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新海誠、新作「天気の子」企画のヒントは真夏に見上げた積乱雲

ナタリー

18/12/13(木) 20:05

「天気の子」製作発表記者会見の様子。左から森七菜、新海誠、醍醐虎汰朗。

新海誠の最新作「天気の子」の製作発表記者会見が本日12月13日に東京・帝国ホテルで行われ、新海のほか、キャストの醍醐虎汰朗、森七菜、プロデューサーの川村元気、川口典孝が出席した。

「天気の子」は天候の調和が狂っていく時代を舞台に、運命に翻弄された少年と少女が自らの生き方を「選択」する姿を描く作品。舞台版「弱虫ペダル」で主演を務めた醍醐が、東京へ家出をして怪しげなオカルト雑誌のライター業に勤しむ高校生・森嶋帆高、岩井俊二の新作「Last Letter」への出演も発表されている森が、祈ることで天候を晴れにできる不思議な力を持つ少女・天野陽菜に声を当てる。

2016年8月に封切られた前作「君の名は。」が、社会現象と呼べるほどのヒットを記録した新海。2017年2月から進行している「天気の子」の企画のきっかけとなったのは、「君の名は。」での経験が大きかった。真夏にプロモーションで各地を回った苦労を振り返りながら「すごく消耗した夏でした。いろんな人にいろんなことを言われる、街を歩いても、飲みに行っても映画の評判が聞こえてくる。悪口もいいことも聞こえ、ものすごく大きな映画になったんだと実感していました」とコメント。そうした頃、積乱雲が出る夏の青空を見上げることがよくあったそう。

新海は、積乱雲が成長し雲の発達できる限界の高さに接したとき、横に広がっていく現象を説明しながら「そこは広い平原のようになっているんです。地上からは見えないその場所でゆっくりできたらいいなーと思っていたときに、あの上で遊ぶような映画って面白いんじゃないかと考えました。それが空を題材にした単純なきっかけですね」と着想を明かす。このイメージはこのたび公開されたポスタービジュアルにも反映されている。

「君の名は。」で映画が人を動かす力を身をもって実感した新海は、次作の構想を練る段階で「誰もがこれは自分の話なんじゃないかと思えるようなテーマを見つけられたら形になる」と思い至ったという。そこで行き着いたのが、本作で題材となる「天気」だった。そして「誰もが学校に行くときも会社に行くときも天気が気になるし、1日の中で何度も天気のことを考える。遠い空の出来事なのに、自分自身の心配事として受け止めているし、晴れ女とか雨男とかを意外と本気で信じてる」とその理由を明かす。

川村は「君の名は。」を引き合いに出し「空、雲、雨に関しては、まだ生かしきれていない部分があったと思っていて。それを今作では存分に観ることができる」と期待のコメント。企画の初期段階には「天気予報の恋人」「天気予報の君」などタイトルも数案あったそうだが、川村発案の「天気の子」に決まった。「新海さんがずっと言っていたことではあるんですが、『子』という言葉がいろんな意味を含む。単純に女の子、男の子だし、もしかしたら人類全体を指すかもしれない」と説明する川村。続いてサブタイトルとなった「Weathering With You」について、新海は「『Weather』という気象を表す言葉を使いたくて。これには嵐とか風雪とか、何か困難を乗り越えるという意味も含まれるんです。映画は何か大きなものを乗り越える物語でもあるので付けました」と語った。

さらに新海は、本作について「“ど”エンタテインメント。笑えるし、泣けるし、ワクワクするし、知的好奇心も刺激されると思います。劇場に来た人に『面白かった!』と言ってもらえる作品をスタッフ全員で目指してます」と宣言。一方で「賛否が分かれる要素もある」と付け加え、帆高のキャラクターに言及する。「主人公は必ずしも模範的とは言えない人物です。社会の規範から少しズレていってしまう男の子。人はこう生きるべき、社会ではこういう人が求められるという価値観とはまったく違うことを語ってしまっていると思います」と続けた。

メインキャストの醍醐と森は、2000人を超えるオーディションから抜擢。2人はともに現役高校生で、ドラマ「先に生まれただけの僕」で共演経験を持つ。新海はまず、主人公役を醍醐に決めた理由を「マイクの前でしゃべっている姿、立ち振舞いが、僕たちの思い描いていた帆高そのものだった。初々しくて本当に一生懸命だけれど、少しから回っている感じがしました(笑)。かわいらしくて、すごく応援したくなってしまうんです」と説明。さらに「帆高は観客の視点に立つ人物。醍醐くんは、みんなが『これは自分だ!』と思って乗っかることができる大きな器を持った役者だと思います」と称賛する。続いて森の印象を「捉えどころのない天気のような女の子。予想ができないし、次何をしゃべるんだろうと惹き付けられる。声をずっと聞かなければという気持ちになるんです」と述べた。「“恋愛映画”とは言い切れないんですが、2人の気持ちや関係性は描くので、思春期ならではの甘酸っぱいドキッとするシーンは色々あります」と付け加えた。

「君の名は。」ではRADWIMPSが手がけた「前前前世」など音楽も大きな話題となった。今回は未発表だが、「天気の子」の音楽に関するやり取りもすでに1年以上密接に続けているという新海。「『君の名は。』と同じようなものというわけではなく、新たなチャレンジ、きっと観て聴いていただいて、驚いてもらえるものになると思います。そういう確信はあります」と自信をのぞかせた。

「天気の子」は7月19日に全国でロードショー。105分を予定している本作を制作するのは、新海の所属するコミックス・ウェーブ・フィルムだ。「君の名は。」に引き続き田中将賀がキャラクターデザインを手がけるほか、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」シリーズで知られる田村篤が作画監督、「言の葉の庭」でも新海と組んだ滝口比呂志が美術監督を担う。

(c)2019「天気の子」製作委員会

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