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ヤバイTシャツ屋さん、“その日限りの空気感”生み出すライブバンドとしての手腕

リアルサウンド

19/2/28(木) 15:00

 場内に入ると、天井には三角旗が何個も釣らされており、どこかのフェスティバルに迷い込んだような賑々しい演出が施されていた。

 2月23日に開催された、ヤバイTシャツ屋さん『“Tank-top Festival in JAPAN”TOUR 2019』Zepp Tokyo公演の2デイズ最終日。SEが流れ、こやまたくや(Vo/G)、しばたありぼぼ(Vo/B)、もりもりもと(Dr/Cho)のメンバー3人が姿を見せると、3rdアルバム『Tank-top Festival in JAPAN』から「Tank-top Festival 2019」で幕を開けた。すると、足回りが一段と太くなった演奏の加速度もあり、満杯のフロアは拳を激しく突き上げ、動き回る観客で溢れ返る。すかさず「KOKYAKU満足度1位」、「小ボケにマジレスするボーイ&ガール」とアルバムの曲順通りに3連打を見舞うと、ダイバーの数は一気に増え、その場でジャンプする人たちも目立ち、すでにフェス感漲る爆発的な盛り上がりに。


 「東京2デイズで6千人、追加公演(5月7日・Zepp Tokyo)入れたら9千人、武道館できますよ。でもやらないですよ。今は考えてない」とこやまは話し、6月にサンリオピューロランド2デイズの追加ワンマンにも触れ、メンバー3人でサンリオのキャラで山手線ゲームを繰り広げ、場を和ませていた。

 そして、「ちょっとレアな曲、やってもいいですか?」と前置きした後に「眠いオブザイヤー受賞」を披露。ミドルテンポの大人びた曲調にもかかわらず、観客のリアクションはとてつもなく大きく、押し引きを兼ね備えたセットリストの流れも効果的であった。また、ポップかつ歌詞のパンチ力が半端ない「どすえ ~おこしやす京都~」もライブで格段の映えっぷり。ステージ背面にそびえるタンクトップくんの体(?)に歌詞や八ツ橋などの映像が流れるキメ細かな演出もあり、ラストは「どす!」、「Yeah!」のコール&レスポンスで会場を見事一つに束ねていた。


 中盤、超絶ダンサブルな「DANCE ON TANSU」、極悪ヘヴィネスな「リセットマラソン」と畳み掛けた後、新作の中でも筆者が個人的に大好きな「秋」をプレイ。この曲はしばた作詞作曲ナンバーで、こやまのロウな歌声としばたのハイな歌声がハモる場面では2人の声の特性が抜群に活かされ、エモーショナル度に拍車をかけた良質な曲だった。後半は「ゆとりロック」を経て、「とりあえず噛む」、「無線LANばり便利」などアッパーな楽曲で総攻撃を仕掛け、本編ラストは「ヤバみ」、「かわE」でカオスな熱狂を作り上げて終了。

 バンドはアンコールに応えると、「追加で予定にない曲やる?」とこやまが提案し、音源化されていない初期曲「I wanna go home」を演奏するサービス精神旺盛っぷり。これがヒネリなしのド直球ソングなのだが、ヤバTらしいキャッチーな魅力に富んでおり、アウトロの語り風パートも実に新鮮だった。それから住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」の新CMにヤバTが出演したことでも話題を呼んだ「スーモマーチ」も飛び出し、これも大盛り上がり。その後は「ウェイウェイ大学生」、「ハッピーウェディング前ソング」とキラーチューンを放ち、止めは「あつまれ!パーティーピーポー」で掉尾を飾った。

 終わってみれば、あっという間の約2時間。個人的には「君はクプアス」、「かかとローラー」などまだまだ聴きたい曲はたくさんあったけれど、今日のライブのように予定外の楽曲をやったりと、豊富なレパートリーの中から楽曲を取捨選択し、「その日限りのライブの空気感」を作る手腕がグッと増している印象を受けた。ますますバンドのスキルに磨きをかけ、たゆまぬ成長を遂げていくヤバT。今回のツアーはどこの会場も見逃せないものになりそうだ。

(取材・文=荒金良介/写真=オイケカオリ)

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