日本では劇場未公開であまり知られていない、『スーパーバッド／童貞ウォーズ』という青春コメディの傑作がある。サエない高校生コンビが、イケてるパーティーに参加するためにお酒を手に入れようとロサンゼルスの町をさまようひと晩限りのロードムービーだ。この映画に主演していたジョナ・ヒルの妹、ビーニー・フェルドスタインが主人公コンビのひとりを演じる『ブックマート』は、まるで『スーパーバッド』の女子バージョンであり、作り手も明らかに意識しているはずだ。 こちらの映画では、ガリ勉で優等生の女子高生コンビが、イケてるパーティーの住所を手に入れようとロサンゼルスの町をさまよう。明日には卒業してしまうから、なんとしてもハメを外したい。高校生活に悔いを残したくないのだ。主人公が女子になったことで、立ちはだかる壁や幾多のトラブルは、『スーパーバッド』をさらにアップデートした今の時代ならではの彩りが加わり、兄弟姉妹のような傑作になった。この機会にぜひ、2本の映画を観比べてみてほしい。どちらの作品とも“9割は可笑しくて1割がビター”であることも、青春コメディとして圧倒的に正しい。