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『ワンダヴィジョン』ついに配信! MCU最強キュートカップルの活躍を振り返る

リアルサウンド

21/1/16(土) 12:00

 1月15日から、Disney+でマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)のドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』の配信が開始された。

 2020年はコロナパンデミックの影響で、多くの映画が公開延期となった。もちろんMCU作品も例外ではなく、5月に公開予定だった『ブラック・ウィドウ』からいよいよフェーズ4に突入というところで、ファンはおあずけをくらってしまったのだ。そんななかでの『ワンダヴィジョン』配信開始である。新たな予告編が公開されるたびに世界中のファンが色めき立ち、首を長くして待っていたのは当然のことだろう。

 しかし私たちの記憶に新しい『アベンジャーズ/エンドゲーム』と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(ともに2019年)では、ワンダとヴィジョンにはほとんどフォーカスが当たっていなかった。そこで今回はこれまでのMCU作品での2人の活躍を振り返り、そのキャラクターの魅力を再確認してみたい。

ともに『エイジ・オブ・ウルトロン』で初登場した2人

 ワンダ・マキシモフとヴィジョンは、ともに2015年公開の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で初登場した。

マーベル「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」予告編

 ワンダはヒドラの残党、ストラッカー将軍が実験していた強化人間の1人で、もう1人は彼女の兄ピエトロ・マキシモフだ。彼らは紛争の絶えないソコヴィアで生まれ育ち、幼いころ家にスターク社製の砲弾が落ちてきたことからトニー・スタークとアベンジャーズを憎むようになった。その恨みを晴らし、祖国を守るため、2人は強化人間になったのだ。当初は打倒アベンジャーズを目指しウルトロンと行動をともにしていたマキシモフ兄妹だったが、ワンダが彼の真の目的が人類滅亡であると気づき、アベンジャーズと共闘することになる。

 ワンダはエネルギー波の放出やテレキネシス、マインドコントロールなどの能力を持つサイキック系のヒーローだ。彼女はアベンジャーズ最強クラスの力を持っているといえる。その強力さから「魔女」と呼ばれることもある彼女は、コミックではX-MENの一員として「スカーレット・ウィッチ」のヒーロー名で活躍しているが、MCUではその呼称はほどんど使われていない。

 一方のヴィジョンは、もともとトニー・スタークの身の回りの世話をする人工知能J.A.R.V.I.S.(ジャーヴィス)だった。J.A.R.V.I.S.はウルトロンにプログラムを破壊されてしまうが、記憶データを削除することで、かろうじてネット上に逃げ延びる。その後トニーとブルース・バナーによって、ウルトロンがチョ博士に作らせたヴィブラニウム製の人工生体ボディにアップロードされ、ソーの電撃で覚醒。J.A.R.V.I.S.ともウルトロンとも違う、新たな存在として誕生した。

 ヴィジョンは最高の頭脳とヴィブラニウム製のボディを持ち、インフィニティ・ストーンの1つであるマインド・ストーンが額に埋め込まれている。彼もまた、アベンジャーズのなかで最強レベルのヒーローなのは疑いようがない。ヴィジョンは主に、飛行能力や身体の分子構造を変化させる実体離脱、マインド・ストーンから照射されるエネルギービームを使って戦う。さらに感情に流されない冷静な性格で善良な精神を持っているため、ソーのムジョルニアを持ち上げることもできるのだ。そんな2人は、以降の作品を通して心を通わせていく。

『シビル・ウォー』では別陣営に参加するも仲を深める

 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)では、ヒーローたちの活動を国連が管理する「ソコヴィア協定」を巡って、アベンジャーズは分裂してしまう。任務中にその強すぎる力を制御できず、多くの一般人の被害を出してしまったワンダは、この事態を招いたのは自分だと落ち込む。そんな彼女にヴィジョンはやさしく接し、2人は距離を縮めていった。

 ヴィジョンはトニーから頼まれてワンダを監視・軟禁していたわけだが、彼自身も彼女の身を案じ、それが一番いいと判断したのだろう。しかしホークアイが迎えに来たことで自分が置かれている状況を理解したワンダは、ヴィジョンの制止を振り切って協定反対派のキャプテン・アメリカ陣営に加わった。ワンダは自分の意思で戦うことを決意したのだ。

 ヴィジョンが「ソコヴィア協定」賛成派のアイアンマン陣営に加わった理由は明白だ。これまでアベンジャーズの戦いに巻き込まれ、一般市民や街が被った甚大な被害を考えれば、国連の管理下で承認を受けたうえで活動したほうがいい。賢明で冷静な彼らしい判断だ。しかし空港での大乱闘でヴィジョンは攻撃を受けたワンダの介抱に気を取られ、同じアイアンマン陣営のウォーマシンに誤ってエネルギー砲を当ててしまった。これは彼自身がワンダへの想いを自覚する出来事でもあっただろう。

ワンダとヴィジョンの共通点とは

 ワンダとヴィジョンには、ともにマインド・ストーンによって力を与えられたという共通点がある。その力は強大すぎて制御が難しい。ワンダはそのせいでアベンジャーズの内乱の発端となる事故を起こしてしまう。彼女は自分の持つ力に怯え悩んでいた。ヴィジョンもやはり自分の額に埋め込まれたストーンの正体がわからず、すべてを熟知しようと努力しているとワンダに打ち明けている。

 マインド・ストーンというつながりを持つ2人は、同じ課題を抱えていたのだ。力に支配されてしまうか、自分が力を支配するか。これはどんなに強いヒーローにとっても大問題だ。2人はその答えを一緒に見つけようとしていたのかもしれない。

『インフィニティ・ウォー』で彼らに起こった悲劇

 『シビル・ウォー』のあと、ヴィジョンは逃亡生活を送るワンダに付き添ってスコットランドで暮らしていた。その2年間に2人は着実に愛を育んできたようだ。それぞれの陣営に戻る直前、ヴィジョンのマインド・ストーンを狙ってサノスの部下であるブラック・オーダーが現れたときには、ワンダは深手を負ったヴィジョンを守った。しかしサノスの狙いを知ったヴィジョンは、彼女にいざというときは自分ごとマインド・ストーンを破壊するように頼む。このワンダが最も避けたかった事態は、残念ながら現実のものになってしまった。彼らはワカンダでマインド・ストーンの摘出を試みるが、サノスの襲撃にあい失敗に終わる。そこでワンダは葛藤しながらもストーンを破壊することを決意するのだ。ヴィジョンはワンダのエネルギー波を受けながら、愛をささやき砕け散った。しかしサノスはタイム・ストーンを使って時間を戻し、ヴィジョンの額から無理やりマインド・ストーンを奪う。そして6つそろったインフィニティ・ストーンの力でワンダも消滅した。

 『アベンジャーズ/エンドゲーム』のサノスとの最終決戦で復活したワンダは、ヴィジョンを失った悲しみや怒りをぶつけ、サノスと互角以上の戦いを見せる。アベンジャーズは最終的に世界をもとに戻すことに成功するが、ガントレットの力ではなくサノスに殺された者は戻ってこない。ワンダは永遠にヴィジョンを失ってしまったのだ。

謎だらけの『ワンダヴィジョン』

 『ワンダヴィジョン』は、いまのところ謎だらけの作品である。マーベル・スタジオのいつもの秘密主義というだけではない。「MCU初のシットコム」という新たな試みもあるが、なにより映画シリーズでヴィジョンはすでに命を落としているのだ。予告編では、そんな彼とワンダが結婚生活を送っている様子が映し出されている。彼らの幸せそうな姿を見て、微笑ましさと同時に不安を感じてしまうのは、わたしだけではないはずだ。これは一体どうなっているのか?

 2019年に開催されたサンディエゴ・コミコンで、ワンダはドクター・ストレンジ単独2作目『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』に登場することが発表された。そして同作は『ワンダヴィジョン』と地続きの物語になるという。そう聞くと、どうも悲しい予感がする。『ワンダヴィジョン』は「ワンダが見ているヴィジョン(幻覚)」なのではないか、という気がしてならない。

 MCUのなかで、ワンダとヴィジョンほどキュートなカップルはいない。ともにマインド・ストーンに力を与えられ、最強のヒーローとなった2人。彼らの力は似通っている。しかし冷静なヴィジョンと精神的に不安定になりやすいワンダ、と感情面では対照的でもある。映画シリーズでは、そんな彼らの幸せな姿はほとんど見ることができなかった。『ワンダヴィジョン』には不吉な予感はあるものの、2人の微笑ましいラブラブっぷりにも期待したい。

■瀧川かおり
映画ライター。東京生まれの転勤族で、第二の故郷は島根。幼少期から海外アニメ、海外ドラマ、映画に親しみ、思春期は演劇に捧げる。高校時代に留学していたためイギリスびいき。大学卒業後、IT企業での勤務を経てフリーライターに。

■配信情報
ディズニープラスオリジナルドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』
ディズニープラスにて配信中
監督:マット・シャックマン
脚本:ジャック・シェイファー
出演:エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー
原題:WandaVision
(c)2021 Marvel

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