Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

佐藤寛太の偏愛主義でいこう!

『軍艦少年』で共演した加藤雅也さんにインタビューしました!【前編】

第2第4月曜連載

第16回

今回は、寛太さん入魂の主演映画『軍艦少年』で、寛太さん演じる主人公・海星の父親、玄海を演じた加藤雅也さんが登場! 寛太さんにはインタビュアーとして、俳優としての大先輩である加藤さんに聞いてみたいことを存分にぶつけてもらいました。きっとここでしか読めない、“息子”から“父”への濃密すぎるインタビュー、前編・後編でお楽しみください!

佐藤 今日は『軍艦少年』のことはもちろん、お芝居についてもざっくばらんに聞いていいですか?

加藤 ドンとこい! どんな質問でも大丈夫だよ。

佐藤 この映画で僕が演じた海星の父、玄海という役と向き合ったときに、最初はどういう印象でした?

加藤 あくまで僕個人の意見だけど、玄海のように飲んだくれの役は演じやすいと思う。自分から働きかけるんじゃなくて、誰かが働きかけたことに対して答える役だからね。極端に言うと、動きとしては本当に酔っぱらっていても成り立つとは思う。その逆で、なんでもない普通の人ほど難しいものはないし、自分が働きかけていく立場になると本当に難しいかな。

撮影に入る前に一番大事なことは、玄海がどういう人生を送っていたのかをちゃんと頭の中に入れることだと思う。今回は妻を演じるのが(大塚)寧々ちゃんだから夫婦として演じやすいと思った。過去に共演したことがあって、夫婦で過ごした時間を思い出すときに、その思い出を引き出すことができるからね。

佐藤 他の人だったらまた違ったかもしれないですか。

加藤 その人との過去を作らなきゃいけなかったと思う。その点、今回は赤井英和さんも清水美沙さんも「お久しぶりです!」という感じだったしね。

佐藤 僕、最初に監督とプロデューサー陣に会ったとき、たぶんオファーとは言いつつ本決まりじゃなかったんです。マネージャーさんからも顔合わせと聞いていたから、候補の方が何人かいるんだろうな、って。

加藤 いわばオーディションだよね。(Yuki)Saito監督はアメリカでもやってるし、その人に会ってみないと分からないというのがあったんだろうね。オーディションってとんでもない人を呼んでみて、意外にこれもありかな?っていう場合もあるから、まずはやっぱり会いたかったんじゃないかな?

佐藤 オファーをいただいてからすぐに『軍艦少年』の原作を読んで、次の日ぐらいに監督にお会いしたいって自分からお願いしたんです。そうしたら監督と、脚本も手がけた眞武プロデューサーとお会いできて。

そのときに僕だけじゃなくて他のキャストさんも本決まりではなかったんですけど、絶対に顔合わせをしたいと伝えて。本読みの時間を作っていただけるとうれしいです、とお願いしたら叶ったんです。

加藤 本読み、みんなでやったよね。

佐藤 本読みのとき、僕はすごい気合いを入れて台本のセリフを覚えて行ったんですよ。雅也さんは台本から目を離さずにやられていて、僕は雅也さんの顔面をずっと見続けながらやっていたんですけど、そのときにどう感じていたのかなと聞きたくて。

加藤 やり方は人それぞれだからね。あくまでこれは俺の持論だけど、全部覚えて自分の芝居を固めていってしまうと、他の言い方ができなくなってしまうと思うんだよね。読むぐらいの感覚でいかないと相手がどうくるかは分からないから、相手のセリフに合わせて作ることを大事にしてる。

佐藤 キャッチボールのようにしないと、ということですよね。

加藤 ミュージシャンだったら、ギター、ベース、ドラムと集まって、さぁ始めましょうというときに、「俺、ピアノ弾けないんですけど」っていうようなレベルのリハーサルはやっても意味がないよね。芝居も同じだと思うんだけどね。ただ、セリフの言い方まですべて考えて覚えてしまっている状態だと、それ以外ができなくなってしまうような気がするんだよね。俺も前は全部覚えていく方だったんだけど、今は本読みのときは棒読みぐらいでいいのかな、って思ってる。あくまで自分が経験してきた上での持論ね。

佐藤 雅也さんのことじゃないんですが、他の現場で本読みのときにあまりやる気がないように見える方ってそういう考えだったのかもしれない。

加藤 本読みって1回で終わって「みなさんよろしくお願いします」ってなることも多いけど、いやいやここからだよ、とは思うよね。

佐藤 そこからお互いのキャラクターを確かめ合っていくのが理想です。

加藤 そうそう。相手があってこそだから、何回もやるうちに自分の言い方も変わってくるし。あまりにも自分で固めてしまうと、セリフを変えられたら出てこなくなることってあるじゃない? それって前に覚えたものがお経のように出てくるからだと思う。

佐藤 僕、刑事もののときにそうなることがあります。事件の話とか死亡推定時刻を流れで覚えちゃってるから、直前にセリフが変わると分からなくなるんです。

加藤 だから演技としてじゃなくて言葉として覚えておかないと、っていうのは俺の中ではあるね。そうしないと結構ドツボにはまるみたいなときがある。

英語で言うと「I went to the hospital yesterday」の語順を変えてしまうと意味が通じなくなるけど、日本語だったら「行ったよ、昨日。病院に」でも通じるでしょ。だから脚本を読んで、これは作家の生理で書いたものであって俺の生理じゃないよなと思うときもあるし、芝居をやってみたら違う語順で言葉が出てくることもある。

深いところでは、それを良しとするかどうか、って問題も出てくるよね。語順が変わることをすべて否定されるとつらいな、と俺は思うんだけど。

佐藤 少女漫画原作をやらせていただくことも多いんですけど、セリフを覚えているのに出てこないときがあったんです。

加藤 たぶん自分の生理に合っていないからだろうね。

佐藤 それで自分なりにやり方を考えて、全部がっちり固めていくんじゃなくて、壁ドンしてチュウするのはマストだけど、そこまでの道のりは僕と相手でやっていけばいいんじゃないかって考えに少しずつなってきました。

加藤 俺はそれでいいと思うよ。脚本上では成り立っていても現実には成り立たないってことがあるから、芝居ってそういうもんだと思う。

でももっと深いことをやるなら、成立しないセリフを成立させるためには何が必要かを考える訓練はした方がいいと思う。すべてを言いやすいようにしちゃうと、自分の域から出られなくなるから。

佐藤 自分のやりたいように、言いたいようにやるだけだと……。

加藤 “佐藤寛太”から出られなくなる。佐藤寛太が警察官やお医者さんの服を着ているだけで、違う人にはなれないよね。

一字一句間違えないで言うのもプロだし、自分の生理に合わないときにどうするか考えることが必要な場面もある。これは永遠の問題じゃない? 英語だったら「I」のみだけど、日本語だと「俺」と「僕」でもイメージが変わってくるわけで。

佐藤 遊びがある分、考えることも増える言語なのかもしれない。

加藤 表現力が豊かなんだな、日本語っていうのは。

※加藤雅也さんとの対談の“後編”は次回掲載します。

『軍艦少年』
12月10日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国公開
©2021『軍艦少年』製作委員会

出演:佐藤寛太 加藤雅也
   山口まゆ 濱田龍臣 / 赤井英和 清水美沙 / 大塚寧々
監督:Yuki Saito  脚本:眞武泰徳 劇中画:柳内大樹
原作:柳内大樹『軍艦少年』(講談社「ヤンマガKC」刊)
主題歌:卓真「軍艦少年」(UNIVERSAL MUSIC)
制作プロダクション:エノン
製作:『軍艦少年』製作委員会
配給:ハピネットファントム・スタジオ

https://happinet-phantom.com/gunkanshonen
https://twitter.com/gunkanshonen
https://www.instagram.com/gunkanshonen

取材・文:細谷美香 撮影:稲澤朝博
スタイリスト(佐藤寛太):平松正啓(Y’s C)
ヘアメイク(佐藤寛太):KOHEY
ヘアメイク(加藤雅也):結城春香

プロフィール

佐藤寛太(劇団EXILE)

1996年、福岡県生まれ。2015年に劇団EXILEのメンバーとなり俳優活動を開始。主な出演作に『恋と嘘』『わたしに××しなさい!』『DTC-湯けむり純情篇-from HiGH&LOW』『家族のはなし』『走れ! T校バスケット部』『jam』『今日も嫌がらせ弁当』『いのちスケッチ』(以上映画)、『探偵が早すぎる』『駐在刑事』『僕の初恋をキミに捧ぐ』『おやすみ王子』『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』『ハゲしわしわときどき恋』『美食探偵 明智五郎』(以上TV)、「音楽劇『銀河鉄道の夜2020』」(舞台)など。2021年は、『ヒミツのアイちゃん』(FODで配信中)、『劇団EXILEがゴルフを始めて100日間で100切り目指すTV』(テレビ東京系)、『シェフは名探偵』(テレビ東京系)、TBS日曜劇場『TOKYO MER 走る緊急救命室』『JAM -the drama-』などに出演。現在は劇団EXILE『JAM-ザ・リサイタル-』が公演中。12月10日(金)公開の『軍艦少年』では主演を務める。2022年は、1月14日(金)からレギュラー出演する『駐在刑事 Season3』の放送がスタート。3月4日(金)から舞台『怖い絵』の出演が決まっている。

佐藤寛太パーソナルブック 『NEXT BREAK』
発売中 3080円(税込) ワニブックス

本連載の前身、佐藤大樹さん&佐藤寛太さんの連載はコチラ!

アプリで読む