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「白蛇伝」4K修復スタッフ、「なつぞら」の精神は「今の若手に引き継がれている」

ナタリー

19/11/2(土) 23:01

「白蛇伝 4Kデジタルリマスター版」上映会にて。左から根岸誠、近藤修治、伊藤志穂。

日本初の劇場用長編カラーアニメーション「白蛇伝」の4Kデジタルリマスター版が、第32回東京国際映画祭で11月1日に上映され、リマスター作業に携わった東映ラボ・テック特別顧問の根岸誠、東映アニメーション制作技術室長の近藤修治が登壇した。

1958年に公開された「白蛇伝」は、東映アニメーションの前身である東映動画が制作した日本初のオールカラー長編劇場用アニメーション。中国の民話をもとに、白蛇の化身である白娘(パイニャン)とその恋人・許仙(シュウセン)の愛が描かれる。NHK連続テレビ小説「なつぞら」で主人公・なつが携わったアニメ作品「白蛇姫」のモデルとして注目を集めた。

近藤は日本アニメーション100周年を迎えた2017年に、国立映画アーカイブから東映に4K修復の話を持ちかけられたと明かす。「社内でも劇場長編のネガを将来的に保存していくにあたって4Kスキャンが必要だという話があり、国立映画アーカイブ、東映、東映アニメーションで動き出しました」と説明。根岸は「当時はネガを保存するという考え方がなかったので、今回ギリギリのところで修復が間に合ってよかったです」と話した。

リマスター作業に関しては、根岸が「リマスタリングの方針決めに時間がかかった」と一番の苦労を挙げる。また制作当時の色の塗り間違いをそのまま残すかどうかで悩んだエピソードや、修復技術の発達ゆえに「どこまで直し、どこまで直さないかの判断を求められる」という葛藤があったことを振り返る。そんな中「公開当時の状態に近づける」ことを目指し、背景画の紙の質感を残すといったところにも気を配りながら作業を進めたという。修復された映像を観た感想を聞かれると、近藤は「VHSやDVDでも作品を観てきましたが色の仕上がりが格段に違う。一言で言えば、すごく観やすい。若い世代にも響く仕上がりになっていてすごいと思いました」と手応えを語った。

主人公がアニメーターとして成長していく姿を描いた「なつぞら」に話が及ぶと、近藤は顔をほころばせて「非常に大きい影響がありました」と発言。「本作を通して今までアニメーションに興味がなかった方にも関心を持ってもらうことができて、それもあってかなりいろんなところから『白蛇伝』の上映をしたいという声がかかりまして。本当に『なつぞら』には感謝しています」と述べ、「ドラマでも描かれた、若い才能が集まってアニメーションを制作する精神は、今の若手にも引き継がれています」と続ける。

東映アニメーションでは、人材育成プログラムの一環として約1分間のショートムービー「ジュラしっく!」を制作。同作に携わった東映アニメーション第一映像企画部の伊藤志穂も途中から登壇し、制作するうえでの苦労などを振り返った。伊藤は「監督など制作スタッフの全員が、初めてその役職を担当する若手ばかりだったんです。だからそれぞれ悩み、試行錯誤しながら作りました」と回想したのち「若手のプロジェクトとは言え、ベテランの方が支えてくださったから完成しました。そういう点でも有意義な企画だったと思います」と伝え、感謝と敬意を示した。

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