを絵に描く時って二次元に落とし込むじゃないですか。それをさらにまた三次元に立ち上げる。つまり3Dのものを2Dに描いてまた3Dに起こしたみたいな感じなんです。

遠山 これは立体を作ってから描くんでしょ?

康 どっちもあります。どっちも同時にやってたっていうか。

遠山 なるほど。この模型も実作も、まずは平面に描いて、それを折り紙というか、立ち上げてるんだ。

康 そうです。

鈴木 リアルな風景に取材し、記憶して制作するってことだけど、スケッチしたり、写真は撮らないの?

康 どっちもやりますが、まず地形をまるごとインプットすることが先なんです。完全にフィールドワークっていう感じですね。ひたすらその場所を理解するために登ったり潜ったり歩いたりします。

康夏奈《花寿波島の秘密》2013年
5.5×5.5x3m/Styrene form、Crayon、Oil pastel、Acrylic
Permanent Installated at Shodoshima

鈴木 ということは、瀬戸内国際芸術祭2013年で発表して高い評価を受けた《花寿波島の秘密》も、康さんが見た実際の風景が作品に落とし込まれてるってこと? これは小豆島の海?

康 そうです。この作品を制作するために、10、11、12月の海に30日以上潜って、自分で取材をしました。島の周りをぐるぐるフィールドワークして、上からも下からも色んな角度から海の中の景色を見て、頭の中で地形を理解して、うーん……と体験の記憶をシャッフルして、ポンっと出していくっていうか(笑)。

遠山 こんなすごい作品たちが、ポンって出てくるの?(笑)

《花寿波島の秘密》がどうやって制作されたかを、図にしながら説明してくれた

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