Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

あいみょん、『私の家政夫ナギサさん』主題歌がチャート健闘 幅広い世代を虜にするバラードシングルに

リアルサウンド

20/6/27(土) 10:00

 最新のオリコンチャートによれば、KinKi Kids『KANZAI BOYA』が187,254枚を売り上げて1位を記録。続いてSF9の『Good Guy』が30,388枚で2位、King & Princeの『Mazy Night』が3位となった。1位から3位まで人気アイドルが占めるなか、4位と大きく健闘したのがあいみょんのニューシングル『裸の心』だ。

(関連:あいみょん、アレンジとサウンドの妙像

 「マリーゴールド」を筆頭に「君はロックを聴かない」や「愛を伝えたいだとか」といった彼女の楽曲は、常に各種配信サイトでランクインし続けており、今なお根強い人気を見せている。それどころか、CDの売り上げ枚数でも着実に結果を残していて、今回のオリコン週間シングルランキング4位という結果はランク上では自己最高となる。ストリーミング時代の覇者として、あるいは新世代の旗手として、確固たる地位を築きつつあるあいみょん。なぜ彼女は、若い世代だけでなくCDの売り上げでも結果を残すのだろうか。

“むき出し”のアレンジ

 『裸の心』はあいみょんのメジャー10作目のシングル。ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)の主題歌である。ただ、タイアップといえども、番組公式サイトに掲載されているコメントによれば、もともとは2017年に書かれた曲なのだとか。当初はアルバム曲として制作していたものの、アレンジャーのトオミヨウから送られてきた音源を聴いて感動し、シングルへと変更したらしい。

 今作はいわゆるバラードで、切なくも美しいメロディを感情たっぷりに歌い上げるボーカルが印象的。だが、豪華に着飾ったサウンドで聴き手を圧倒するようなものではなく、楽曲の芯の部分をそのまま放ったような作りをしているのが特徴だ。

 こうした“むき出し”のアレンジは歌の骨格部分が直にリスナーへ届くため、歌い手にとってある程度の勇気が必要である。ましてやシングル曲。パンチの効いたサウンドで大げさに歌い上げたくなるアーティストも多いはず。しかし、アレンジャーの話によると「あくまでも私的な雰囲気にしたい」という彼女の要望からこうした作りになったのだそうだ。(参考:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO60098960Y0A600C2000000/)

 結果、彼女らしく等身大で、聴き手の孤独にやさしく寄り添うような魅力を持った楽曲になっている。ボーカルの細かな機微でさえも心にストレートに届くのだ。こうしたアレンジを選ぶセンスが若い世代の共感を呼ぶ所以なのだろう。

幅広い世代に響く“懐かしい”サウンド

 そして忘れてはならないのが、彼女の音楽性の大きな特徴でもあるどこか“懐かしい”雰囲気である。

 「ピアニカが肝で、あれがすごい歌謡曲っぽさを出してる」と本人が指摘するのは主にサビの部分。それまでのアコギとピアノが作り上げた爽やかな世界に、すうっと鍵盤ハーモニカが呼ばれたように顔を出し、儚げにゆっくりと去っていく。この音色が作品に絶妙な“懐かしさ”や“安心感”のようなものを与えていて、詞の世界がじんわりと広がっていくのを感じる。

 編曲したトオミヨウは、近年多くのアーティストの楽曲を担当している音楽家。最近ではaikoの新曲「青空」でのアレンジも光っていた(参考:https://realsound.jp/2020/02/post-512518.html)。「裸の心」のアレンジについて彼は「“素朴さ”が心地いい違和感を醸し出すように仕上げました」と明かしている。あいみょんの楽曲が幅広い世代に支持される背景には、こうしたサウンド面の工夫もひとつの要因となっているのだろう。

 バラードであっても私的な雰囲気にこだわった“むき出し”のアレンジ、そして幅広い世代に響く“懐かしさ”を漂わせるサウンド。あいみょんの楽曲がデジタルでもフィジカルでも好調なのは、こうした広い世代を視野に入れた作風が理由なのかもしれない。(荻原 梓)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む