Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

きらきらと輝く螺鈿(らでん)細工の魅力を紹介 『きらきらでん』根津美術館にて開催中

ぴあ

21/1/19(火) 18:00

《紫陽花蒔絵螺鈿文箱》 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

根津美術館で、螺鈿(らでん)に焦点を絞った展覧会「きらきらでん」が2021年1月9日(土)から2月14日(日)まで開催中だ。入場は日時指定予約制となっている。工芸の装飾技法の手法の一つである螺鈿をテーマとする展覧会は非常に珍しいものだ。

企画展「きらきらでん(螺鈿)」

螺鈿とは、アワビや夜光貝などの貝殻の内側部分にある、虹色に輝く「真珠層」の部分を薄く板状に加工し、模様の形に切り出してから、漆塗面や木地にはめ込んだり、貼り付けたりする技法のことを差す。

見る角度によって輝く色合いの異なる螺鈿は、古来から現在に至るまで人々を魅了し続けている。本展はその螺鈿に着目し、日本における螺鈿の受容と発展について紐解きながら、その歴史や国ごとの表現の相違などを見つめる展覧会だ。

日本に唐から螺鈿の技術が伝わったのは奈良時代のこと。厚みのある貝を用いる厚貝技法は日本の螺鈿の基本となり、発展していく。

重要文化財 《桜螺鈿鞍》 日本・鎌倉時代 13世紀  国(文化庁保管) 《桜螺鈿鞍》は厚めの夜光貝で満開の山桜を表現している鎌倉時代のもの。

一方、13世紀頃から中国では薄貝技法が用いられるようになり、絵画的表現が発達する。貝の青い部分と赤い部分を選別して使用しているため、《樹下人物螺鈿硯屏》のように、輝き方がさらに複雑になっていく。

《樹下人物螺鈿硯屏》 中国・元〜明時代 14〜15世紀 根津美術館蔵

この薄貝技法の影響は少なかったが、近世に李朝時代の朝鮮から伝わった螺鈿器は日本に大きな影響を与え、独自の様式が形成されていく。そして江戸時代に入ると、琳派や南蛮様式をはじめ、螺鈿はさらにバラエティ豊かになっていく。

《紫陽花蒔絵螺鈿文箱》 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
《裂地螺鈿小箪笥》 日本・江戸時代 18 ~19世紀 根津美術館蔵 福島静子氏寄贈

蒔絵で表現されたあじさいの花だけに螺鈿をあしらった《紫陽花蒔絵螺鈿文箱》や、細かく切り出した貝や金の薄板を並べて文様を表す「杣田細工」と呼ばれる技法を使った《裂地螺鈿小箪笥》など、貝の輝きを効果的に使用した作品は、その輝きに息を呑むほどだ。

このほか、中国から技法を学んだ琉球王国でも、赤い漆地に螺鈿を用いたり、金や銀などの箔を施す箔絵と呼ばれる技法と併用した螺鈿が生まれ、日本や大陸とも異なる独自の螺鈿文化を構築してきている。

本展では、これらの螺鈿を一堂に展示し、きらびやかな螺鈿の世界を堪能できる展覧会。淡い光でほのかに輝く貝の輝きを人々はどのように扱い、どのように表現したのかをじっくりと堪能していきたい。

『きらきらでん(螺鈿)』
1月9日(土)~2月14日(日)、根津美術館にて開催
※入場は日時指定予約制 詳細はHPで確認を
http://www.nezu-muse.or.jp/

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む