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いま、最高の一本に出会える

『カーマイン・ストリート・ギター』 (C)MMXVIII Sphinx Productions.

歴史に包まれたギター店のドキュメンタリー 『カーマイン・ストリート・ギター』に流れる贅沢な時間

ぴあ

19/8/14(水) 0:00

ニューヨークのマンハッタン、グリニッジ・ヴィレッジにあるカーマイン通りのギター専門店。そこでは昔気質のギター職人リック・ケリーと、リックの母親ドロシー、そしてパンキッシュな見た目の弟子シンディが働いている。本作『カーマイン・ストリート・ギター』は、まるで時間から切り離されたようなギター店の一週間を追ったドキュメンタリーだ。

そんな古い店を象徴するように、リックは携帯電話もパソコンも持たず、昔ながらの方法でギターを製作し続ける。その材料は、ニューヨークの建物が壊されるときに出る、ヴィンテージな建材。ニューヨークの街の歴史が、ギターの中に生き続けているのだ。

このギター店、ルー・リードやボブ・ディラン、パティ・スミスなど、超大御所ミュージシャンも愛用しているという。本作では、一週間という短い取材期間にもかかわらず、ビル・フリゼール、マーク・リーボウ、チャーリー・セクストン、パティ・スミス・バンドのレニー・ケイなど有名どころが来店。店でギターを選んだり、リックと世間話や昔話に興じ、ギターの試し弾きをする。

世間の喧噪や慌ただしさから解放された店内の空間は、ニューヨークの歴史が薫ってくるギターや、その音色に囲まれて贅沢でゆったりとした時間がただよっている。本作を観ることで、観客もその場にいて体験を共有している気分になってくるはずだ。来店した客やリックたちと共に、日々の忙しさやわずらわしいことを忘れ、弦から放たれる静かな音の波に耳を傾けてみてほしい。

『カーマイン・ストリート・ギター』
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