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SixTONESは、またも新たな領域へーー3rdシングル『NEW ERA』での歌唱力や表現力を徹底解説

リアルサウンド

20/11/14(土) 6:00

 SixTONES。本当に、どこまでワクワクさせてくれるグループなのだろう。

 11月11日、SixTONES待望の3rdシングル『NEW ERA』がリリースされた。公式YouTubeにおいて、リリース前からMVの一部が惜しみなく公開されてきたが、それは序章に過ぎなかった。

 9日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)では、番組限定バージョンのダンスでフルサイズを歌唱。ここで初めて楽曲の全貌が明らかになったわけだが、そのスケールと迫力、渾身のパフォーマンスに、視聴後は魂が抜けたような感覚に陥った。言葉を失うとは、ああいうことなのだろう。またひとつ、SixTONESのステージが上がったことを確信した。

 本稿ではシングル曲「NEW ERA」を中心に、カップリングの「Life in color」、「So Addicted」、「Lemonade」にも触れながら、SixTONESの歌唱力や表現力、魅力について思う存分、語りたい。

SixTONES – NEW ERA (Music Video) – [YouTube Ver.]

 どこか異国的な気配を漂わせながら、迫り来るようなスキャットとクラップ。妖艶に重なる筝の音色。音の波を割るがごとく突き抜けるジェシーの力強いフェイクで、楽曲の世界は変わる。まさに「新時代の幕開け」を感じさせる、開放的なオープニングだ。

 疾走感溢れるサウンドに、リスナーの心は否応なしに高まる。ユニゾンとラップが呼応し、歌詞とメロディは互いのメッセージ性を高め合う。

 グループのまとめ役である田中樹が「うちのボーカル二人」と称するように(※1)、これまでSixTONESのシングル表題曲では京本大我、ジェシーがメインボーカルを担ってきた。彼らの歌声はやはりグループの柱。とりわけ二人のハーモニーには、ゾクッとするほどの親和性がある。

 「NEW ERA」では、サビへと歌い繋いでゆく髙地優吾、森本慎太郎、松村北斗のソロパートにも注目だ。聴きどころのひとつと言っていい。

 髙地の声はどこかスモーキーで、彼のソロパートは楽曲に上手くひっかかりを与えている。表現を変えればある種のスパイスであり、それだけクセになるということだ。髙地の安定したパフォーマンスは、ハーモニーやユニゾンをしっかりと支える。「SixTONESの声」の、屋台骨といえるだろう。

 少年性の残る森本の声も魅力的だ。キャラメルボイスとも称される甘い声は、SixTONESのユニゾンに「陽」の要素をもたらし、森本の声が入るだけで、楽曲はガラリと色を変える。与えられた歌割も適任。華となり要となり、ピンスポットを浴びるように映える。SixTONESにおける森本の存在そのものともいえる、大事な声だ。

 松村の歌声は、京本の声の成分に近い印象を受ける。深みのある、まろやかな声。髙地の声がユニゾンを支えるものとするなら、松村の声はユニゾンを包み込むオブラート。突出しない、させない上手さがある。それでいて、魅せ方は完璧に解っている男だ。聴かせどころ、見せどころは外さない。「NEW ERA」は、松村の魅力を存分に堪能できる楽曲だ。

 そして、主としてラップを担うのはもちろん田中。 〈《聞き逃すな 始まりの合図》〉。SixTONESの現在地を示し、さぁ行くぞと言わんばかりに号令をかけ、リスナーの心を突き動かす。もう従うしか道はない。SixTONESに田中樹がいること。その意味の、なんと大きいことだろう。

 サビのユニゾンでは、個々の声がはっきりと聴こえるにも関わらず、不思議とばらけることなく1本に融合する。これぞ「SixTONESの声」。何ともいえず心地よく、爽快だ。

 カップリングも聴きごたえ充分。表題曲「NEW ERA」の流れを違和感なく汲んでいる。マキシシングルとして、世界観を堪能できる良盤だ。

 「Life in color」は、SixTONESというグループの温かさが伝わるようなミディアムポップ。陽気なテイストを持ちつつも、心の芯に触れてほろりとくる。

 作曲は、日本のアイドルやジャニーズへの提供も多いスウェーデンのシンガーソングライター・Chris Meyer。「Lemonade」も同じく彼の作曲、編曲によるもので、こちらは全編英語詞で構成されている。心地よい韻を踏んだラテン要素のあるポップスは、いつまでも聴いていたくなる。

 田中がラップ詞を担当した「So Addicted」。なんとも中毒性の高い楽曲だ。「彼らはこんな表現もできるのか」と驚かされた。コアな音楽ファンも唸るであろう仕上がりに、SixTONESが持つ無限の可能性を感じる。

 3rdシングルにしてまたも新たな領域へ。次々と新しい表情を見せてくれる彼ら。こだわり抜いた良曲をリリースし、一歩ずつ踏みしめるように、地に足をつけてステージをのぼってゆく。SixTONESはいま、実に良い流れのなかにあると思う。

 「NEW ERA」をめいっぱい味わったあとには、不思議と「JAPONICA STYLE」へと立ち戻ってしまう。弦楽器のように伸びやかな京本の歌声が冒頭からリスナーの心を掴み、ジェシーの変幻自在な歌声が響く。“和”の美しさを取り入れたサウンドは実に新しく、確かなパフォーマンスに目を奪われる。

 ジャニー喜多川が愛し、SixTONESが世界への扉を叩いたあの「JAPONICA STYLE」。

 「NEW ERA」について松村が「今までやってきた楽曲を1曲にぎゅっとまとめたかんじ」と語っていた。おそらくシングル曲のことを指しているのだと察するが、「JAPONICA STYLE」まで振り返ってみたときに、その意味が分かるような気がした。

 当時、あの作品を目の当たりにし、SixTONESはすでに完成されたものと思っていた。あれから2年。いま改めて見ると、年少であるジェシーと森本の表情には、幼ささえ感じる。

 まだまだ成長を遂げている。「NEW ERA」でさえ、数年後に振り返れば幼さを感じるのだろうか。想像もつかないが、彼らならその領域まで到達してしまう気がしてならない。手が届くうちに彼らを見つけた人はラッキーだ。

 「NEW ERA」は、多くの人がSixTONESに辿り着くきっかけになると思う。この合図を聞き逃していてはもったいない。そして一度SixTONESを見つけたら、絶対に目を離さないことだ。

 もちろんファンの多くはすでにシングルを購入済みだと思うが、公式YouTubeではMVの一部を公開しているほか、メンバーがMVを初鑑賞する様子を収めた動画もアップされている。

MVを再生するなり、

「超いいじゃん!」「誰?」
「俺!」「俺だよ」
「わぁーい!」「かっこいい!」「yeah!!」「寄らないなぁ松村!」
いつ見ても賑やかなグループだ。

 あれほど圧倒的なパフォーマンスを披露しておきながら、ステージを離れれば、親しみやすく朗らかな青年たち。この愛すべきギャップもまた、SixTONESの魅力である。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。
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