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manaco、『オンブルー』で示したソロでの挑戦 DECO*27、八王子P、GARNiDELiAらとの楽曲制作を語る

リアルサウンド

19/12/5(木) 8:00

 エモーショナルなロックダンスユニットQ’ulleのメンバーで、歌唱力に定評のあるまなこ。ニコニコ動画の「踊ってみた」カテゴリを中心に活動する人気の踊り手としての顔も持ち、総再生回数は1億回超え。また、映画『HERO SHOW』では主演、舞台『家族のはなし』ではヒロインとして出演するなど女優としても活躍する彼女がmanaco名義で11月27日にアルバム『オンブルー』にてソロデビューを果たした。

 DECO*27、八王子Pらの楽曲提供、GARNiDELiA、217(COJIRASE THE TRIP)をフィーチャリングとして迎えてコラボレーションした本作。さらに、manacoとして作詞へもチャレンジすることで、Q’ulleとは異なるファンタジー性あるオリジナリティーの獲得に成功している。

 全14曲収録、小説のページをめくるように様々な短編が繰り広げられていくパラレルワールドのような世界観が、時には、少年や犬目線、ロボットなどに成り代わって広がっていく。いかにしてこの空想ワールドが音楽作品として具現化されたのか聞いてみた。(ふくりゅう / 音楽コンシェルジュ)

――manacoさんがソロ活動をはじめた理由から教えてください。

manaco:Q’ulleのメンバーそれぞれが強みを持っていて。ソロ活動を通して成長してパワーアップになればいいなと。わたしは歌でパワーで届けられたらと思いました。

manaco / 向日葵 (踊ってみた short ver.)

――manacoさんはもともと、どんな音楽がお好きだったんですか?

manaco:小さい頃から歌いたいという思いが強くて、そのきっかけはゆずさんでした。歌う楽しさを教えてもらったと思います。あとは、ニコニコ動画のカルチャーですね。歌うことと同じくらいアニメやゲームが好きだったので、ボーカロイドにハマりました。中学生の頃からボカロ曲が好きで、今回楽曲提供してくださったDECO*27さんは、Q’ulleでも、楽曲を書いていただいていて、その後間は空いてしまったのですが、今回も曲を書いていただけてとても嬉しかったです。

――ボカロ文化ってボカロPが生み出した曲を二次創作することで、お互いにシナジーが生まれてどんどん広がっていく楽しさがあり、世界的にみても新しい立体的なネット発カルチャーになったと思います。manacoさんは、まさに踊ってみた文化の第一人者ですよね。

manaco:お互いが協力しあったり、最近は歌い手さんの曲に「振付して欲しい」というオファーも多くて、コラボレーションが深まっていて素敵だなって思います。歌い手さんは、ダンスによる表現を見るのが楽しいと喜んでくださるので、ネット発のカルチャーは素敵なフィールドです。

――そして、今回ソロではまったくQ’ulleとは異なる表現をされていて驚きました。

manaco:ツアーライブ『cross road』は、お客さんが座って私のことを観察できるような雰囲気でライブをさせていただきました。お芝居と歌とダンスで表現して、色んなものを汲み取って観ていただきました。Q’ulleって汗をかいて……という熱いライブが多かったので、観に来られた方は驚かれたかもしれません。今回、CDの特典では、Tour Documentary of『cross road』としてそのライブ映像も入ります。映像を見たのですが、ソロだと常に私だけが映っているので恥ずかしいような(苦笑)。新鮮でしたね(笑)。

――なるほど、演劇的な表現ってかなりチャレンジングですよね?

manaco:ソロだと、常にステージでは一人なので、ライブ中のパワーの使い方や体の使い方が違って難しいんですよ。

――使う筋肉や考え方なども違いそうですね。

manaco:そうですね。いつもより緊張しているというのもあったと思います。

――アルバム作品『オンブルー』は14曲収録と、情報量満載でした。いろいろやりたいことがあったのでしょうか? 

manaco:コンセプトは、曲それぞれに私が物語を作って歌詞を書いて、ディレクションというか曲のイメージを考えました。小説や絵本のような、そんな感覚で楽しんでもらえる作品にしたいと思ったんです。自分の思いを語るのは苦手なので、自分のことをそのまま歌うのではなく、物語にして、主人公に私の思いをかぶせて伝えようと思いました。

――楽曲はどんな作り方で?

manaco:大体は物語を書きつつ、設定を決め込んでいき、それを作曲家の方に話して擦り合わせて楽曲にしていきました。

――なるほど。ちなみに、1曲目の「向日葵」は、主人公が男の子の世界観ですよね? 非日常感を感じられるストーリーというか。

manaco:そうですね。自分の日常って限られた世界だと思うので、いろいろ妄想しながら歌詞を書いています。私はもともと、引きこもり体質なんですよ。なので作品で自由にキャラクターを動かせて、自由に設定を作れるのは楽しかったですね。

――歌詞を生み出す上で大変だった曲は?

manaco:「ヒーローになりたいんだ」という曲も、男の子が主人公の曲なので非日常感が強く時間がかかりました。小さい頃の純粋さや言葉遣いなど、いろんなことを考えながら妄想して書きました。

manaco / ヒーローになりたいんだ (Demo)

――逆に自分に一番近い歌詞の曲は?

manaco:一番近いのは「トクベツ」かな。学生の頃、ニコニコ動画を知ってDANCEROIDというグループに入って活動して、今があるので。そんな流れやストーリーを書いた曲なんです。“The私”な、実体験です。

manaco / トクベツ (Demo)

――そういえば、アルバムの中でmoumoonの「Sunshine Girl」をカバーしていて驚きました。

manaco:これは、TikTokで「Sunshine Girl」が流行っていて、踊ってみたんですよ。。私が今まで触れてこなかったタイプの曲なんですけど、好きになったのでカバーさせていただきました。

manaco / Sunshine Girl (踊ってみた short ver.)

――歌い回しなど大変だったんじゃないですか?

manaco:そうですね。一番時間がかかった曲かもしれません。

八王子P、GARNiDELiA、DECO*27らとのコラボ

――アルバムには、八王子Pさんも参加されていますが、「タイムリミット」という楽曲を歌われていかがでしたか?

manaco:曲を聴いてイメージして歌詞を書かせていただいたのですが、まず「オープンカーで旅をしたい」というイメージが沸きました。歌詞の世界観は悲しいんですけど、曲調は明るくて、悩んでいる若い子の背中を推す曲になったらいいなと思い、受け手によって、色んな受け止め方ができる楽曲にしました。

――そして、GARNiDELiAをゲストに迎えた「さよならホームラン」というナンバーも良かったです。今回のゲストコラボはどのようなきっかけで実現したのでしょうか? 

manaco:Q’ulleで対バンをさせていただいてから、GARNiDELiAのメイリアさんはプライベートでも仲が良くて、今回tokuさんに曲を書いていただいて、メイリアさんと一緒に歌詞を書いて歌えることになりました。GARNiDELiAさんは、ニコニコ動画の世界では知らない人がいない存在で、「日本の文化といえばGARNiDELiA」というくらい「踊っちゃってみた」シリーズを中心に海外でも大人気なので、ご一緒できて本当に嬉しかったです。

 GARNiDELiAさんの楽曲では、メイリアさんは自分のことを歌っているので、自分ではない主人公がいる曲は珍しかったみたいです。メッセージで世界観を共有して「そういう感じね、なるほど!」というやりとりをしながら、野球少年をテーマとして進めていきました。

――そして、「愛踊る feat. 217」は、ソロ活動発表時にCOJIRASE THE TRIPの217さんとフューチャリングした楽曲。manacoさんが参加した「NO KIDDING feat.manaco」のアナザーソングで、連動感が魅力のナンバーでした。

【COJIRASE THE TRIP×manaco】NO KIDDING feat.manaco【踊ってみた】
manaco / 愛踊る feat. 217 (踊ってみた)

manaco:実は、「愛踊る feat. 217」を作っていたんです。ライブでも先に披露していたりしていたんですが、リリースは後になってしまいました。2つの視点から楽しめる楽曲を作ってみたくて、この楽曲は、優しくジャジーで、女性らしい言葉使いを使って、女の子が主役の曲に、「NO KIDDING feat.manaco」はラップもあったり、男の子らしさ溢れる曲にしました。色んな視点で歌っているので、そういう部分もリスナーの方に楽しんでいただける楽曲だと思います。

――そして、「私を殺さないでよ」がDECO*27さんによるナンバーですね。

manaco:DECO*27さんのロックサウンドが好きなのでエモーショナルな曲をオファーさせていただきました。女の子が主人公と設定をお伝えして、曲はおまかせしました。歌詞は、DECO*27さんが1番、私が2番を書きました。

manaco / 私を殺さないでよ (踊ってみた short ver.)

――自分にない要素も引き出していただけそうなコラボですね。

manaco:はい、DECO*27さんの歌詞のワードのセンスがすごくって。言葉の裏に隠れている要素もあって、色んな受け取り方ができるんです。今回ご一緒できてとても勉強になりました。

――「COLOR」は、メロウで踊れるダンスミュージックのナンバー。

manaco:これまであまりやってこなかったタイプの曲でした。おしゃれな曲ですよね。 

――創作活動をしていると、煮詰まったりリラックスしたくなる瞬間があると思いますがいかがですか? 

manaco:ええ〜、あ、寝ますねぇ(笑)。一番リラックスできると思います。誰かと遊びに行こうとしてもそわそわしちゃって。どこか頭の中で創作活動を忘れることができないんです。となると、リラックスするには寝るしかないんですよ。このやり方が一番整うし、自分には合うと思いました。逆にインプットは、お芝居など観るのが好きです。舞台のリハーサルって、音楽とはまた違うんですよ。食わず嫌いな性格なんですけど、幅を広げて、いろんなものを観たり聴いたり楽しんでみたいですね。

――今回、青を基調としたジャケットアートワークも素晴らしいですよね。アルバムタイトルにもぴったりな爽やかな世界観でした。

manaco:ジャケットイラストはイラストレーターの、かとうれいさんが手がけてくださいました。以前から知り合いで、ロックなQ’ulleだと、なかなか雰囲気が合わなかったんですけど、ソロだったらばっちりかなって。青色使った作品が多い方で、『オンブルー』という青いテーマにぴったりなアートワークを手がけてくださいました。

――今回、初のソロアルバムの感性を通じてたくさんの経験を得られたというか、一気に成長できそうなアルバム制作になったと思います。今後の野望や目標などは生まれましたか?

manaco: そうですね、もっといろんな物語を作っていきたいです。2枚目のアルバムはまたガラッと違うものになるかもしれませんね。

(取材・文=ふくりゅう/写真=はぎひさこ)

■リリース情報
『オンブルー』
発売日:2019年11月27日(水)
AL+DVD2枚組 RZCD-86926/B~C(税抜)¥6,000(税抜)¥6,600
AL RZCD-86927(税抜)¥3,000(税抜)¥3,300
ミュージックカードType-A※mu-mo/イベント盤
RZZ1-86928(税抜)¥2,000(税抜)¥2,200
ミュージックカードType-B※mu-mo/イベント盤
RZZ1-86929(税抜)¥2,000(税抜)¥2,200
<CD収録内容>
01. 向日葵
02. トクベツ
03. タイムリミット ※八王子P作編曲
04. さよならホームラン feat. GARNiDELiA
05. Sunshine Girl
06. ヒーローになりたいんだ
07. 愛踊る feat. 217
08. ふたりぼっち
09. アイを注いでくれたキミに
10. 主演:ワタシ
11. 優しい世界に眠ってる
12. COLOR
13. 私を殺さないでよ ※DECO*27作編曲
14. 貴方が想うよりも
<DVD1収録内容>
manaco 全国8都市ツアー『cross road』Final at duo MUSIC EXCHANGE
M1. トクベツ
M2. ヒーローになりたいんだ
M3. 主演:ワタシ
M4. COLOR
M5. ふたりぼっち
M6. Sunshine Girl
M7. 優しい世界に眠ってる
M8. 私を殺さないでよ
M9. アイを注いでくれたキミに
M10. 向日葵
M11. 貴方が想うよりも
ENCORE
・愛踊る feat. 217
・タイムリミット
・向日葵
<DVD2収録内容>
・Tour Documentary of 「cross road」
・向日葵 -Music Video-
・愛踊る feat. 217 -踊ってみた-
・Sunshine Girl -踊ってみた-
・私を殺さないでよ -踊ってみた-
・向日葵 -踊ってみた-

■関連リンク
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