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横浜中華街の知られざる歴史とは、華僑四世がルーツたどる「華のスミカ」予告公開

ナタリー

「華のスミカ」

神奈川・横浜中華街の華僑を撮影したドキュメンタリー「華のスミカ」の予告編がYouTubeで公開された。

本作は自身のルーツが中国にあることを中学生まで知らなかった華僑四世の林隆太が、偶然発見した父親の中華学校時代の写真をきっかけに、中華人民共和国と中華民国(台湾)の間でゆれた東西冷戦期の横浜中華街に迫った作品。予告には毛沢東に希望を抱いた林の父の恩師や、中華街の入口で大陸派と台湾派の人々が対立する様子などが切り取られた。

本作をひと足先に鑑賞した「台湾生まれ 日本語育ち」の作家・温又柔は「二つに分かれた枝をたどって、元は一つだった『華』の根に還る林隆太の旅路は、横浜中華街に刻まれた日本人の知らざる歴史を浮き彫りにして、祖国の政治に翻弄されてきた華僑たちもまた、日本という私たちの『スミカ』を創ってきたことを突きつける」とコメントを寄せる。フォトジャーナリストの安田菜津紀、全州国際映画祭プログラミングアドバイザーの洪相鉉によるコメントは下記の通り。

「華のスミカ」は8月21日より神奈川・横浜シネマリンで先行上映。東京・K's cinema、大阪のシネ・ヌーヴォでの公開も決まっている。

温又柔(作家)コメント

中華民国と中華人民共和国。
はて、チャイナタウンのチャイナはどっちのことなの?
──国と国が、勝手に喧嘩してるだけ。日本人も、まるきりの中国人も、日本人になった中国人も、ずっとここで一緒に生きている。
二つに分かれた枝をたどって、元は一つだった「華」の根に還る林隆太の旅路は、横浜中華街に刻まれた日本人の知らざる歴史を浮き彫りにして、祖国の政治に翻弄されてきた華僑たちもまた、日本という私たちの「スミカ」を創ってきたことを突きつける。

安田菜津紀(フォトジャーナリスト)コメント

初めて出自を知ったときの「戸惑い」、父が見たこともない「故郷」の姿…監督が歩んだ、自身の「ルーツ」を探る旅は、複雑な道のりだった。複雑だからこそ、もっと触れたくなる。
「ルーツ」とは、心の根底に水脈のように流れているものなのかもしれない。その水源には、家族の言葉や生き方の蓄積がある。
ともすると国家という「大きな主語」に回収されてしまう一人ひとりの声が、この映画からは聞こえてくる。

洪相鉉(全州国際映画祭プログラミングアドバイザー)コメント

パーソナル・ヒストリーに時代史を交差させた侯孝賢の「悲情城市」を思い浮かべながら客席に座ると、やはり時代に翻弄されても粘り強く生き抜く「凡人物語」に魅せられる私がいた。おそらく「大地」のパール・S・バックが生きていたら、隣席で愉快に微笑んだことだろう。アジア最大のドキュメンタリー映画、DMZDocsの製作ファンドのチョイスに納得。
それにしてもまさか横浜でピューリッツァーに相応しい映像作家に出会うとは!

(c)2020 記録映画「華僑」製作委員会

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